ICEBERG行政書士事務所

デジタルノマドビザとは?日本で取得する方法と必要書類を徹底解説

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リモートワークの普及により、場所にとらわれない働き方が世界的に広がっています。日本でも2024年4月から、海外の企業に所属しながら日本で働ける「デジタルノマドビザ」の制度がスタートしました。

この記事では、デジタルノマドビザの

・基本情報
・取得要件
・申請方法
・必要書類

について詳しく解説します。

日本での長期滞在を検討している外国人の方、また外国人材の受け入れを考えている企業の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

デジタルノマドビザとは?リモートで働きながら日本に滞在できる新制度

デジタルノマドビザは、外国人が日本に滞在しながら海外の企業やクライアントと日本国内でリモートワークを行うための在留資格です。正式には「特定活動(告示53号)」といい、配偶者や子どもが帯同する場合は「特定活動(告示54号)」が適用されます。

 デジタルノマドビザ 基本情報

デジタルノマドビザは、海外に拠点のあるクライアントとの仕事を続けながら、日本に一定期間滞在することができるビザです。日本国内の企業や顧客を相手に働くことは、原則として認められていません。

デジタルノマドビザで認められている活動内容は、次の2つです。

  1. 海外企業との雇用契約に基づくリモートワーク
  2. 海外顧客へのサービス・物品提供

1. 海外企業との雇用契約に基づくリモートワーク

デジタルノマドビザでは、外国の法人や団体との雇用契約を結び、日本に滞在しながら、オンラインで業務を行うことが可能です。具体的には、ITエンジニア、ソフトウェア開発者、デジタルデザイナー、オンライン秘書などが該当します。

2.海外顧客へのサービス・物品提供 

海外にいる顧客に対して、インターネットを通してサービスや物品を提供する事が可能です。一方、報酬の支払元や取引先が日本国内にあるサービス・販売は認められていません。

また、フリーランスとして海外企業の事業経営を行う個人事業主もデジタルノマドビザの対象です。

最長6か月間の滞在が可能です。配偶者や子どもも一緒に日本に滞在できますが、在留期間の更新はできません。再度取得する場合は、いったん出国し、6か月以上経過する必要があります。

参照:出入国在留管理庁 

制度導入の背景

導入の背景には、世界的にリモートワークが普及したことと、高所得で高度な技術を持つ外国人材を日本に呼び込みたいというという狙いがあります。
日本政府は2023年に制定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」において、デジタルノマドビザの制度化を明文化しました。2024年2月にはパブリックコメントが開始され、3月29日に告示、4月1日から制度が正式にスタートしています。

コロナ禍をきっかけにリモートワークが世界規模で広まっており、「デジタルノマド」という働き方が注目されるようになりました。現在、世界では3500万人のデジタルノマドがおり、市場規模は7870億ドルにのぼるとされています。

こうした流れを受け、すでに世界50か国以上がデジタルノマドビザを導入しており、日本は他国に比べて遅れをとっていました。
デジタルノマドは高所得層が多く、日本に滞在してもらうことで、消費による経済効果が期待できます。また、日本人の交流を通じて、新たな発想やビジネスが生まれるなど、イノベーションの促進につながると考えられています。

参照:経済財政運営と改革の基本方針 2023 について 

日本版デジタルノマドビザの取得要件

デジタルノマドビザを取得するには、4つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 活動内容:海外企業との雇用契約または海外顧客へのサービス提供
  2. 滞在期間:最長6か月(更新不可)
  3. 対象国:49か国・地域の国籍保有者
  4. 年収:1000万円以上の証明
  5. 医療保険:民間の医療保険への加入

詳しく解説します。

活動内容

デジタルノマドビザでは、海外企業との雇用契約または海外顧客へのサービス提供が前提となります。日本国内の企業や顧客を相手に働くことは認められていません。

滞在期間は最長6か月です。在留期間の更新は認められていないため、再度デジタルノマドビザを取得したい場合は、一度日本を出国してから6か月以上経過する必要があります。

また、デジタルノマドビザから他の在留資格への変更も原則として認められていません。日本での長期滞在を希望する場合は、就労ビザなど他の在留資格を取得しましょう。

対象国は49か国・地域

デジタルノマドビザを取得できるのは、査証免除国かつ租税条約を締結している国や地域の国籍保有者に限られます。2026年1月現在、対象となるのは49か国・地域です。

地域
アジア・オセアニアオーストラリアニュージーランドシンガポール韓国台湾香港マカオブルネイ
北米アメリカカナダ
中南米アルゼンチンチリメキシコ
ヨーロッパイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、スイス、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドアイスランドアイルランドオーストリアポルトガルギリシャルクセンブルクチェコハンガリーポーランドスロバキアスロベニアエストニアラトビアリトアニアルーマニアブルガリア
中東イスラエルアラブ首長国連邦トルコ
アフリカ南アフリカ
出典:出入国在留管理庁/対象国・地域一覧

なお、家族帯同の場合、配偶者や子どもは査証免除国の国籍保有者であれば対象となります。詳しくは、出入国在留管理庁/対象国・地域一覧をご覧ください。

年収1000万円以上の証明が必要

デジタルノマドビザの取得には、申請者本人の年収が1000万円以上であることが必要です。申請の際に、就労した国で発行された納税証明書または所得証明書の提出が求められます。

ただし、昇給や昇格により、年収1000万円以上となることが見込まれる方や、新規採用で契約年俸が1000万円の場合も認められます。個人事業主の場合は、契約金額ではなく、必要経費を差し引いた利益の金額での判断です。

医療保険への加入が必須

デジタルノマドビザの取得には、民間の医療保険への加入が必須です。

デジタルノマドビザでの滞在者は中長期在留者に該当しないため、日本の公的医療保険に加入できません。そのため、日本滞在中の医療費は民間の医療保険でカバーする必要があります。
加入の際は、以下の3つの条件を満たしていることを確認してください。

  1.  滞在予定期間をカバーしていること

 日本での滞在期間全体を補償対象としている保険であることが必須です。

  1.  傷害・疾病の治療費用補償額が1,000万円以上であること

 病気やケガによる医療費について、1,000万円以上の補償額が求められます。

  1.  死亡に関する補償が含まれていること

 遺体輸送費または死亡時の保険金支給が補償内容に含まれている必要があります。死亡に関する補償金額の下限は定められていません。

【利用できる保険の例】
・海外旅行傷害保険
・クレジットカードに付帯する海外旅行保険

いずれも上記3条件をすべて満たしている場合に限り有効です。なお、デジタルノマドビザの申請時には、保険に関する以下のような書類の提出が求められます。

【ビザ申請に必要な保険関連書類】
・医療保険の加入証書
・保険約款の写し
・クレジットカード付帯保険の場合は補償内容が確認できる証明書類

その他(家族帯同の場合)

配偶者や子どもを帯同する場合は、帯同者全員、補償内容を満たす医療保険への加入が必須となります。詳細は、 外務省/デジタルノマド・デジタルノマドの配偶者等をご覧ください。

デジタルノマドビザのメリット・デメリット

デジタルノマドビザは、リモートワークが普及している今、なくてはならない在留資格です。日本に滞在しながらでも海外の仕事ができる、働き方の自由度が上がるといった利点がある一方で、注意すべきデメリットもあります。

取得を検討する際は、両方を理解したうえで判断することが重要です。

デジタルノマドビザのメリット

  1.  最長6か月間滞在できる
    短期滞在ビザ(最長90日)と比べ、倍の期間日本で生活できます。
  2.  海外の仕事を継続しながら滞在可能
    日本に拠点を移しつつ、海外企業やクライアントとのリモートワークを続けられます。
  3.  配偶者・子どもと一緒に滞在できる
    家族で日本文化を体験したり、子どもに日本の教育環境を経験させたりすることができます。
  4.  旅行と仕事を両立できるライフスタイル
    リモートワークの特性を活かし、場所を選ばずに働けます。

h3 デジタルノマドビザのデメリット

  1.  在留期間の更新ができない
    最長6か月の滞在後は必ず出国しなければなりません。再度取得する場合、出国後6か月以上経過する必要があります。
  2.  在留カードが発行されない
    銀行口座の開設や携帯電話の契約など、日常生活で不便を感じる場面があります。
  3.  日本の公的医療保険に加入できない
    民間の医療保険への加入が必須となり、医療費が高額になる可能性があります。
  4.  日本国内での就労は不可
    資格外活動許可が取得できないため、日本企業でのアルバイトや日本の顧客への直接的なサービス提供はできません。
  5.  他の在留資格への変更が原則不可
    日本で就職を希望する場合は、一度出国し、就労ビザを取得し直す必要があります。
  6.  年収要件が高い
    年収1,000万円以上という条件があり、誰でも取得できる在留資格ではありません。デジタルノマドビザは、日本での長期滞在とリモートワークを両立できる一方、更新不可や就労制限などの注意点もある在留資格です。

デジタルノマドビザの申請方法と必要書類

デジタルノマドビザの申請方法は、国内申請在外公館申請の2つがあり、どちらを選ぶかは申請者の滞在状況によって異なります。ここでは、それぞれの申請手順と押さえておくべきポイントをチェックしましょう。

必要書類

デジタルノマドビザの申請には、以下の書類が必要です。

書類名内容備考
在留資格変更許可申請書 または 査証申請書デジタルノマドビザを申請する際に提出する所定の申請書日本国内での申請か、海外からの申請かにより様式が異なる
写真(1枚)縦4cm×横3cm、申請前6か月以内に撮影した顔写真無帽・正面・背景無地が必要
パスポートおよびコピー有効期限内のパスポート原本と写し申請時に原本の提示が求められる
雇用契約書 または 業務委託契約書のコピー日本国外の企業等との就労関係を証明する書類日本語または英語での記載が必要
納税証明書 または 所得証明書年収1,000万円以上であることを証明する書類直近年分、公的機関発行のものが望ましい
医療保険の加入証明書 または 約款の写し日本滞在中に有効な医療保険への加入を証明する書類治療費1,000万円以上、死亡時補償を含むこと
在留中の活動計画書滞在目的、業務内容、滞在期間などを説明する書類任意様式だが提出を推奨
身元保証書日本国内の身元保証人による保証書身元保証人がいる場合のみ提出

デジタルノマドビザの申請では、特に収入証明・就労契約・医療保険の3点が重要視されます。

国内申請の流れ

国内申請は、短期滞在(観光など)で日本に滞在中の方が利用できる方法です。

【申請手順】

  1. 必要書類を準備する
  2. 住所地を管轄する地方出入国在留管理局へ申請
  3. 在留資格変更許可申請を提出
  4. 審査(約1か月〜3か月)
  5. 許可後、日本国内でデジタルノマドとして活動開始

許可が下りれば、出国せずそのまま日本で活動を始められます。審査には時間がかかるため、在留期限に余裕を持って申請しましょう。

在外公館申請の流れ

在外公館申請は、日本国外から申請する方法です。

申請手順

  1. 必要書類を準備する
  2. 現地の日本大使館または総領事館で査証申請
  3. 審査(約1週間〜1か月)
  4. 査証発給
  5. 査証の有効期間内に日本へ入国
  6. 上陸審査後、デジタルノマドビザでの滞在開始

審査期間は国・地域により異なります。

参照:デジタルノマドビザ申請の流れ

デジタルノマドビザ申請時の注意点

デジタルノマドビザには、他の在留資格とは異なる制約があります。申請前に以下の注意点を必ず確認しておきましょう。

在留カードは発行されない

デジタルノマドビザでは在留カードが発行されません。

在留カードは中長期在留者に対して発行されます。デジタルノマドビザは中長期在留者に該当しません。在留カードがないと、銀行口座の開設や携帯電話の契約など、日常生活で必要な手続きができない場合があります。

金融機関や通信事業者によっては、パスポートのみで対応してくれるケースもありますが、利用予定の機関・業者には事前に確認しましょう。

また、住民登録の手続きにも在留カードが必要です。住民票が必要な手続きや、市区町村のサービスは利用できないため注意しましょう。

資格外活動許可は取得できない

デジタルノマドビザでは、資格外活動許可を取得することができません。つまり、日本国内の企業でのアルバイトや、日本の顧客に対して直接サービスを提供することは認められません。

デジタルノマドビザで許可されているのは、あくまで海外の企業やクライアントとの契約に基づく業務のみです。日本国内で収入を得る活動を行った場合、強制退去などの処分を受ける可能性があります。日本でビジネスを展開したい場合は、経営・管理ビザなど別の在留資格を検討しましょう。

他の在留資格への変更は原則不可

デジタルノマドビザから他の在留資格への変更は、原則として認められていません。
たとえば、日本企業から内定をもらったとしても、デジタルノマドビザから就労ビザへ直接変更することはできません。在留資格を変更したい場合は、一度日本を出国し、在外公館で新たな査証を取得する必要があります。

ただし、結婚や妊娠など人道上の理由がある場合は、例外的に在留資格の変更が認められる可能性があります。

デジタルノマドビザに関するお困りごとは行政書士へ相談を

デジタルノマドビザの申請は、必要書類が多く、日本語での手続きも求められます。行政書士に依頼することでは、手続きをスムーズかつ確実に進めることができるでしょう。

専門家の手を借りることで、申請要件の事前チェックや年収証明・医療保険内容の確認など、デジタルノマドビザを取得するための準備・申請書作成などの複雑な手続きを任せられます。

日本語での書類作成が難しい外国人の方でも、安心して手続きを進めることが可能です。万が一、追加書類の提出が必要になった場合も、専門家に頼ることでより迅速かつスムーズに対応できます。

また、ビザ申請は一度不許可になると再申請が難しくなるケースもあるため、デジタルノマドビザを確実に取得したい方・慣れない手続きでお困りの方は、行政書士にぜひ一度ご相談ください。

まとめ

本記事では、日本で新たにスタートしたデジタルノマドビザについて、以下のポイントを中心に解説しました。

・デジタルノマドビザとは
海外企業や海外顧客と契約したまま、日本に滞在しリモートワークができる在留資格(正式には、特定活動・告示53号)。

・デジタルノマドビザの取得要件
活動内容の制限や最長6か月(更新不可)の滞在期間、対象49か国・地域、年収1,000万円以上の証明、民間医療保険への加入など、複数の条件を満たす必要がある。

・メリット
国外の仕事と両立しながら滞在できる/長期滞在とリモートワークを両立できる…

・デメリット
在留カードが発行されない/日本国内での就労ができない/他の在留資格へ原則変更できない…

・申請方法と必要書類
国内と国外で申請方法がそれぞれ異なる。
また、ビザ申請において、特に「収入証明」「就労契約」「医療保険」が重要書類。

・申請時の注意点
在留カード未発行、資格外活動不可、在留資格変更が原則不可といった制度特有の制約がある。

デジタルノマドビザは、日本での滞在を楽しみながら海外の仕事を継続できる魅力的な制度ですが、年収要件の高さや更新不可など、他の在留資格にはない制限も多くあります。

要件を正確に理解せずに申請すると、不許可やトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。

申請要件の判断や書類準備に不安がある場合は、行政書士などビザ手続きの専門家へ相談することで、より確実かつスムーズに進めることができます。

本記事が、デジタルノマドビザの取得を検討している方や、日本滞在を計画している方の参考になれば幸いです。

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