ICEBERG行政書士事務所

在留資格・ビザ

技人国ビザエンジニアとは?取得条件・申請方法・注意点を徹底解説!

IT人材が不足する傾向にある近年、注目されているのが外国人エンジニアです。
しかし、「ITエンジニアとして働きたいけど、手続きが難しそう…」「外国人エンジニアを雇用したいけど、必要書類や手続きなど何から始めたらいいの?」そうお悩みの方も多いのではないでしょうか?

日本でエンジニアとして働く外国人の方の間で、一般的な資格は技人国(ぎじんこく)ビザです。ちなみに、技人国ビザとは在留資格「技術・人文知識・国際業務」の通称で、入国のための査証(ビザ)のことではありません。

本記事では、在留資格「技人国ビザ」の中でも、ITエンジニアとして働きたい、又は外国人のITエンジニアを雇用したい方に向けて、

  • 働ける職種
  • ビザの取得条件
  • ビザの申請方法・注意点

などを分かりやすく解説します。

エンジニアとしてのスキルを日本で活かしたい、技人国ビザを申請する具体的な手順を知りたいとお考えの方はぜひ最後までご覧ください。

技人国ビザ エンジニアとは

技人国ビザ「エンジニア」とは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」のうち、「技術」の分野です。

「技術」に該当するのは、理学、工学、その他自然科学(農学・医学・歯学等)に関わる技術や知識を必要とする業務で、エンジニア職もその中に含まれます。在留期間は5年、3年、1年又は3ヶ月となっており、更新することで日本で働き続けることが可能です。

技人国ビザ エンジニアで働ける職種

技人国ビザでエンジニアとして働ける職種には、以下のようなものが挙げられます。

  • システムエンジニア
  • ソフトウェアエンジニア
  • プログラマー
  • システム・技術開発

具体的には、ゲームメーカーでオンラインゲーム開発、自動車メーカーのプロダクトマネージャー、証券会社のシステム開発など、様々な職種に就くことが可能です。

技人国ビザ エンジニアの取得条件

技人国ビザを取得しエンジニアとして就労するためには、以下の3つの条件のうち、どれか1つを満たすことが必要です。

  • 学歴
  • 職歴、経験
  • 資格

それぞれ、詳しくみていきましょう

技人国ビザ エンジニア取得に必要な学歴

出入国在留管理庁が定める学歴の条件は以下の通りです。

  • 大学、又は短大卒業(日本・海外)
  • 専門学校卒業(日本)

ちなみに海外の専門学校卒業の場合、取得の条件を満たすことができません。

技人国ビザ エンジニア取得に必要な職歴・実務経験

技人国ビザの「技術」(エンジニア)を取得するには、10年以上の職歴・実務経験が必要です。この場合、就労しようとする仕事と関連する業務内容であることが求められます。

なお、大学や専門学校で専攻した期間も実務経験に含まれます。

技人国ビザ エンジニア申請に必要な資格

ITエンジニアとして技人国ビザを取得する場合、情報処理技術者の資格を得ることで申請が可能です。経済産業大臣が実施する「情報処理安全確保支援士試験」や「情報処理技術者試験」に合格することで、資格を取得できます。

また、中国、ベトナム、フィリピンなどで実施される情報処理関連の試験も同様です。上記の情報処理技術者の資格を取得すれば、学歴や職歴などの経験がなくても、技人国ビザを申請することができます。

試験の内容など、詳しくは「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」をご覧ください。

技人国ビザ エンジニアの審査期間・必要書類・申請の流れ

エンジニアとして技人国ビザを申請する場合の、審査にかかる期間、必要書類、申請の流れを解説します。 

 技人国ビザ エンジニア申請にかかる審査期間の目安

外国人エンジニアが技人国ビザを申請する際にかかる期間の目安は、以下の通りです。

  • 新たに海外から外国人を呼び寄せる場合(認定):48.9日
  • 滞在中の外国人を雇用する場合(変更):36日

参考:出入国在留管理庁「在留審査処理期間(日数)

ただし、新たに海外から入国する外国人エンジニアには特例が設けられています。

具体的には、「国家戦略特区」に指定されている地方自治体に雇用される場合、通常1~3ヶ月ほどかかる審査期間が短縮され、1ヶ月を目処に処理されます。

参考:出入国在留管理庁「国家戦略特別区域外国人エンジニア就労促進事業実施要綱

技人国ビザ エンジニア申請で必要な書類一覧

エンジニアとして技人国ビザを申請する際の必要書類は、就労先企業のカテゴリーと、申請の種類によって異なります。

カテゴリーは、企業の規模によってカテゴリー1~4に分類されています。詳しくは、出入国在留管理庁のホームページより在留資格「技術・人文知識・国際業務」をご確認ください。

本章では、以下の2つのケースについて必要書類を説明します。

  • 海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)
  • 留学中の外国人を雇用する場合(変更)

必要書類|海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)

新たに海外から外国人を呼び寄せる場合の必要書類(カテゴリー1~4共通)は以下の通りです。

【必要書類一覧(認定)|各カテゴリー共通】
1. 在留資格認定証明書交付申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝|申請前6ヶ月以内に撮影したもの)
3.返信用封筒(定型、宛先記載、簡易書留用の切手貼付)
4.企業の各カテゴリーに対応した必要書類(※2)
5.専門士又は高度専門士の称号を付与された証明書(専門学校を卒業し称号を付与された方)

必要書類|留学中の外国人を雇用する場合(変更)

日本に留学中の外国人を雇用する場合の必要書類(カテゴリー1~4共通)は以下の通りです。

【必要書類一覧(変更)|各カテゴリー共通】
1. 在留資格変更許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝|申請前6ヶ月以内に撮影したもの)
3.パスポート、在留カード(提示)
4.企業の各カテゴリーに対応した必要書類(※2)
5.専門士又は高度専門士の称号を付与された証明書(専門学校を卒業し称号を付与された方)

(※2)企業のカテゴリーに対応した必要書類には、「会社の四季報」や「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」(写し)などがあります。

なお、事業を立ち上げたばかりの企業や個人事務所などで、提出する書類がない場合は「カテゴリー4に」該当します。カテゴリーごとに定められた必要書類は、出入国在留管理庁のホームページより在留資格「技術・人文知識・国際業務」をご確認ください。

技人国ビザ エンジニア申請の流れ

エンジニアとして技人国ビザを申請する流れについて、以下の2つのケースを紹介します。

  • 海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)
  • 留学中の外国人を雇用する場合(変更)

申請の流れ|海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)

【海外から外国人を呼びよせる(認定)】①学歴・職歴の確認② 契約を結ぶ③申請(在留資格認定証明書交付)④送付(在留資格認定証明書)⑤申請(査証)⑥入国⑦在留カード交付⑧就労開始

①学歴・職歴の確認
外国人本人の学歴や職歴が、技人国ビザのエンジニアに該当しているかを確認します。

②契約を結ぶ
企業と外国人本人の間で雇用契約を結びます。

③申請(在留資格認定証明書交付)
企業側が、出入国管理局で「在留資格認定証明書」の交付を申請します。

④送付(在留資格認定証明書)
在留資格認定証明書を外国にいる本人へ送付します。

⑤申請(査証)
外国人本人が、在留資格認定証明書を持参し日本大使館などでビザ(査証)を申請します。

⑥入国
ビザが発給されたら入国できます。ビザの有効期限は発給の翌日から3ヶ月以内ですので、期間内に入国しましょう。

⑦在留カード交付
入国手続きが済んだら、外国人本人に在留カードが交付されます。在留カードとは、適法な在留資格と在留期間で日本に滞在するための「証明書」及び「許可証」として発行されるカードです。

⑧就労開始
就労を開始します。

申請の流れ|留学中の外国人を雇用する場合(変更)

【留学中の外国人を雇用する(変更)】①学歴の確認②契約を結ぶ③申請(在留資格変更許可申請書交付)④就労開始

①学歴の確認
外国人本人の学歴が、技人国ビザのエンジニアに該当しているかを確認します。

②契約を結ぶ
企業と外国人本人の間で雇用契約を結びます。

③申請(在留資格変更許可申請書交付)
外国人本人が、現在の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」への変更許可を申請します。

④就労開始
就労を開始します。

技人国ビザ エンジニア取得の注意点

エンジニアとして技人国ビザを取得する際の主な注意点は以下の2つです。

  • 就職先で担当する業務内容が自分の学歴と関連すること
  • 資格外活動許可の有無を確認すること

就職先で担当する業務内容が自分の学歴と関連すること

技人国ビザを取得しエンジニアとして働く場合は、就職先の業務内容と学歴が一致するよう気をつけましょう。

就職先がIT系の企業であっても、従事する仕事内容がシステムエンジニアやプログラマーではなく通訳や事務等の場合、技人国ビザは取得できません。業務内容と在留資格が異なると、不法就労となるリスクもあるため注意が必要です。

資格外活動許可の有無を確認すること

留学生を雇用する際は、学生時代にアルバイトをした場合に「資格外活動許可」を得ていたかどうか、事前に確認することが重要です。

もし、許可を得ずにアルバイトをしていた場合、「素行不良」とみなされ、技人国ビザを申請しても不許可になってしまいます。

さらに、許可を得ていた場合でも、アルバイトできる時間には週28時間以内という制限があります。それを超えてアルバイトをしていた場合も同様です。技人国ビザ取得にあたり、本人の素行は慎重に審査されるため注意しましょう。

ここまで紹介してきたように、エンジニアとして技人国ビザを取得するには、複雑な手続きや法律関連の知識が必要です。ミスなく手続きを完了させたいとお考えなら、行政書士など専門家の無料相談を活用するのもおすすめです。

まとめ

本記事では、技人国ビザエンジニアについて以下の内容をお伝えしました。

●技人国ビザエンジニアとは
・在留資格「技術・人文知識・国際業務」の「技術」の分野

●技人国ビザエンジニアで働ける職種
(システムエンジニア・ソフトウェアエンジニア・プログラマー等)
●技人国ビザ エンジニアの取得条件
・学歴(日本及び海外の大学・短大卒、日本の専門学校)
・職歴、実務経験(10年以上)
・資格(情報処理技術者)

●技人国ビザ エンジニアの審査期間・必要書類・申請の流れ
・審査期間(1~3ヶ月)
・必要書類
(海外にいる外国人:在留資格認定証明書交付申請書他・留学中の外国人:在留資格変更許可申請書他)
・申請の流れ(まず、学歴・職歴を確認する)

●技人国ビザ エンジニア取得の注意点
・業務内容と学歴の一致
・資格外活動許可の有無の確認

技人国ビザ「エンジニア」は、エンジニアとして働く外国人材の中で最も就労人数が多い資格です。

参考:経済産業省|情報処理振興課「IT人材を巡る現状について(データ編)」

外国人の方は、技人国ビザ「エンジニア」を取得することで、ITエンジニアとしてのスキルを日本で十分に活かすことができるでしょう。また、企業にとって技人国ビザ「エンジニア」を所持する外国人材の雇用は、自社の技術力向上やグローバルな展開に貢献すると期待できます。

本記事が、ITエンジニアとして日本で働きたい外国人の方や、外国人エンジニアを起用したいとお考えの担当者の方のお役に立てれば幸いです。

自分でするビザ申請マニュアル|ビザに強い町田の行政書士監修

外国人の家族や友人を日本へ呼び寄せたい、外国人の方を採用したいとお考えの方にとって、ビザ申請は避けては通れない手続きですよね。
しかし、「ビザ申請を自分で行いたいけど、何から始めればいいかわからない…」そんなふうにお悩みではありませんか?

本記事では、ビザ申請を自分で行うために知っておきたいメリット・デメリットや具体的なステップなどをわかりやすく解説します。
ビザ申請に関する疑問を解消し、不安なく手続きを進めたいとお考えの方はぜひ最後までご覧ください。

ビザ申請は自分でできる?

ビザ申請は、原則として外国人本人が行う手続きのため、自分で申請することが可能です。ビザを申請する際に必要な書類は、本人が用意するものの他に、招へい人(※)が用意しなければならない書類もあります。
※ 招へい人:来日を望んでいる外国人を呼び寄せたい人のこと

必要な書類をきちんと準備し手順に沿って手続きすることで、自分でビザ申請をすることができます。
なお、外務省では相談窓口も設けられているため、自分で申請する際は、外国人在留支援センター(FRECS/フレスク)外務省ビザ・インフォメーションを活用するのもおすすめです。

ただ、相談窓口は、必要書類や申請書の書き方など一般的なことは教えてくれますが、ビザが許可されるために個別のサポートをしてくれることはほとんどありません。そのため、外務省のホームページ内にある「ビザ(査証)」をしっかり読み、自身に合った書類を揃えることが必要です。

スムーズにビザを取得するため、自分で申請する場合は書類の記入漏れがないよう慎重に進めましょう。

自分でビザ申請するメリット・デメリット

自分でビザ申請をする際のメリットとデメリットについて解説いたします。

自分でビザ申請するメリット

自分でビザ申請する際のメリットは、以下の2つが挙げられます。

  • 専門家への委託費用がかからない
  • 知識・経験がつき次回以降の手続きがスムーズになる

詳しくみていきましょう。

専門家への委託費用がかからない

自分でビザ申請をすると、行政書士など専門家への委託費用がかかりません。

ビザ申請の手続きを行政書士などの専門家に依頼した場合、費用は申請内容によっても変わりますが、数万円から十数万円になるケースがほとんどです。

自分でビザ申請すれば、委託費用が発生しないことは、大きなメリットといえるでしょう。

知識・経験がつき次回以降の手続きがスムーズになる

自分でビザを申請をすると、知識と経験がつき次回以降の手続きがスムーズになります。特に、外国人を採用したい企業の担当者の方にとって、ビザ申請の手続きは、一回で終わりではないでしょう。

ビザ申請を自分で行うことで、知識と経験がつき次回からの手続きをよりスムーズに行えるようになることがメリットの一つです。ちなみに、在留資格の更新や変更が必要になった際にも、手続きにストレスを感じることが少なくなるでしょう。

自分でビザ申請するデメリット

自分でビザ申請するデメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • 許可の可能性が下がるリスクがある
  • 手続きに膨大な手間と時間がかかる
  • 専門用語が難しく理解しづらい

それでは一つずつ詳しくみていきましょう。

許可の可能性が下がるリスクがある

ビザ申請の手続きは煩雑なため、自分で行うと許可が降りる可能性は低くなるといわれています。要件を十分に理解できていなかったり、必要書類に不備が見つかる場合があるためです。

きちんと揃っていれば許可が降りるケースでも、書類ひとつで不許可になる場合があります。このように、自分ですると許可の可能性が下がるリスクがあることはデメリットといえます。

手続きに膨大な手間と時間がかかる

自分でビザ申請をするデメリットの2つ目は、手続きに膨大な手間と時間がかかることです。適したビザの種類や必要書類、申請時期など、すべてを自分で調べる必要があります。

また、必要な書類は一律に決まっているわけではありません。資格の種類や個々の状況に応じて揃える書類が異なります。そのため、自分に必要な書類を漏れなく揃えることも、決して簡単ではありません。さらに、書類によっては市役所へ出向かなければ揃えられないものもあります。

このように、自分でビザ申請をすると非常に手間と時間がかかってしまうのです。

専門用語が難しく理解しづらい

3つ目のデメリットは、ビザ申請に使われる専門用語が難しく理解しづらい点です。外国人本人が自分でビザ申請をする場合、専門用語が多く内容も煩雑なため、正しく理解するのは容易なことではないでしょう。
また、招へい人が準備する必要書類に関しても、細かな要件や資格内容を正しく把握するのは、かなり困難です。

専門用語を理解しないまま書類を提出した場合、要件を満たせているのかの判断すら難しいケースもあるため不許可になる確率が高まります。

自分でビザ申請する手続き

自分でビザを申請する場合の一般的な手続きの流れを紹介します。

【自分でビザ申請する手続き】

STEP1.準備
招へい人及び身元保証人が、必要書類を準備する

ビザ申請に必要な書類は、入国の目的や国籍などによって異なります。
詳しくは、外務省のホームページより「ビザ(査証)」のページをご覧ください。

STEP2.郵送
招へい人及び身元保証人が、揃えた必要書類を外国人本人に郵送する
STEP3.申請
外国人本人が、書類を在外公館の申請窓口に提出しビザ申請を行う

ビザ申請者は、届いた書類を持ってお住まいの日本大使館・総領事館・領事事務所などの申請窓口へ出向き、書類を提出し申請します。

なお、ビザ申請の手続きは日本国内では行えません。

STEP4.審査
在外公館で審査が行われる

在外公館での審査にかかる期間は、何も問題ない場合1週間ほどです。しかし、書類に不備があると1ヶ月以上かかることもあるため、書類の準備は慎重に行いましょう。

STEP5.ビザ発給
審査結果の通知が在外公館から本人へ届く

通知が届いたら在外公館へ出向き、預けていたパスポートとビザを受け取ります。

自分でビザ申請する具体的な手順

自分でビザ申請をする具体的な手順は、目的によって以下の3つに分類されています。

  • 短期滞在ピザ
  • 就労・長期滞在ビザ
  • 医療滞在ビザ

それぞれ詳しくみていきましょう。

短期滞在ビザ手続き

観光や親族訪問など収入を伴わない90日以内の滞在の場合、短期滞在ビザの手続きが必要です。

【短期滞在ビザ申請の手順

【手順1】
ビザ申請人(本人):パスポート、ビザ申請書、写真、その他必要書類を準備する。
招へい人:招へい理由書、滞在予定表などを準備する。

【手順2】
招へい人:必要書類が揃ったら、ビザ申請人(本人)へ送付する。

【手順3】
ビザ申請人(本人):居住地の日本大使館又は総領事館に書類を提出し、ビザを申請する。

【手順4】
ビザ申請人(本人):審査修了の通知を受け取ったら、日本大使館または総領事館へ出向き、ビザを発給してもらう。

【手順5】
ビザ申請人(本人):ビザ有効期間の3ヶ月以内に日本に入国する。

必要書類は、ビザ申請人の国籍や申請の目的によって異なります。詳しくは、外務省のホームページより「ビザ(査証):短期滞在」をご確認ください。

就労・長期滞在ビザ手続き

日本で働く場合や留学、日本人の配偶者がいる場合等、就労・長期滞在ビザの手続きが必要です。

【就労・長期滞在ビザ申請の手順

【手順1】
ビザ申請人(本人):パスポート、ビザ申請書、写真、その他必要書類を準備する。
招へい人:地方出入国管理局へ「在留資格認定証明書」交付を申請する。

【手順2】
招へい人:交付された「在留資格認定証明書」を、ビザ申請人(本人)へ送付する。

【手順3】
ビザ申請人(本人):居住地の日本大使館又は総領事館に書類を提出し、ビザを申請する。

【手順4】
ビザ申請人(本人):審査修了の通知を受け取ったら、日本大使館または総領事館へ出向き、ビザを発給してもらう。

【手順5】
ビザ申請人(本人):ビザ有効期間の3ヶ月以内に日本に入国する。

該当する職業や必要書類など、詳しくは外務省のホームページより「就労や長期滞在を目的とする場合」をご覧ください。

医療滞在ビザ手続き

医療滞在ビザの手続きが必要なのは、治療、人間ドック、温泉湯治などの療養が目的で来日される方です。

【医療滞在ビザ申請の手順

【手順1】
ビザ申請人(本人):身元保証機関(※)を確認のうえ日本の受け入れ医療機関を決め「医療機関による受診等予定証明書及び身元保証機関による身元保証書」を受け取る。
身元保証機関のリスト1(登録医療コーディネーター等) 身元保証機関のリスト2(登録旅行会社)のリスト)

【手順2】
ビザ申請人(本人):パスポート、ビザ申請書、写真、その他必要書類を準備する。

【手順3】
ビザ申請人(本人):居住地の日本大使館又は総領事館に書類を提出し、ビザを申請する。

【手順4】
ビザ申請人(本人):審査修了の通知を受け取ったら、日本大使館または総領事館へ出向き、ビザを発給してもらう。

【手順5】
ビザ申請人(本人):ビザ有効期間内に日本に入国する。(必要に応じ3年:ビザ申請者本人の症状等で異なる)

同伴者や必要書類など、詳しくは外務省のホームページより「医療滞在ビザを申請される外国人患者等の皆様へ」をご覧ください。

よくある質問と解決策

以下に、外国人の方のビザ申請について、よくある質問と解決策をまとめたのでご確認ください。

Q1:ビザの申請をしてから許可が下りるまで、何日くらいかかりますか?

A1:提出した書類に何も問題なければ、1週間ほどです。しかし、不備がある場合、1ヶ月以上かかるケースもあります。

Q2:ビザを申請する際、外国人本人が日本大使館や総領事館へ行く必要はありますか?

A2:原則として、ビザ申請人本人が日本大使館または総領事館へ出向いて申請しますが、他にも次のような方法があります。

  • 日本大使館または総領事館が承認した代理人
  • 日本大使館または総領事館が承認した代理申請機関
  • オンライン申請

※上記の方法は、各国地域によって認められない場合もありますので、お住まいの大使館または総領事館で事前にご確認ください。

Q3:外国人を日本に呼びたいのですが、どのような手続きが必要ですか?

A3:外国人の方の目的が短期滞在の場合、招へい理由書と滞在予定表が必要です。また、目的が長期滞在の場合は、まず出入国在留管理局で「在留資格認定証明書」の交付を申請する手続きを行ってください。

外国人の方の国籍や状況により、その他の必要書類が異なりますので、詳しくは外務省のホームページより「ビザ(査証)」をご覧ください。

Q4:ビザ申請を自分でするのと専門家に依頼するのではどちらが早く発行できますか?

A4:ビザ申請を自分でするのと専門家に依頼するのでは、専門家に任せる方が早く発行できる傾向にあります。その理由は、自分でビザを申請する場合、必要書類を揃えたり資料を作成するなど慣れない作業に時間がかかるからです。

さらに、書類に不備がある場合は外務省の審査にも時間がかかるでしょう。一方、行政書士などの専門家に依頼すれば、申請までの事務処理がスムーズです。
許可が降りやすい書類の書き方も熟知しているため、ビザを取得する時間が短縮される可能性は高まります。

専門家のサポートを上手に利用する方法

行政書士などの専門家のサポートを上手に利用する方法は、主に以下の2つです。

  • ビザ申請の無料相談を活用する
  • 専門家の得意分野とビザを申請する目的が合っている所を選ぶ

以下にそれぞれ詳しく解説します。
専門家のサポートを活用することで、時間や手間を節約でき不許可のリスクも減らせるため、ぜひチェックしてください。

ビザ申請の無料相談を活用する

行政書士などの専門家のサポートを上手に利用するには、無料相談を活用するのがおすすめです。行政書士の中には、無料相談を受け付けているところがあります。まずは、専門家の無料相談を活用し、ご自身の状況や希望を伝え、どのようなサポートが受けられるのかを把握しましょう。

また、行政書士のサポートを上手に利用するためには、オンラインでの無料相談は可能か、土日も相談できるかなどもあらかじめ確認しておきましょう。

専門家の得意分野とビザを申請する目的が合っている所を選ぶ

専門家の得意分野とビザを申請するご自身の目的がピッタリ合っている所を選ぶことも、サポートを上手に活用するポイントです。

ひと口に行政書士といっても、許認可申請、契約書作成など得意分野はそれぞれ違います。そのため、専門家のサポートを上手に利用するためには、ビザ申請が得意な専門家を選ぶことが重要です。

まとめ:自分でするビザ申請は細心の注意をはらいましょう

本記事では、ビザ申請を自分でする際のポイントについて解説しました。

ビザ申請の手続きは自分でできる

自分でビザ申請するメリット
・専門家への委託費用がかからない
・知識・経験がつき次回以降の手続きがスムーズになる

自分でビザ申請するデメリット
・許可の可能性が下がるリスクがある
・手続きに膨大な手間と時間がかかる
・専門用語が難しく理解しづらい

自分でビザ申請する手続き(準備→郵送→申請→審査→ビザ発給)
●自分でビザ申請する具体的な手順(短期滞在ビザ、就労・長期滞在ビザ、医療滞在ビザにより手順が異なる)

専門家のサポートを上手に利用する方法
・ビザ申請の無料相談を活用する
・専門家の得意分野とビザを申請する目的が合っている所を選ぶ

ビザ申請は複雑ですが、手続きを慎重に進められれば自分で申請することも可能です。しかし、専門家のサポートを利用すれば、必要な時間や労力が減ることはもちろん、不許可のリスクを大幅に減らせるでしょう。

本記事が、自分でビザ申請をしたいとお考えの方に少しでもお役に立てたら幸いです。

技人国ビザとは?取得条件・必要書類・申請方法をプロが徹底解説

「技人国ビザの取得には、どんな条件を満たせばいいの?」「外国人を雇用したいけど、手続きが複雑で大変そう…」こういったお悩みをお持ちではありませんか?

本記事では、技人国ビザについての基本的な知識から、必要書類、申請手順、注意点などを分かりやすく解説します。

ちなみに、技人国ビザとは在留資格の種類の1つで、入国する際に必要なビザ(査証)とは異なります。今回は、在留資格「技人国」についてのご紹介です。

「専門知識を活かして日本で働きたい」「優秀な外国人を獲得し、多様な人材を活用したい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

 技人国ビザとは

技人国(ぎじんこく)ビザとは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の一般的な名称です。以下に、技人国ビザについて、基本的なことと就労できる職種について紹介します。

 技人国ビザの基本概要

技人国ビザとは、在留資格の種類のうち「就労」に分類される資格です。外国人が大学や専門学校で培った専門知識や技術、または母国での職務経験や文化・言語に関する知識を活かして日本で働くことが、技人国ビザの目的です。

技人国ビザの在留期間は5年、3年、1年又は3ヶ月ですが、更新回数に制限はないため、更新を続ければ日本で働き続けることができます。

技人国ビザは、「特定技能」の在留資格と混同されがちですが、2つの違いはそれぞれの目的にあります。特定技能ビザは、主に人手不足の解消が目的ですが、技人国ビザは、専門知識やスキルの活用が目的です。

 技人国ビザで就ける職種

技人国ビザで就ける職種は、大きく分けると以下の3つに分類されます。

  • 技術
  • 人文知識
  • 国際業務

1)技術
主に理学や工学などの理系分野を専攻した人が就く業務で、専門的・技術的な高度な知識が求められます。

【具体例】
・プログラマー
・CAD、CAEのシステム解析
・自動車メーカーで技術開発
・土木及び建築の研究開発、設計
・情報セキュリティ関連業務

2)人文知識
主に法学や経済学、社会学などの文系分野を専攻した人向けの業務で、学問的・体系的な知識が必要です。

【具体例】
・弁護士候補
・マーケティング、広報
・経営コンサルタント
・営業、管理部門の幹部候補
・海外事業部での会計業務

3)国際業務
外国に特有な文化に根差した、一般の日本人が有しない思考方法や感受性が求められます。外国人ならではの強みや感性を活かした業務です。

【具体例】
・語学教師
・通訳、翻訳
・ファッションコーディネーター
・カーデザイナー
・空港旅客業務

技人国ビザの取得条件

技人国ビザの主な取得条件は以下の6つです。

1.技人国ビザ取得に必要な学歴・職歴があること

技人国ビザを取得する条件の1つ目は、必要な学歴や職歴があることです。以下、表にまとめましたのでご覧ください。

【技人国ビザに必要な学歴・職歴】

職種学歴職歴
技術・人文知識・本国又は日本の大学院、大学、短期大学卒業・日本の専門学校卒業・関連分野で10年以上の職務経験
国際業務不問・関連分野で3年以上の職務経験・翻訳、通訳、語学教育の場合、実務経験不(大卒者)

技術・人文知識は、上記の学歴がなくても、関連する分野で10年以上の職務経験を積んでいれば、技人国ビザを取得できます。一方、国際業務の場合、学歴は不問です。高校卒業や日本語学校卒業でも、上記で紹介した職歴の要件を満たすことで技人国ビザの取得は可能です。

なお特例として、IT技術者については、法務大臣が定める「情報処理技術」に関する試験又は資格に合格していれば、学歴・職歴は問われません。

技人国ビザと学んだ内容・職務内容の関連性があること

技人国ビザを取得する2つ目の条件は、技人国ビザと学んだ内容・職務内容に関連性があることです。技人国ビザを取得するためには、専攻した学科や卒業後の実務経験と、日本で従事しようとする業務内容が関連していることが求められます。

実務経験の場合、従事しようとする業務と全く同じ実務経験である必要はありませんが、関連する業務であることは必須の条件です。

勤務先企業の経営状況が安定していること

技人国ビザを取得する3つ目の条件は、外国人労働者が勤務する企業の経営状況が安定していることです。報酬や環境などの面で、外国人が安定して継続的に働ける基盤がその会社に整っていることが求められます。

雇用の必要性・業務内容が十分であること

技人国ビザを取得する条件の4つ目は、雇用の必要性・業務内容が十分にあることです。技人国ビザは、外国人がこれまでに身につけた専門知識や経験を活かした業務に就くことが求められます。

技人国ビザは、単純労働や専門知識が不要な業務には適用されません。日本人ではなく外国人を雇用する必要性と業務内容の十分な確保が、取得するための条件です。

日本人と同等以上の給与が支払われていること

技人国ビザを取得する条件の5つ目は、日本人と同等以上の給与が支払われていることです。業務内容が同じにもかかわらず、日本人が受ける報酬よりも少ない場合、技人国ビザを取得することはできません。

参考:出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

上記「在留資格の明確化等について」に明記されている通り、技人国ビザを取得するには、外国人労働者が日本人と同等以上の給与で雇用されることが求められます。

素行や法令順守に問題がないこと

素行や法令順守に問題がないことも、技人国ビザを取得するための重要な条件です。
例えば、以下の点について慎重に審査されます。

  • 退去強制や逮捕歴・犯罪歴がない
  • 住民税、国民健康保険料などの滞納や未納がない
  • 在留資格の範囲内で活動している
  • 届出等の義務を果たしている(在留カードの有効期限更新、所属機関の変更など)
  • アルバイトをする際は国で許可された勤務時間を守っている

技人国ビザを取得するには、素行に問題がないことと法令を順守していることが求められます。

技人国ビザ申請に必要な書類

本章では、技人国ビザの申請に必要な書類について説明します。海外から外国人を新たに呼び寄せる(招へい)場合と、日本に滞在中の留学生を雇用したい場合、必要書類がそれぞれ違うためご確認ください。

海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)の必要書類

【認定|共通】
・在留資格認定証明書交付申請書
・写真(縦4㎝×横3㎝|申請前6ヶ月以内に撮影した写真) 1葉
・返信用封筒(定型、宛先記載、簡易書留用の切手貼付)
・専門士又は高度専門士の称号を付与された証明書(取得要件が専門士又は高度専門士の場合)
・会社の規模(カテゴリー1~4)に対応した必要書類(※)

日本滞在中の留学生を雇用する場合(変更)の必要書類

【変更|共通】
・在留資格変更許可申請書
・写真(縦4㎝×横3㎝|申請前6ヶ月以内に撮影した写真) 1葉
・パスポート及び在留カード(提示)
・専門士又は高度専門士の称号を付与された証明書(取得要件が専門士又は高度専門士の場合)
・会社の規模(カテゴリー1~4)に対応した必要書類(※)

(※)会社の規模によって、必要書類はカテゴリー1〜4に分類されています。

提出に必要な書類は各カテゴリーで大きく異なります。詳しくは、出入国在留管理庁のホームページより在留資格「技術・人文知識・国際業務」をご確認ください。

企業の各カテゴリーについては、後述する「技人国ビザ申請時の注意点」で詳しく解説しています。書類に不備があると、一度で許可が降りないケースもあります。このようなリスクをなくしたいとお考えの方は、行政書士に相談してみるのもおすすめです。

 技人国ビザの申請手順

技人国ビザ申請の手順について、申請の流れや取得までにかかる期間を解説します。新たに外国人を呼び寄せる場合と日本に滞在中の留学生を雇用したい場合の2パターンを説明しますので、ご覧ください。

 技人国ビザ申請の流れ

技人国ビザ申請手順①海外から外国人を呼び寄せる

STEP1.「在留資格認定証明書」の交付申請をする
申請は、本人に代わって受入れ機関の職員や行政書士などが行います。
STEP2. 「在留資格認定証明書」を外国人本人へ送付する
「在留資格認定証明書」は代理で申請した方の住所へ届くため、海外の本人のもとへ郵送します。
STEP3. 外国人本人がビザ申請をする
外国人本人は、届いた「在留資格認定証明書」を持って在外公館(日本の大使館または領事館)へ行き、ビザ(査証)を申請します。
STEP4. 外国人本人が来日し就労する
外国人本人は交付されたビザ(査証)を持って来日し仕事を始めます。

技人国ビザ申請手順②滞在中の留学生を雇用する

STEP1. 企業が外国人と雇用契約を結ぶ
STEP2.「在留資格変更許可申請書」の交付申請をする
申請は、本人又は企業の担当者、行政書士などの取次者が行います。
STEP3.技人国ビザの在留カードを受け取る
本人が、 申請結果の通知ハガキと卒業証書を持って出入国在留管理局へ出向き、在留カードを受け取ります。
STEP4.仕事を始める

雇用契約は、在留資格の変更手続きよりも先に行います。

理由は、在留資格の変更手続きをする際、必要書類として、企業の労働条件を明示する文書や決算書の写しなどを提出する必要があるためです。

技人国ビザ申請から取得までにかかる期間

技人国ビザの申請から取得までの期間は、以下の通りです。

  • 在留資格認定証明書交付 1~3ヶ月
  • 在留資格変更 1~2ヶ月

参考:出入国在留管理庁「在留手続」

技人国ビザは、申請してすぐに許可が下りるものではありません。申請手続きをする際は、日数に十分な余裕を持ちましょう。

技人国ビザ申請時の注意点

技人国ビザを申請する際の主な注意点は、以下の2つです。

  • 企業のカテゴリーに対応した書類を提出すること
  • 技人国ビザで単純作業はできない

以下に詳しく説明します。

企業のカテゴリーに対応した書類を提出すること

技人国ビザを申請する際の1つ目の注意点は、企業のカテゴリーに対応した書類を提出することです。技人国ビザの申請については、企業の規模によってカテゴリー1~4に分類されており、必要書類はそれぞれ違います。企業の規模によるカテゴリーは以下の通りです。

【カテゴリー1~4の区分】

区分企業の規模
カテゴリー1上場企業、保険業を営む相互会社等
カテゴリー2前年分の源泉徴収額1,500万円以上の団体・個人
カテゴリー3前年分の源泉徴収票の法定調書合計が提出された団体・個人
カテゴリー4カテゴリー1~3に該当しない団体・個人

上記のカテゴリーによって提出する書類は全く異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

技人国ビザで単純作業はできない

技人国ビザは習得した専門知識を活かして働くことを目的としているため、単純作業での就労はできません。業務の内容が、電話受付やタイヤの付け替え、パソコン等のデータ保存などの単純作業の場合、技人国ビザの対象外となります。。

審査で単純作業と判断された場合、不許可になる確率は高まります。申請時には、技人国ビザに該当する業務内容かどうかを、しっかり確認することが大切です。

まとめ

本記事では、在留資格の1つである技人国ビザについて以下の内容をお伝えしました。

・技人国ビザとは
 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の一般的な名称
 働ける職種は3つ(技術・人文知識・国際業務)

・技人国ビザ取得条件6つ
 必要な学歴・職歴を満たしている
 学んだ学科と業務に関連性がある
 勤務先の経営状況が安定している
 雇用の必要性と十分な業務量がある
 日本人と同等以上の給与の支払いがある
 素行や法令順守に問題がない

・技人国ビザ申請に必要な書類
 海外から外国人を呼び寄せる(在留資格認定証明書他)
 滞在中の留学生を雇用する(在留資格変更許可申請書他)

・技人国ビザの申請手順
 海外から外国人を呼び寄せる
(在留資格認定証明書の交付を申請する)
 滞在中の留学生を雇用する
(まず、企業と外国人との間で雇用契約を結ぶ)

・技人国ビザ申請~取得にかかる期間(1~3ヶ月)

・技人国ビザ申請時の注意点
 企業のカテゴリーに対応した書類を提出する
 単純作業はできない

本記事が技人国ビザについて詳しく知りたい方や、外国人を採用して企業の事業拡大を図りたい担当者の方のお役に立てれば幸いです。

【2025年最新版】外国人雇用助成金完全ガイド|種類・申請~注意点

外国人雇用でもらえる助成金を検討されている企業経営者や担当者の方の中には、
「人手不足を解消したい」「外国人労働者が職場に定着してくれるよう助成金を利用したい」
このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

助成金を活用すれば、コストを抑えながら円滑に外国人の雇用を進めることができます。しかし、助成金の申請条件や手続き方法などが煩雑で分かりにくいと感じる方も少なくありません。

本記事では、外国人雇用でもらえる助成金についての基本的な知識から申請方法、注意すべきポイントまでを分かりやすく解説します。外国人雇用に関する助成金の手続きを、滞りなく進めたいとお考えの方はぜひ最後までご覧ください。

※厚生労働省が管轄する助成金の申請代行は社会保険労務士、その他の省庁や自治体が管轄するものは行政書士の業務と定められています。

外国人労働者の雇用で活用できる助成金とは

外国人の雇用で活用できる助成金とは、外国人労働者を雇用する企業が活用できる、返済の必要がない公的な給付金です。主に、厚生労働省、経済産業省、各地方自治体で取り組まれています。

助成金にはいくつかの種類があり、それらを上手く活用することで、企業側の負担を減らしながら、人材を育成することが可能です。

 助成金と補助金の違い

助成金と補助金は、どちらも返済不要の公的な支援金ですが、管轄や目的など、様々な違いがあります。以下に、助成金と補助金の違いを表にしてまとめました。

【助成金と補助金の違い】

助成金補助金
管轄主に厚生労働省各省庁(主に経済産業省、農林水産省等)・地方自治体
目的雇用、労働環境の安定・改善新規事業の支援・地域振興
給付額約数十万~数百万円約数百万円~数十億円
受給の難易度
公募期間通年一定期間

一般的に、助成金は要件を満たせば受給できますが、補助金には審査があるため、助成金より受け取るのが難しいと言われています。上記の表では助成金と補助金のおおまかな違いを紹介しました。

しかし、実際には、助成金という名目で補助金と似た内容のものもあります。詳細は、各省庁や自治体のホームページよりご確認ください。

外国人雇用に助成金が活用される背景

外国人の雇用に助成金が活用される背景には、少子高齢化による人手不足が挙げられます。そのため、外国人労働者の雇用を検討する企業が増えています。しかし、日本の雇用ルールや習慣に不慣れな外国人労働者の場合、労働条件や解雇などに関するトラブルが起こりがちです。

このようなトラブルを回避するため、国や自治体は外国人雇用に取り組む事業主に対して、経費の一部を支援しています。助成金を活用することで、外国人労働者の職場定着と育成を図ることができます。

 外国人雇用に関する主な助成金制度

本章では、外国人を雇用する際に活用できる主な助成金制度についてご紹介します。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは  

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは、外国人の方が働きやすいよう、職場環境の整備を行う事業主に対して給付される助成金です。

【受給要件】
外国人労働者(特別永住者および在留資格「外交」「公用」を除く)を雇用していること以下に挙げる外国人労働者に対する就労環境整備措置を導入し、実施すること 

【必須要件】   
(1)雇用労務責任者の選任   (2)就業規則の多言語化 

【いずれか一つ】  
(1)苦情・相談体制の整備   (2)一時帰国のための休暇制度の整備   (3)社内マニュアル・標識類の多言語化就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後に、外国人労働者の離職率が15%以下であること

【受給額】
1制度導入につき20万円(上限80万円)

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは、職業経験、技能、知識の不足により安定的な就業が難しい求職者を、一定の期間(原則3ヶ月間)試行雇用する事業主に対して給付される助成金です。

【受給要件】
ハローワークまたは、職業紹介事業者等の紹介で雇用すること原則3ヶ月のトライアル雇用をすること1週間の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間と同じであること(30時間以上)
【受給額】
月額4万円(最長3ヶ月)

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の労働者を正社員として雇ったり処遇の改善などに取り組んだ事業主に対して給付される助成金です。

キャリアアップ助成金には、以下の5つのコースが用意されています。

  • 正社員コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規程等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 社会保険適用時処遇改善コース
【受給要件】
雇用保険に加入していること事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いていることキャリアアップ計画を作成、管轄労働局長に提出していること労働条件、勤務状況、賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出法を明らかにできること
【受給額】
キャリアアップ助成金の受給額は、コースによって異なります。

キャリアアップ助成金の受給額等、詳しくは厚生労働省の「キャリアアップ助成金のご案内」(PDF)をご覧ください。

助成金には、ほかにも受給要件が細かく設定されています。詳しくは下記へお問い合わせください。
労働局 ハローワーク 申請窓口

助成金を受けるための基本要件と申請手続き

本章では、外国人雇用で助成金を受給する際の基本について、以下の3つの項目別にお伝えします。

  • 基本要件
  • 共通条件
  • 申請方法

基本要件

助成金を受け取るためには、まず、適切な在留資格を取得している必要があります。外国人の在留資格によっては雇用できないケースもあるため、採用する前に、外国人が取得している在留資格の種類や有効期間などをきちんと確かめましょう。

さらに、在留資格によっては助成金の対象外となるケースもあります。例えば、キャリアアップ助成金では、在留資格「技能実習」、また「EPA看護師・介護士」の試験合格前の場合は受給の対象外です。

このように、適切な在留資格を持っていることは助成金を受ける基本となる要件です。

共通条件

雇用に関する助成金には、以下のような共通の条件があります。

【雇用関係の助成金共通の要件】

  • 雇用保険適用事業主であること
  • 支給の審査に協力すること
    (1)審査に必要な書類を保管している
    (2)管轄労働局から必要書類等の提出を求められた際に応じる
    (3)管轄労働今日の実地調査に応じる
  • 申請期間内に申請を行うこと

参照:厚生労働省「各雇用関係助成金に共通の要件等

外国人の雇用に活用できる助成金のそれぞれの要件については「外国人雇用に関する主な助成金制度」を参考にしてください。 

外国人雇用の助成金|申請方法

外国人の雇用に使える助成金の申請方法を、簡単に紹介します。

【外国人雇用の助成金申請方法】
STEP1. 指定の書類を作成し、ハローワークへ提出するSTEP2. 指定の要項を外国人労働者へ実施するSTEP3. 実施期間の終了後に、ハローワークへ助成金の支給を申請する

助成金の詳しい申請方法等は、それぞれ下記のページよりご確認ください。

厚生労働省「人材確保支援助成金外国人労働者就労環境整備助成コースのご案内
厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のご案内
厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度)

外国人雇用の助成金|申請に必要な書類

外国人雇用の助成金を申請する際に必要な書類は、助成金ごとに異なります。詳細は下記のページを参考にしてください。

・人材確保支援助成金
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック(令和7年4月1日現在)|P16
・トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|【申請様式ダウンロード】
・キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)|P25

外国人雇用の助成金|手続きの流れ

外国人の雇用で受け取れる以下の助成金について、手続きの流れをご紹介します。

  • 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
  • トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
  • キャリアアップ助成金

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

【人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)】
就労環境整備計画を作成し、ハローワークに提出する↓就労環境整備措置を導入する↓就労環境整備措置を実施する↓実施後、ハローワークに助成金の支給を申請する

助成金の支給を申請できるのは、算定期間(実施日の翌日から6ヶ月間)が終了した後、2ヶ月以内です。詳しくは、厚生労働省「人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コースのご案内」をご覧ください。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

【トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)】
ハローワークにトライアル求人を申し込む↓雇入れから2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」をハローワークに提出する↓終了後、ハローワークに助成金の支給を申請する

助成金の支給を申請できるのは、トライアル雇用終了後2ヶ月以内です。詳しくは、厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のご案内」をご覧ください。

キャリアアップ助成金

【キャリアアップ助成金】
各コースを実施する前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、ハローワークへ提出する↓キャリアアップ計画書に基づいて実施↓6ヶ月間賃金を支払う↓終了後、ハローワークに助成金の支給を申請する

キャリアアップ助成金を申請するには、提出した「キャリアアップ計画」を労働局長に認可してもらう必要があります。また、助成金の支給を申請できるのは、6ヶ月の賃金を支払った日の翌日から2ヶ月以内です。

詳しくは、厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」をご覧ください。ちなみに、助成金の種類によっては併せて受給できるものもあります。事前に確認することで、助成金を最大限に受け取れるでしょう。

 なお、助成金の申請には郵送と電子申請の二つの方法があります。郵送の場合は、申請期間内にハローワークに届ける必要があります。簡易書留など、記録が残る方法での郵送が安心です。

助成金を活用するメリット

外国人の雇用に助成金を活用するメリットは、おもに以下の3つです。

以下より詳しくみていきましょう。

コスト削減につながる

助成金を活用することは、コスト削減につながります。
例えば、外国人を雇用する際の通訳費、翻訳料、専門家への委託料、社内設備の設置・改修費など、経費の一部を助成金で補うことができます。そのため、初期投資や運営費用を抑えることが可能です。

優秀な人材を確保しやすい

助成金を活用し雇用条件を改善することで、優秀な人材を確保しやすくなります。例えば、助成金を福利厚生の充実や研修体制の向上などに投資できるため、より優れた外国人労働者を雇用する機会が増えるでしょう。

従業員の育成・定着を図れる

助成金を活用することで、従業員の育成・定着を図ることが可能です。例えば、外国人労働者へのスキル研修や日本語研修を実施したり、キャリアアップを支援することもできます。

これにより、外国人労働者の能力向上と長期的な定着につながるでしょう。

助成金申請で注意すべきポイント

外国人を雇用する際、助成金の申請で注意すべきポイントを3つ紹介します。

以下より詳しくみていきましょう。

事前に受給要件を確認する

助成金を受け取るには、事前に受給要件を確認しておくことが重要なポイントです。助成金には受給要件が設定されており、要件は助成金ごとに異なります。

要件を満たしていないと支給されない可能性もあるため、外国人労働者はもちろんのこと、自社が受給要件を満たしているかを事前に確認しましょう。

助成金は後払いである

助成金は原則として後払いです。先に定められた取組みを実施し、その後申請書を提出、認定された後に支払われます。助成金の支給までに1年ほどかかる場合もあるため、計画的な活用が大切です。

実態と異なる書類等を提出しない

助成金を申請する際、実態と異なる書類を提出しないよう細心の注意を払いましょう。事実に反する書類を提出し助成金を申請すると、不正受給とみなされます。

悪質と判断された場合は、雇用関係の助成金がすべて3年間支給停止となってしまうため、故意ではなくとも虚偽の書類を提出しないよう十分に注意してください。

外国人雇用を支援するその他の制度

国の助成金や補助金以外にも、地方自治体では外国人の雇用を支援する様々な制度が設けられています。本章では、自治体独自の支援策や外国人労働者の生活支援制度をご紹介します。

自治体の独自支援策

全国の地方自治体では、それぞれの地域の実情に応じ、外国人向けに独自の支援策を展開中です。以下に一例をご紹介しましょう。

・東京都
名称:中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金(一般コース)
目的:日本語教育
参考URL:https://financeinjapan.com/finance/5756bEoX42ivHJ9IAWR8SP

・大阪府
名称:外国人介護人材受入促進事業
目的:就労支援
参考URL:https://www.pref.osaka.lg.jp/o090040/houjin/jinzai/ukeiresokusin.html

・沖縄県浦添市
名称:浦添市外国人人材受け入れ支援事業補助金【市内介護事業所向け】
目的:就労支援
参考URL:https://www.city.urasoe.lg.jp/doc/2025032800143/

自治体独自の制度の活用を検討する際は、お住まいの自治体の情報をご確認ください。

外国人労働者向けの生活支援制度

慣れない日本での生活を支援するため、外国人向けの生活支援制度が全国で取り組まれています。

例えば、北海道の「北海道外国人住居サポーター制度」(住居支援)、岐阜県下呂市の「外国人による料理教室」(コミュニケーション)などの実施です。これらの取り組みは、外国人労働者が職場や地域で安心して定着できることを目的として行われています。

参考:厚生労働省|外国人定着のための自治体の取組事例

 まとめ:助成金を活用して外国人雇用を成功させましょう

本記事では、外国人を雇用する際にもらえる助成金について、以下の内容をお伝えしました。

外国人労働者の雇用で活用できる助成金とは
外国人労働者を雇用する企業が活用可能な返済の必要がない公的給付金
外国人雇用に関する主な助成金制度
・人材確保等支援助成金
・トライアル雇用助成金
・キャリアアップ助成金
助成金を受けるための基本要件と申請手続き
・基本要件(適切な在留資格)
・共通条件(雇用保険適用事業主であること他 )
・助成金申請方法 (書類の提出・実施・申請)
・必要な書類や手続きの流れは、助成金の種類ごとに異なる
助成金を活用するメリット
コスト削減・優秀な人材の確保・従業員の育成・定着
助成金申請で注意すべきポイント
要件の確認する必要がある・助成金は後払い・虚偽のない書類提出)
外国人雇用を支援するその他の制度
・自治体の独自支援策(全国の地方自治体で実施) 
・外国人労働者向けの生活支援制度(全国の地方自治体で実施)

助成金を申請するには様々な要件をクリアすることが必要です。

一つでも不備があると、不支給になる可能性は高まります。自身で判断が難しい場合は、専門家へ相談しましょう。

ちなみに、厚生労働省が管轄する助成金の申請代行は社会保険労務士、その他の省庁や自治体が管轄するものは行政書士の業務と定められています。各助成金・補助金のご相談は、申請代行を依頼できる専門家に連絡されるとスムーズです。

本記事が、外国人の雇用に際して助成金を最大限に活用したいとお考えの方に少しでもお役に立てたら幸いです。

在留資格の申請はいつからできる?最適なタイミングと注意点【ビザに強い町田の行政書士】

「在留資格の申請って、いつから始めればいいんだろう…?」
日本で働く・住む準備を進める、あるいは在留期間の延長を考えているなかで、こういった疑問を抱く方はとても多くいらっしゃいます。在留資格は、外国籍の方が日本に滞在するために必要不可欠な資格です。そのため、適切なタイミングで適切な手続きを行う必要があります。

申請のタイミングは、おおよそ3か月前からです。
ただ、実際は、いつから申請できるか・申請可能な期間は、資格の内容や状況によって少しずつ異なります。

つまり、3ヵ月という期間は目安にすぎず、実際には準備のスタート時期もケースバイケースだということです。タイミングを誤れば、入国が間に合わなかったり、就職や進学の予定に影響が出たりするリスクもあります。

本記事では、在留資格の申請ができるのはいつからなのか、タイミングを見誤らないためのポイントを、行政書士の視点から解説していきます。正しい準備を進め、日本での生活を安心してスタートさせましょう。

ビザと在留資格の違い

まず前提として知っておきたいのが、「ビザ」と「在留資格」の違いです。
この2つはよく混同されますが、実は役割がまったく異なります。

・ビザ:外国人がその国の入国審査を受けることを許可する証明書
在留資格:日本に滞在する理由と活動内容を日本政府が認めた資格

ビザは日本に入国する前に取得するもので、「日本への入国が許可される可能性がある」という証明になります。ビザの申請は基本的に1回で、更新の必要はありません。

一方、在留資格は、日本に入国後に与えられる資格で、日本で活動する根拠となるものです。
在留資格には有効期間が設けられており、期限が切れる前に更新や変更の手続きを行う必要があります。

たとえば、滞在を続けたい場合、ビザの再取得や更新ではなく、在留資格の更新が必要です。

「ビザ」と呼ばれているもののなかには、在留資格を指しているケースも多く存在します。今後ご紹介する申請のタイミングや注意点も、この違いを理解した上で読み進めていただくとスムーズです。

在留資格申請タイミング

在留資格の申請のタイミングは新規取得・更新・変更の場合で異なります。まずは、自分の滞在目的と現在の状況を把握し、目的や条件にあったものを選びましょう。

在留資格の新規申請の場合

これから日本に入国する方は、在留資格の新規申請をする必要があります。

原則として「在留資格認定証明書(COE)」の取得が必要で、申請の手続きを行うのは入国予定日の3〜6ヶ月前です。企業の内定や学校からの受け入れが決まり次第、早めに準備を始めましょう。

〈在留資格認定証明書(COE)とは〉
外国人が日本に入国し、90日を超えて滞在する場合に必要な「在留資格があること」を証明する書類です。COEの申請は日本国内でしか行えないため、外国人本人が海外にいる場合は、日本にいる代理人が手続きを進める必要があります。

在留資格認定証明書が必要なのは、就労や留学などの目的で90日を超えて日本に滞在する予定がある方です。ただし、この証明書はビザとしての効力を持たないため、混同しないよう注意しましょう。

在留資格認定証明書が発行されたのち、原本または電子データを申請者本人に送り、自国の日本大使館・領事館でビザ申請を行ってください。

そして、入国時に在留資格認定証明書とビザを提示し、空港の入国審査官の審査に通過することで初めて、在留資格が付与されます。

つまり、在留資格認定証明書とビザの取得は、在留資格を取得するための前提条件に過ぎません。実際の付与は、入国時の審査を経て完了するという点を、しっかり押さえておきましょう。

在留資格更新の場合

すでに日本に滞在中の方で、現在のビザの有効期限が切れる前に期限の延長を申請したい場合は「在留期間更新許可申請」を行います。申請期間は満了日の3ヶ月前から可能です。

遅れると不法滞在になるリスクがあるため、更新申請は在留期限の満了日までに必ず行ってください。
また、更新時には「現在の活動内容が変わっていないこと」を証明する書類(給与明細や成績証明書など)が求められる場合があります。事前の準備を心掛けましょう。

種類変更の場合

現在日本に滞在している人で、留学から就職へ進む、あるいは転職するなど、活動内容が変わる場合は「在留資格変更許可申請」が必要になります。

原則として、新しい活動を始める前に申請する必要があります。
無許可で活動内容を変更してしまうと、不法就労や資格外活動にあたる恐れがあるため、注意が必要です。

また、申請の準備には、就労先や教育機関との書類のやり取り、日本語訳、必要書類の整理などに時間がかかる場合もあるでしょう。そのため、希望日の4〜6ヶ月前から動き始めるのが理想的です。

在留資格申請にかかる期間

在留資格の申請から許可が下りるまでの期間は、申請の種類や内容、申請時期、申請先の入管の混雑状況などによって異なります。

〈一般的な審査期間の目安〉
・在留資格認定証明書交付申請(新規申請):約1〜3ヶ月程度
・在留資格変更許可申請:約1〜2ヶ月程度
・在留期間更新許可申請:約2週間〜1ヶ月程度

ただし、年度末・年度始めや繁忙期(3〜4月・9〜10月)は審査期間が長くなるケースもあります。できるだけ余裕を持ち、不備がないようしっかり準備しておきましょう。

在留資格申請時の注意点

在留資格の申請は、種類によって求められる内容や基準が異なり、制度も複雑です。ここでは、申請時のトラブルや不許可を防ぐために、次の4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 適切なタイミングで申請すること
  2. 必要書類を正しく準備すること
  3. 適切な在留資格かどうか確認すること

それぞれ解説していきます。

1.適切なタイミングで申請すること

在留資格の種類や目的に応じて、適切なタイミングで申請を行うことが重要です。申請のタイミングを誤ると、その後のビザの申請も遅れてしまうので日本での活動に支障が出る恐れがあります。目安としては以下のとおりです。

  • 新規取得:入国予定の3〜6ヶ月前
  • 更新:有効期限の3ヶ月前
  • 変更:変更希望日の4〜6ヶ月前(新しい活動を始める前)

特に海外から日本に来る場合は、日本側と母国側の両方で手続きが必要です。ビザ取得が遅れると日本入国予定日がずれ、日本での生活に影響が出る場合があるため、余裕を持った計画が欠かせません。

このように、いつから申請できるのか・いつまでに申請しなければいけないのかは、状況に応じて変化します。入念に下調べをすることはもちろん、不安な場合は、行政書士などの専門家に相談するようにしましょう。

2.必要書類を正しく準備すること

申請に必要な書類が不足している場合、審査が遅れる・不許可になるといった場合があります。在留資格ごとに必要な書類は異なりますが、一般的に以下のような書類が必要です。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • パスポート・在留カード
  • 申請書類
  • 雇用契約書または内定通知書
  • 住民税の課税証明書
  • 履歴書・職務経歴書
  • 企業の登記簿謄本
  • 法人税・所得税・住民税の納税証明書

正確な情報で記載されていること、翻訳が必要な場合は正規の方法で提出することも、忘れずに確認しましょう。詳しくは、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。

3. 適切な在留資格かどうか確認する

申請する在留資格の内容が、実際の活動と合っていない場合、不許可の原因となります。

たとえば、通訳・翻訳業務に就く場合は「技術・人文知識・国際業務」、特定技能職種には「特定技能」など、それぞれの活動に合った資格を選ぶ必要があります。

活動内容と在留資格が一致しているかを事前に確認し、不明な場合は行政書士などの専門家に相談しましょう。

4. 在留状況と整合性が取れているか確認する

更新や変更申請を行う際には、これまでの在留状況が適正であったかどうかも審査の対象です。

たとえば、資格外活動をしていた、勤務先が変わっていたのに届出していなかった、などがあると、不許可や審査の長期化につながります。

申請前に、現在の活動と申告内容が一致しているかや、法令違反がないかを見直しておくことが大切です。

在留資格申請にかかる費用について

申請自体は無料で行えますが、許可が下りた際には手数料(6,000円など)や必要書類の取得費用が発生します。

あらかじめ確認しておくと、スケジュールだけでなく費用面でも安心して準備を進められます。

  • 在留資格申請:無料
  • 在留期間更新許可:6,000円(オンライン申請の場合5,000円)
  • 在留資格変更許可:6,000円(オンライン申請の場合、5,500円)

在留資格の申請が遅れた場合の対処法  

やむを得ず申請が遅れてしまう、あるいは書類に不備があり審査に影響が出るなどのトラブルが生じる場合もあるでしょう。そんなときでも、適切に対処すれば大きな問題になることを回避できる場合もあります。

在留資格の申請に遅れが出たり、書類に不備が見つかったりした場合は、まずは焦らず、以下の4つの方法を試してみてください。

1.出入国在留管理局に問い合わせる

申請が遅れた場合は、速やかに最寄りの出入国在留管理局へ相談しましょう。正当な理由があると判断された場合、救済措置が取られることもあります。

2.雇用契約の再調整をする

企業や学校などの受け入れ先と連絡を取り、就労開始日や契約期間の再調整が可能か相談してみましょう。

在留資格は、日本に滞在する外国人の方にとっても企業側は外国人労働者の在留資格の有効期限や変更状況を把握し、必要に応じて雇用契約内容の調整や就労開始時期の変更を検討します。

まずは一度、内定先の企業に相談しましょう。

3.進捗状況を定期的に確認する

申請後の進捗は出入国在留管理局の問い合わせ窓口や、申請を依頼した行政書士を通じて確認することができます。

申請後に書類不備の連絡が来ることもあるため、不備があれば早めに対応できるよう、定期的に進捗を確認することが重要です。

4. 行政書士に相談する

「申請が遅れてしまった」「手続きに不安がある」といった方は、一度、行政書士へ相談しましょう。行政書士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  • 書類不備や申請ミスを防げる
  • 書類作成や入管とのやりとりが代行され、手続きがスムーズになる
  • 自分一人での対応に比べて精神的な負担が軽くなる

申請書類の作成代行や入国管理局とのやりとりをサポートしてくれるため、自分自身で手続きを行うよりスムーズに進められます。

在留資格に関する手続きには、専門的な知識を要します。慣れない手続きに、不安を感じている方も多いでしょう。滞りなく手続きを終えるためにも、ぜひ1度、プロに相談してみてください。

まとめ

今回は、在留資格の申請はいつからできるのか、申請時の注意点について解説しました。

【記事のまとめ】
在留資格の新規申請
入国予定日の3〜6ヶ月前から申請可能

在留期間の更新
在留期限の3か月前から申請可能

在留資格の変更
変更希望日の4〜6ヶ月前(新しい活動を始める前)に申請が必要

申請のタイミングを誤ったり書類不備があると、その後のビザ発行が遅れるリスクが高まります。いつから申請できるのか・いつまでに申請しなければいけないのかをしっかり確認したうえで、余裕を持って申請手続きを進めましょう。

とはいえ、「自分で手続きするのは難しい」「不許可にならないか不安だ」という方も少なくないでしょう。そのような場合は、在留資格やビザ申請に詳しい専門家への相談をおすすめします。行政書士と連携することで、安心して日本での新生活をスタートできるはずです。

当事務所でも、あなたの状況に合わせた最適な解決策を丁寧にご案内いたします。ビザ申請に不安がある方は、安心して日本での新生活をスタートできるよう、ぜひICEBERG行政書士事務所へご相談ください。

本記事が、在留資格への理解を深める一助となれば幸いです。

【在留資格・特定活動 手続きガイド】種類・条件・注意点を解説

在留資格は、外国人の方が日本で活動する上で欠かせない資格です。中でも「特定活動」は、日本での活動の幅を広げてくれます。

しかし、「特定活動の種類が多くてどれが自分に合うのかわからない…」「手続きって何から始めればいいの…?」こんなお悩みをお持ちではありませんか?

本記事では「特定活動」の基本から、おもな活動内容、申請の流れ、そして陥りやすい注意点まで、ステップごとに解説いたします。最適な特定活動を知りたい、申請手続きを滞りなく進めたいとお考えの方はぜひ最後までご覧ください。

在留資格「特定活動」とは

在留資格「特定活動」とは、既存の在留資格のどれにも当てはまらない活動を行う外国籍の方に付与される資格です。

既存の在留資格は、入管法により日本での活動内容が定められています。一方「特定活動」は、外国人の個々のケースに対して付与される在留資格で、活動の内容は多種多様です。
そのため、在留資格「特定活動」で就労できるかどうかも、個別に認定された活動によって異なります。同様に、活動できる期間も「5年・3年・1年・6ヶ月・3ヶ月・5年以内で個々に指定された期間」と定められています。

特定活動3つの基本分類と特徴

特定活動の種類は、大きく分けて以下の3つに分類されます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【特定活動1】出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動

出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められている特定活動は、以下の3種類があります。

【入管法で規定されている3つの特定活動】

特定活動の種類活動内容
1) 特定研究活動日本国内の機関で研究又は研究の指導や教育をする外国人
2)特定情報処理活動自然科学や人文科学の分野の知識、技術が必要な業務に従事する外国人
3)特定研究等活動等の親・特定研究等活動等の家族「特定研究活動」又は「特定情報処理活動」を行う外国人の方の配偶者又は子、同居する親

【特定活動2】告示特定活動

「告示特定活動」は、法律による規定がなく法務大臣の告知により付与される在留資格です。
例えば、外交官の家事使用人、アマチュアスポーツ選手、日本の事業所で製造業務に従事する外国人などの活動が該当します。

告示特定活動の種類は現在46種類です。(2025年4月現在)しかし、告示特定活動は国内外の社会情勢の動向によって種類が変動という特徴があり、その時々に応じて増減します。
告示特定活動の種類について、詳しくは在留資格「特定活動」告示一覧をご覧ください。

【特定活動3】告示外特定活動

「告示外特定活動」は法務大臣が定めた基準ではなく、一人ひとりの外国人の事情により個別に認められる特定活動です。
例えば、日本での就職を希望する留学生や、日本から出国するための準備をしている人に、「告示外特定活動」が付与されます。

主要な特定活動

在留資格「特定活動」には、様々な種類がありますが、以下におもな特定活動を5つ紹介します。

  • 本邦大学卒業者
  • インターシップ
  • ワーキングホリデー
  • 経済連携協定に基づく外国人看護師
  • 経済連携協定に基づく介護福祉士候補者等

1.本邦大学卒業者

「本邦大学卒業者」は、日本の大学院、大学、短期大学、高等専門学校を卒業した外国籍の方を対象とした特定活動です。法務大臣が指定する機関で常勤として勤務する際に付与されます。

【期間】
5年・3年・1年・6ヶ月・3ヶ月

2.インターシップ(報酬を受ける場合)

特定活動「インターンシップ」は、外国の大学生が学業等の一環としてインターンシップを行い、報酬を受ける場合に付与されます。

【期間】
1年かつ通算で大学(外国の)での修業年限の二分の一を超えない期間

3.ワーキングホリデー

基本的に18歳から30歳までの外国籍の方が休暇で来日する際は「ワーキングホリデー」という特定活動が与えられます。
「ワーキングホリデー」は働くこともできますが、報酬額は「旅行資金を補う範囲」と定められています。

【期間】
1年

4.EPA看護師候補者

「EPA看護師候補者」とは、海外から看護師候補者を受け入れ研修を実施する特定活動です。
EPAとは、2つ以上の国で外交や経済のつながりを強化する協定(経済連携協定の略)です。現在、インドネシア、フィリピン、ベトナムと「EPA看護師候補者」の協定を結んでいます。
候補者は、看護師の知識や技能を身につけるための研修を目的として、日本での業務に従事します。

【期間】
1年

5.EPA介護福祉士候補者

「EPA介護福祉士候補者」とは、海外から介護福祉士候補者を受け入れ研修を実施する特定活動です。候補者は、介護福祉士として必要な知識や技能を習得するための研修として、日本での業務に従事します。

【期間】
1年

特定活動の申請条件

特定活動の資格を取得するための条件は、活動の内容によって大きく異なります。本章では、前述した以下の3つの活動内容ごとに申請の条件を解説していきます。

【3つの特定活動】
1.出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動
2.告示特定活動
3.告示外特定活動

特定活動の申請には様々な条件が設けられているため、それぞれ主なものをご紹介します。

1.出入国管理及び難民認定法(入管法)に規定されている特定活動の条件

入管法に規定されている特定活動を取得するための条件には、おもに以下のようなものがあります。

【入管法で規定されている特定活動の条件】
・日本の大学や専門学校で、従事する業務の分野を専攻したこと
・上記と同等以上の教育を受けたこと
・大学・高校での専攻期間を含め、10年以上の実務経験があること
・日本人と同等以上の報酬を受けること

2.告示特定活動の条件

告示特定活動は活動の種類が多く、それだけ条件も多岐にわたります。ここでは代表的な例として、本邦大学等卒業者の特定活動を見ていきましょう。

本邦大学等卒業者を取得する条件として、おもに以下の内容が挙げられます。

【告示特定活動の条件:(例)本邦大学卒業者】
・日本の大学、短期大学、高等専門学校などを卒業していること
・日本語能力が高い方日本語能力を活用した業務に就くこと
(例えば、清掃や皿洗いなど日本語を話せなくてもできる業務は認められません)
・フルタイムで業務に従事すること

上記の「日本語能力が高い方」とは、具体的には、以下3つのうちどれか1つに該当する方をいいます。

  • 日本語能力試験NI又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する方(旧試験制度「1級も可」)
  • 大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方
  • 外国の大学・大学院で日本語を専攻し、かつ日本の大学・大学院を卒業・修了している方

3.告示外特定活動の条件

告示外特定活動の代表的な例として、留学生が大学等を卒業しても引き続き日本で就職先を見つけたい場合をご紹介します。

留学生が継続して就職活動を行う際の特定活動を取得する条件は、以下の書類を提出することです。

【必要書類:(例)留学生が引き続き就職活動を行う】
・在籍していた学校の卒業証明書
・在籍していた学校の推薦状
・引き続き就職活動を行っていることが分かる資料

ちなみに、告示外特定活動には上記のほか、おもに以下のような活動があります。

  • 留学期間を終えて出国の準備をする
  • 技能実習を終えて特定技能1号へ移行する

なお、その他の特定活動の取得条件について、詳しくは出入国在留管理庁:在留資格「特定活動」よりご確認ください。

特定活動の取得方法

本章では特定活動の取得方法を、一般的な手順と個々のケース別に紹介します。

特定活動の取得手順

特定活動を取得するための一般的な手順は、以下の3ステップです。

【特定活動の取得手順】

STEP1.準備
個別の申請書、パスポートなど必要書類を準備する
STEP2.申請
準備した書類を地方出入国在留管理署に提出し申請する
STEP3.交付
地方出入国在留管理署で新しい在留カードを受け取る

※審査に通れば入国管理局よりハガキが届くため、ハガキを持って地方出入国在留管理署の窓口へ出向きます。

特定活動の取得方法(ケース別)

在留資格「特定活動」の取得方法は、活動内容や申請者本人の立場などにより異なります。以下の3つのケースについて特定活動の取得方法を説明します。

  • 日本への入国を希望する場合
  • 日本に滞在中の外国籍の方が日本での就職を希望する場合
  • 「特定資格」の在留期間を延長したい場合

【特定活動の取得方法1.】日本への入国を希望する場合

外国籍の方が「特定活動」での日本への入国を希望する場合は、まず「在留資格認定証明書交付申請」の手続きを行う必要があります。在留資格認定証明書は、日本への入国に必須の在留資格を事前に証明する書類として不可欠な書類です。

申請の手続きを行うには、まず、出入国在留管理庁:「在留資格認定証明書交付申請」より、手続き方法と必要書類をご確認ください。
なお、特定活動の種類を確認される場合は出入国在留管理庁:在留資格「特定活動」をご覧ください。

申請を行うのは、申請者本人又は受け入れ先機関の職員、又は行政書士などの専門家です。審査に通れば「特定活動」の在留資格認定証明書が交付され、日本への入国が可能になります。

【特定活動の取得方法2.】滞在中の外国籍の方が日本での就職を希望する場合

「特定活動」(告示外)に該当するのは、留学など、すでに日本に滞在中の方がそのまま日本での就職を希望する方です。この場合、在留資格を「留学」から「特定活動」へ資格を変更する必要があるため「在留資格変更許可申請」を行います。

在留資格変更の手続きを行うのは、申請者本人です。在留資格変更許可申請の手続き方法及び必要書類等は、出入国在留管理庁:「在留資格変更許可申請」よりご確認ください。

【特定活動の取得方法3.】「特定資格」の在留期間を延長したい場合

現在の「特定資格」の期間を延長し活動を続けたい場合、申請者本人が「在留期間更新許可申請」の手続きを行います。在留期間更新許可申請の手続き方法及び必要書類等は、出入国在留管理庁:「在留期間更新許可申請」よりご確認ください。

ここまで、特定活動の取得方法について紹介してきましたが、取得方法は個人のケースによって様々です。申請が確実に認定されるとは限らないため、少しでも不安がある方は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

特定活動取得の注意点

特定活動を取得する際のおもな注意点は以下の5つです。

  • 特定活動の取得要件を確認する
  • 書類の不備は不許可になりやすい
  • 申請する際は時間に余裕を持って手続きをする
  • 「特定活動」には就労可と就労不可がある
  • 在留中の素行不良は不許可になりやすい

申請前に注意点を確認することで、不許可になるリスクを減らせます。それでは一つずつ見ていきましょう。

特定活動の取得要件を確認する

「特定活動」の取得要件を慎重に確認しましょう。
「特定活動」は種類が多いのが特徴で、さらにその一つひとつに細かな要件が設定されています。そのため、確認には細心の注意が必要です。

書類の不備は不許可になりやすい

申請する際、記入漏れがある、また、足りない書類があるなどの不備がある場合、申請しても不許可になる傾向があります。申請したい「特定活動」にどんな書類が必要なのか、また、未記入の箇所はないかなど、入念にチェックしましょう。

申請する際は時間に余裕を持って手続きをする

「特定活動」を申請する際は、時間に余裕を持って手続きを進めましょう。
「特定活動」は提出する書類が多く、そのうえ、在籍していた学校からの卒業証明書や勤務先の書類などが必要なケースあります。書類を揃えるにも時間がかかるため、早めに手続きすることが大切です。

「特定活動」には就労可と就労不可がある

特定活動は、日本での就労が認められる場合と認められない場合があります。
特定活動の就労が許可されていないケースでは日本で働くことはできないため、外国籍の方を雇用したいとお考えの方は、特に注意が必要です。

就労の可否を確かめるには「指定書」を確認します。「指定書」は特定活動を取得した際に発行される書類で、活動の内容や制限など、詳しく記載されています。

特定活動だけでは就労できないこともあるため、パスポートに添付されている「指定書」の内容を必ずご確認ください。

在留中の素行不良は不許可になりやすい

在留中に素行不良と判断された場合、不許可になりやすい傾向があります。

例えば、留学生にありがちなのが日本に残って就職活動を行う場合です。この就職活動は「特定活動」に該当しますが、その際、留学生本人の出席率や成績などが厳正に審査されます。

学生としての在留状況が良くないと判断されると、「特定活動」の認可は降りない可能性が大きいため注意が必要です。

まとめ:「特定活動」を取得する前に入念な準備を

本記事では、在留資格「特定活動」について解説しました。

  • 特定活動とは既存の在留資格に当てはまらない活動
  • 特定活動は3つに分類される・入管法で規定された特定活動・告示特定活動・告示外特定活動
  • 主な特定活動
    ・(日本の大学などを卒業し就職
    ・インターンシップ等)
  • 申請条件は特定活動ごとに異なる(学歴、報酬、業務内容等)
  • 取得方法は、入国、滞在中の方の就職、在留期間延長等で異なる
  • 特定活動5つの注意点
    ・特定活動の取得要件を確認する
    ・書類の不備は不許可になりやすい
    ・申請する際は時間に余裕を持って手続きをする
    ・「特定活動」には就労可と就労不可がある
    ・在留中の素行不良は不許可になりやすい

特定活動は、在留資格の中でも種類が多く必要書類も多いため、不備が起きやすく、不許可になる傾向も高い資格といえるでしょう。手続きを円滑に進めるためには、行政書士などの専門家に相談されるのもおすすめです。

本記事が、特定資格の手続きのハードルを少しでも下げるためのお役に立てたら幸いです。

在留資格の配偶者とは?取得方法や注意点を詳しく解説

在留資格の配偶者とは、日本人や永住資格を持っている外国人と結婚した外国人が、日本で一緒に暮らすために必要な資格です。

本記事では、日本で暮らす外国人の方が日本で生活する上で非常に重要な「日本人の配偶者等」と「永住者の配偶者等」の在留資格について解説します。

あなたの新しい生活の第一歩にお役立ていただけると幸いです。

在留資格の配偶者とは

在留資格の配偶者とは、日本人や永住者、または特別永住者と結婚した在日外国人の方が日本で生活するために取得できる資格です。具体的には、以下の2つに分かれます。

  1. 日本人の配偶者等
  2. 永住者の配偶者等

それぞれ見ていきましょう。

1. 日本人の配偶者等

日本人の配偶者とは、日本人と法律上の婚姻関係にある外国籍の方を対象とした在留資格です。
以下の3つのいずれかに当てはまる方が該当します。

日本人の配偶者等の資格を取得する際は、日本の法律に基づく正式な婚姻関係があることが条件です。そのため、内縁関係や事実婚は認められません。

例えば、アメリカ国籍の女性と日本国籍の男性が婚姻届を提出し、受理されたとします。この場合、アメリカ国籍の女性は「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することができます。
ただし、日本と相手国(この例ではアメリカ)の双方で婚姻が認められていなければいけません。夫婦としての実態があっても、法律上の届出がなければ資格は与えられないのです。

また、この在留資格は、夫婦の関係が続いていることが前提です。離婚した場合や死別した場合は、資格の変更が必要になるため注意しましょう。

日本人の実子

「日本人の実子」とは、日本国籍を持つ親から生まれた実の子どものことを指します。該当するかどうかは、次の2点を満たしているかで判断されます。

  1. 子どもが生まれた時に、親のいずれかが日本国籍を持っていたこと
  2. 実の親子であること(血縁関係があること)

例えば、子どもが生まれた時、父親が日本国籍を所有していれば、その後に父親が外国籍に変更したとしても在留資格に影響はありません。
日本人の実子であることを証明するためには、出生証明書や戸籍情報などの提出が必要になるため、申請の際はあらかじめ準備しておきましょう。

日本の特別養子縁組による子

日本の特別養子縁組による子とは、家庭裁判所の許可を得て、特別養子縁組が成立した子どもを指します。特別養子縁組とは、通常の養子縁組とは異なり、実の子に準じる親子関係を築くことができる制度です。

該当するかどうかは、次の点を満たしているかで判断されます。

  1. 家庭裁判所の許可を得て、正式に特別養子縁組が成立していること
  2. 養親が日本国籍を持っていること

「日本の特別養子縁組による子」は、日本の法律に基づき、正規の手続きを経て養子となった子どもです。申請には関連書類の提出が必要となるため、不備がないよう事前に内容を確認しておくことが大切です。

永住者の配偶者等

「永住者の配偶者等」は、日本に永住許可を得ている外国人の方や特別永住者の方と、その配偶者や実子が取得する在留資格です。

以下のいずれかに該当する方が対象となります。

それぞれのケースについて見ていきましょう。

永住者または特別永住者の配偶者

「永住者または特別永住者の配偶者」の在留資格は、永住者または特別永住者と法律上の婚姻関係にある方が対象です。

該当するかどうかは、次の条件を満たしているかで判断されます。

  • 日本の法律に基づいた婚姻関係が正式に成立していること
  • 夫婦としての実態があること

なお、以下のような条件に該当する場合は対象外です。

  • 内縁関係(事実婚)
  • 同性婚(日本の現行法では法的婚姻と認められていません)

このように、日本の法制度に基づいた正式な婚姻関係がない場合は、この資格を取得できません。条件を満たしているかどうか、資格の取得前に確認しておきましょう。

永住者または特別永住者の実子

永住者または特別永住者の実子は、日本で出生し、その後も日本で暮らしている永住者または特別永住者の子どもを指します。

この在留資格に該当するのは、以下の条件を満たす場合です。

  • 日本国内で出生していること
  • 少なくとも一方の親が永住者または特別永住者であること
  • 継続して日本に在留していること

上記で述べたことからもわかるように、海外で生まれた子どもは資格の対象になりません。「永住者の配偶者等」という在留資格は、永住者の家族が日本で安定して生活を続けるうえで非常に重要なのです。

これまで、配偶者等の在留資格の取得条件や特徴についてご説明しました。

一点注意が必要なのは、これらの在留資格は日本に在留する権利を与えるものであり、日本の国籍を取得できるわけではないということです。
日本国籍を取得する場合は、別途、帰化申請の手続きを行いましょう。

在留資格の配偶者取得の要件3つ

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」といった在留資格を取得するためには、主に次の3つの要件を満たしている必要があります。

これらの要件は、申請者が日本人の配偶者として安定した生活を送る意思と基盤があるかを確認するために設けられています。

1. 法律上の婚姻があること

在留資格「日本人の配偶者等」を取得するためには、法律上の婚姻関係があることが必須です。その上で、実際に夫婦として生活しているかどうかも重視されます。

具体的には、以下のような点です。

  • 夫婦としての実態があること
  • 同居し、日常的にコミュニケーションをとっていること
    (例:写真・メッセージ履歴など)
  • 経済的にもお互いに協力し合っている実態があること
  • 偽装結婚ではないこと

なお、偽装結婚や実態がない婚約だと判断された場合には、資格を取得することができません。

2. 経済的に安定した生活基盤があること

配偶者の在留資格を取得するには、日本で生活を送るための安定した収入源があることが条件です。

申請時に確認されるポイントは、主に以下の3つがあります。

  • 預貯金の残高や支援者の有無
  • 税金・社会保険の支払い状況
  • 申請者または配偶者の収入・資産・職業

申請人が生活保護を受けている・将来的に生活保護を受ける可能性が高い場合、審査を通過できないケースがあります。
安定した収入基盤が整っていないと判断された場合、審査に悪影響が出る可能性があります。収入証明書・課税証明書・預金通帳の写しなど、生活の安定性を示す資料をあらかじめ準備しておくことが大切です。

3. 素行が良好であること

資格取得の審査では、素行が良好であるかどうかも重要な判断材料です。大きな犯罪歴だけでなく、軽微な違反でも審査に影響する可能性があります。

確認される主な項目は、以下の通りです。

  • 犯罪歴がないこと(交通違反や軽犯罪を含む)
  • 在留中に法令違反がないこと(オーバーステイ、不法就労など)
  • 適切な婚姻手続きが行われていること(書類の偽造や不備がないか)

例えば、過去に犯罪歴や不法滞在歴がある場合、または社会的に不適切であると判断される行為があった場合は、在留資格が認められない可能性があります。これは申請者本人だけでなく、配偶者側の素行についても同様です。
法令や社会規範を守り、日頃から誠実で責任感のある行動を心がけましょう。

在留資格の配偶者資格取得 5つの手順

先述した通り、外国人の配偶者が日本に長期滞在するには、本人の活動内容に適した在留資格を取得する必要があります。

続いては、配偶者の資格を取得する際の具体的な手順をご紹介します。具体的には、5つの手順です。

必要な書類や注意点など、それぞれ解説します。

⒈必要書類の準備

まずは、申請に必要な書類をそろえましょう。配偶者等の在留資格を取得する際に必要な書類は以下の7つです。

配偶者等の資格所得においては、配偶者・家族との関係性や経済状況を証明しなければならないため、必要に応じて追加の書類を提出します。

⒉入国管理局へ申請

必要書類を揃えたら、配偶者の住所地を管轄する日本国内の出入国在留管理局に提出しましょう。
申請の種類は、配偶者が日本国内にいるか・国外にいるかによって異なります。

日本国外から申請した場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行い、許可が下りたら配偶者がビザを取得して入国します。
日本国内での変更の場合は「在留資格変更許可申請」を行い、現在の在留資格からの変更を行いましょう。

また、申請の手続きは、配偶者本人以外にも代理人(行政書士など)を通じて行うことも可能です。内容に不安がある場合は、ぜひ一度、行政書士にご相談ください。

⒊審査期間(審査を待つ)

審査期間には通常、申請後 1〜3か月程度かかります。ただし、申請書類の審査には、内容の確認や結婚の実態調査など、一定の時間を要します混雑状況によっては6か月以上かかることもあります。

また、審査の途中で、次のような対応が求められることがあります。

  • 追加書類の提出
  • 入国管理局からの電話による確認(結婚生活の実態に関する聞き取りなど)

審査が長期化する場合もあるため、早めの対応を心がけましょう。

⒋許可・在留カードの取得

審査が通れば、在留資格が許可され、以下の手続きへと進みます。

【日本国外から申請した場合】
許可が下りると「在留資格認定証明書」が発行されます。証明書を持って日本大使館・領事館でビザを取得し、日本に入国後、空港にて在留カードを受け取ります。

【日本国内で申請した場合】
許可後、「在留資格変更許可通知」が届きます。指定された入国管理局などの窓口で、在留カードを受け取りましょう。

【不許可の場合】
申請が不許可となった場合は、再申請や異議申し立てを検討することも可能です。不許可になった場合は、通知書に記載された内容をしっかりと確認してください。

このように、在留資格に関する手続きは申請方法によって異なるため、自分のケースに合わせた対応が必要です。まずは、流れを事前に把握しておきましょう。

⒌住民登録・各種手続き

在留資格を取得したあとは、日本での生活を始めるために必要な各種手続きを行います。以下が、主な手続きの例です。

  1. 市区町村役場での住民登録
    在留カードとパスポートを持参し、住民票を登録します。入国後14日以内に行う必要があります。
  2. 健康保険・年金の加入
    自営業や無職の場合は国民健康保険と国民年金への加入が必要です。
    会社員の場合は勤務先を通じて社会保険・厚生年金に加入します。
  3. 銀行口座開設
    在留カードとパスポートを持参して銀行口座を開設します。
    日常生活や給与受け取りの際に必要です。
  4. 運転免許証の切り替え
    外国の免許を持っている場合は、日本の運転免許への切り替え手続きを行うことができます。

これらはすべて、日本での活動をスタートするために必要な手続きです。
状況により追加の書類提出が求められることもあるので、各自治体や関連機関の最新情報を確認しながら進めていきましょう。

在留資格認定証明書(配偶者)の審査期間に関する注意点

「日本人の配偶者等」の在留資格を申請した際、結果が出るまでにどれくらい時間がかかるのかは、多くの方が気になるポイントですよね。ここでは、配偶者等のビザ申請における一般的な審査期間や、審査が長引く理由について説明します。
手続きや来日スケジュールを立てる際の参考にしてください。

審査期間は平均で1~3か月かかる

一般的な審査期間の目安は、1〜3か月程度です。ただし、審査期間はあくまで目安であり、申請者の状況や書類の内容、入国管理局の混雑状況によって変動します。

実際に、申請から1か月で結果が出ることもあれば、逆に3か月以上かかるケースもあります。
ちなみに、法務省の公表によると、2024年1月〜3月の平均審査期間(認定申請)は平均72. 9日となっています。

そのため、申請にかかる期間としては、2か月半前後がひとつの目安になるといえるでしょう。申請の際は、スケジュールに余裕を持って進めてください。

審査期間は長期化する可能性がある

一般的な審査期間の目安は、1〜3か月程度であるとお伝えしました。
ただし、この期間はあくまで目安であり、審査期間は個々のケースによって変動する可能性があります。

申請書類の審査には、内容の確認や結婚の実態調査など、一定の時間を要するためです。
最新の審査状況や詳細な情報については、出入国在留管理庁のウェブサイトをご確認ください。

在留資格「配偶者」の取得に必要な書類

日本で夫婦として一緒に暮らすためには、在留資格「日本人の配偶者等」の申請が必要です。そのためには、夫婦の関係や生活の状況を証明するための書類を準備しなければなりません。

手続きに必要な書類は、以下の7種類です。

状況に応じて必要となる書類

基本の7つの書類に加えて、追加書類が必要になる場合があります。

【外国人配偶者に関する書類】
・パスポートのコピー
・在留カード(日本に在留している場合)
・日本語能力を証明する書類(日本語能力試験の合格証明書など)

【日本人配偶者に関する書類】
・在職証明書(勤務先が発行)
・給与証明書・課税証明書
・預金通帳の写し(必要に応じて)

【その他】
・再婚の場合:前婚の離婚証明書や死別証明など
・遠距離恋愛や別居期間が長い場合:頻繁なやりとりを示す記録(チャット、通話など)

不明な点がある場合は、事前に入国管理局や行政書士に相談することをおすすめします。

在留資格の配偶者を取得する手続きに必要な費用

在留資格の申請には、書類の準備だけでなく、手数料や証明書発行費用など、さまざまな費用がかかります。ここでは、申請にかかる主な費用について詳しく解説します。

自分で申請する場合

在留資格の申請には、書類の準備だけでなく、各種証明書の発行や申請手数料などの費用がかかります。
自分で申請を行う場合に必要となる主な費用は、以下の通りです。

証明書発行手数料戸籍謄本・住民票・課税証明書など数百円〜数千円
健康診断費用(求められた場合)入国管理局から提出を求められた場合に必要数千円〜数万円
証明写真代申請書に添付する写真1,000円前後
郵送費書類を郵送する場合の切手代・封筒代など数百円程度
入国管理局への申請手数料在留資格変更・認定証明書交付の際に必要4,000円

自分で行う場合、手続きにかかる実費は比較的抑えられます。しかし、書類の準備や審査対応には専門的な知識を要するケースも多く存在するため、慎重に進めましょう。

行政書士に依頼する場合

申請に不安がある方や手続きを確実に進めたい方は、信頼できる行政書士に相談するのも一つの選択肢です
事務所の方針・サポートの範囲・地域差によっても金額が異なるため、依頼前に必ず見積もりを取ることが大切です。

当事務所でも、状況に応じたサポートとお見積もりのご案内をしております。お気軽にご相談ください。

在留資格の「配偶者等」取得に関する注意点

在留資格の申請では、書類の不備や記入ミス、説明不足などが原因で不許可となるケースがあります。以下のような点に十分注意しましょう。

  • 偽装結婚の禁止
  • 婚姻実体の照明
  • 安定した経済状況
  • 在留資格の更新

偽装結婚の禁止

配偶者等のビザは、誠実な婚姻関係に基づいて発行されるものです。いわゆる偽装結婚(形式だけの結婚)は法律で禁止されており、発覚した場合は処分を受ける可能性があります。

  • 在留資格の取消
  • 強制退去処分
  • 刑事罰(詐欺罪・入管法違反等)

申請の際は、実質的かつ誠実な夫婦関係であることを証明できるようにしておきましょう。

婚姻実態の証明

婚姻届が受理されているだけでは、在留資格は取得できません。
本記事の「在留資格の配偶者取得の要件」でもお伝えしたように、実際に夫婦として生活しているかどうかが、審査に通過するための重要なポイントとなります。

具体的には、以下のような実態が確認されます。

  • 同居しているか
  • 経済的に支え合っているか
  • 日常的な連絡やコミュニケーションがあるか(写真・通話履歴など)

また、交際期間・結婚に至った経緯・今後の生活設計などを説明できるように準備しておくことが望ましいです。

安定した経済状況

在留資格の取得には、日本で安定した生活を送るための十分な収入が必要です。
こちらも「在留資格の配偶者取得の要件」で説明した通り、経済状況を説明する書類の提出が求められます。

収入が不安定な場合や、生活保護を受給している場合は、許可が下りない可能性もあるため、注意が必要です。

在留資格の更新

配偶者等の在留資格には、有効期限があります。期限が近づいた場合には、在留資格の更新申請を期限内に行う必要があります。有効期限は在留カードに記載してあります。自分の在留資格の有効期限はいつまでなのか、しっかりチェックしておきましょう。

まとめ

この記事では、日本人や永住者の配偶者として在留資格を取得する方法や注意点について解説しました。

記事のまとめ
●「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の2種類がある

主な取得要件は、以下の3つ
1.法律上の婚姻関係があること
2.安定した生活基盤があること
3.良好な素行であること

申請は以下の5つの手順で行う
1.書類の準備
2.申請
3.審査
4.許可・在留カードの取得
5.その他の必要手続き

●審査においては、
・偽装結婚の禁止や婚姻の実態証明ができること
・在留期限が過ぎていないこと
などがポイント

配偶者等の在留資格は、外国籍の方が日本で生活するうえで、生活や職業選択の幅を広げてくれる重要な資格です。家族として日本で安定した暮らしを築いていくためにも、制度への正しい理解と準備が欠かせません。

本記事が、在留資格取得に向けた第一歩を踏み出すための参考になれば幸いです。

在留資格の特定技能とは?知っておきたい要件や取得方法を徹底解説

在留資格の特定技能について、
「どんな特徴があるのか」「資格取得までに何をすれば良いかわからない」
このような疑問を抱いている方は多いのではないでしょうか?

実際に、特定技能の資格を得るには、決められた資格取得や手続きが必要になってきます。

さらに、特定技能の在留資格は1号と2号に分類することができ、認められている活動内容や取得条件も異なります。他の在留資格と比較しても、かなり複雑だと言えるでしょう。申請を検討している方は、手続きを行う前に資格に対する理解を深めておく必要があります。

本記事では、特定技能の特徴や資格取得の条件、新たに導入された制度について解説いたします。日本で安心して生活するためにも、ぜひ最後までお読みください。

在留資格特定技能」とは 


「特定技能制度」とは、国内で人手不足が続いている分野において、外国人の受け入れを可能にした制度です。

2018年に成立した改正出入国管理法によって創設され、2019年4月から開始されました。
対象となるのは、一定の専門性や技能を持つ外国人で、特定の分野において、単純作業を含む幅広い業務に従事することが認められています。

特定技能の資格条件

取得にあたって必要な条件は以下の2つです。

  • 技能水準を試験で確認
  • 日本語能力の水準

【特定技能1号の場合】
●技能水準:所定の分野ごとの技能試験に合格すること
※技能実習2号を修了している場合は試験が免除

日本語能力:日本語能力試験(N4以上)、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)でA2レベル以上を取得すること

【特定技能2号の場合】
技能水準・日本語能力ともに、原則として試験での確認は不要とされています。

ただし、特定技能2号は限られた分野にのみ適用されるため、対象となる業種や職種を事前に確認しておきましょう。

在留資格の特定技能1号・2号の違い

特定技能の制度には「1号」と「2号」の2種類があり、それぞれ制度内容や要件が異なります。主な違いは、以下の8項目です。

  1. 在留可能期間
  2. 業種
  3. 永住権獲得の可否
  4. 技能水準
  5. 日本語能力水準
  6. 外国人支援の必要性
  7. 技能試験の実施状況
  8. 家族帯同の可否

それぞれ解説していきます。

1.在留可能期間

特定技能1号と2号では、在留できる期間に大きな違いがあります。

【特定技能1号】
・在留期間:通算5年まで
・更新時期:1年、6ヶ月、4ヶ月ごとの更新

【特定技能2号】
・在留期間:上限なし
・更新時期:3年、1年、6ヶ月ごとの更新

特定技能1号は最長で5年ですが、特定技能2号は在留期間に制限がないため、長期的な雇用が可能です。

2号の在留資格のほうが、安定した雇用関係が築けるというメリットがあります。

2.業種

就労できる業種も、1号と2号で異なります。特定技能1号は16分野で就労が認められている一方、特定技能2号の場合は11分野です。

【特定技能1号の対象分野】
現在、特定技能1号では14業種・16分野での就労が認められています。

1.介護
2.ビルクリーニング
3.工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
4.建設
5.造船・舶用工業
6.自動車整備
7.航空
8.宿泊
9.農業
10.漁業
11.飲食料品製造業
12.外食業
13.林業
14.木材産業
15.鉄道
16.自動車運送

【特定技能2号の対象分野】
特定技能2号は以前まで「建設」「造船・舶用工業」の2分野のみでしたが、現在は11分野に拡大されています。ただし、介護・林業・木材産業・鉄道自動車運送業の分野は、特定技能2号の対象外です。

1.建設
2.造船・舶用工業
3.ビルクリーニング
4.工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
5.自動車整備
6.航空
7.宿泊
8.農業
9.漁業
10.飲食料品製造業
11.外食業

3.永住権の取得可否

3つ目は永住権の申請が可能かどうかです。

【特定技能1号】
永住権の取得は不可

【特定技能2号】
条件を満たしていれば永住権の取得が可能

特定技能2号は、一定の条件を満たすことで永住申請が可能な在留資格です。一方で、特定技能1号は在留期間が通算5年までとされており、永住申請の対象にはなりません。

4.技能水準

4つ目は、求められる技能レベルの違いについてです。

特定技能1号は、業務に必要な基本的な技能を有していることが求められます。一方、特定技能2号では、より高度な専門性や現場での指導力が必要です。

【特定技能1号の技能水準】
・知識や経験が必要となる技能を要する業務をこなせること
・指示された内容を理解し、問題なくこなせること

【特定技能2号】
・分野別の試験に合格すること
・高いレベルの技能が身についていること
・管理監督者として指示ができること

このように、特定技能2号では、管理的な業務やリーダー的な役割も期待されます。そのため、技能実習修了レベルを超えた実務能力が必要です。

5.日本語の能力水準

5つ目は、日本語能力についてです。

特定技能1号では、所定の試験により日本語能力を証明する必要があります。一方、特定技能2号では、原則として日本語試験は不要です。

【特定技能1号】
・JFT-Basic(A2以上)またはJLPT(N4以上)の合格が必要
・技能実習2号修了者は試験免除

【特定技能2号】
・原則として日本語試験は不要
※外食・漁業など一部業種ではN3程度が求められる場合あり

どちらも日本で生活・就労するうえでの最低限の日本語力が必要ですが、特定技能2号は、すでに十分な実務経験がある前提で、日本語力の確認は求められません。

6.外国人支援の必要性

6つ目は、生活支援の有無についてです。これは、雇用する側の企業側にとっても重要な部分です。

特定技能1号では、企業側に生活面での支援義務があります。一方で、特定技能2号では支援の必要はありません。

【特定技能1号】
支援の必要あり

【特定技能2号】
支援の必要なし

特定技能1号は「初めて日本に来る方」も多いため、生活支援を行う必要があります。しかし特定技能2号は、すでに長期在留実績があり、日本で自立した生活が送れる方が対象となる資格です。

7.技能試験の実施状況

7つ目は、技能試験の実施場所や試験日についてです。

特定技能1号・2号ともに、日本国内外での技能試験の受験が可能です。ただし、試験の実施国や会場は業種ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

【特定技能1号/2号】
・試験は日本国内・国外の両方で実施
・実施場所・スケジュールは業種によって異なる

試験日程や国別の実施状況は、出入国在留管理庁の公式サイトで随時更新されています。
最新情報は、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。

8.家族帯同の可否

最後は、外国人本人が家族と一緒に日本で生活できるかどうかについてです。家族帯同とは、外国人が日本で働く際に、配偶者や子どもなどの扶養家族を日本に呼び寄せることを指します。特定技能1号と2号では、家族帯同の可否に明確な違いがあります。

【特定技能1号】
原則として、家族帯同は不可
・ただし、家族が既に別の在留資格を持っている場合、状況に応じて「特定活動」への変更が認められるケースもある

【特定技能2号】
次の2つの条件を満たす場合、家族の帯同が認められます。
・条件1:婚姻関係にあること(配偶者であること)
・条件2:扶養を受ける家族であること(経済的に養われていること)

このように、特定技能2号は在留期間・家族帯同・永住申請など、より長期的な生活を見据えた制度設計になっています。ただし、家族の対象は「配偶者と子ども」のみであるため、親・兄弟姉妹は対象外です。


在留資格の特定技能で働ける職種

続いては、特定技能の全16分野について、1つずつご紹介します。先述した通り、特定技能1号で就ける職種は16種類、特定技能2号は介護・林業・木材産業・鉄道自動車運送業を除く11種類です。

それぞれ見ていきましょう。

1.介護

特定技能「介護」では、外国人が介護施設や福祉施設で一定の専門業務に従事することができる資格です。技能実習制度よりも業務範囲が広く、1人で夜勤を担当することもできます。

【主な業務内容】
・身体介護(食事・入浴・排せつなどの介助)
・レクリエーションの企画・運営
・機能訓練の補助

介護分野での就労には、「介護技能評価試験」および「介護日本語評価試験」への合格が必要です。日本の介護業界は慢性的な人手不足が続いており、特定技能「介護」を取得している外国人労働者の方々は即戦力として注目されています。

2.ビルクリーニング

特定技能「ビルクリーニング」では、建物内の清掃を専門とする業務に従事します。不特定多数の人が出入りする施設の清掃や管理、ベッドメイクなどが主な業務です。

【主な就業場所】
・ビル ・ホテル ・学校
・事務所 ・商業施設

建築物の衛生管理が求められる現場で、日常清掃・定期清掃の業務を担う人材として活躍できます。衛生面の知識や丁寧な作業が求められる仕事です。

3.工業製品製造

特定技能「工業製品製造業」は、機械や電子機器などの工業製品を製造することができる資格です。

2022年8月に「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3分野が統合され、より幅広い製造現場での就労が可能になりました。

【主な業務内容】
⚫︎ 機械金属加工
・鋳造 ・ダイカスト ・金属プレス加工 ・溶接
・仕上げ ・塗装 ・鍛造 ・工場板金
・工業包装 ・機械検査 ・機械保全

⚫︎ 電気電子機器組立て
・機械加工 ・電気機器組立て ・電子機器組立て
・プリント配線板製造 ・プラスチック成形
・工業包装 ・機械検査・保全

⚫︎ 金属表面処理
・アルミニウム陽極酸化処理 ・メッキ

【就業先の例】
・自動車部品・機械部品の製造工場
・家電製品や電子部品の組立現場
・工業用模型・梱包資材の製造工場

工業製品製造業の在留資格を取得するためには、技能試験と日本語試験の合格が必須です。現場作業に加え、設備保全や品質検査など幅広い業務に対応できる必要があります。

4.建設

特定技能「建設」は、建築現場での作業全般に従事することができる資格です。
それぞれ、職種に応じた技能試験に合格する必要があります。

【主な業務内容】
・建築大工(木造建築の施工)
・内装仕上げ(クロス貼り・床仕上げなど)
・左官(壁・床への塗り仕上げ)
・鉄筋施工・型枠施工
・とび作業・塗装・配管 など

建設業界は深刻な人手不足が続いており、外国人材の受け入れが積極的に進められています。

5.造船・舶用工業

特定技能「造船・舶用工業」では、船舶や舶用部品の製造・組立などに従事できます。

【主な業務区分】
以下の6つの業務区分のうち、取得した区分の業務のみ従事が可能です。

・溶接 ・塗装 ・鉄工
・仕上げ ・機械加工 ・電気機器組立て

専門性の高い業種のため、技能試験および日本語試験の合格が必須です。

6.自動車整備業

特定技能「自動車整備業」では、自動車の安全点検や分解整備などに従事できます。

【主な業務区分】
・日常点検整備
・定期点検整備
・分解整備(エンジン・ブレーキなどの部品交換含む)

車内清掃や洗車、塗装作業などの関連業務にも取り組めますが、こうした作業だけを中心に行うことは認められていません。

また、整備分野の技能試験および日本語能力試験の合格が必須です。

7.航空業

特定技能「航空業」は、空港での地上業務や航空機の整備に携わることができる資格です。

【主な業務区分】
・航空機整備(点検・部品交換などの保守業務)
・グランドハンドリング(誘導、手荷物搬送、乗橋装着 など)

なかでも多くの外国人が活躍しているのが、空港でのグランドハンドリング業務です。
これは、飛行機が地上にいる間に行う一連の支援作業のことで、空の安全と正確な運航を陰で支える重要なポジションです。

特定技能「航空業」の資格を取得するには、技能試験と日本語能力試験に合格していることが条件になります。

8.宿泊業

特定技能「宿泊業」は、旅館やホテルでの接客・運営に関わることができる資格です。

【主な業務区分】
・フロント業務(チェックイン・チェックアウト対応)
・レストランでの接客サービス
・宿泊プランの企画
・広報や販促活動
・その他、旅館・ホテルの基本的な運営業務

多くの外国人は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でも働いていますが、より実務に直結した現場で活躍したい場合は、特定技能「宿泊業」が適しています。

ただし、風俗営業法に該当する施設(カラオケ付き飲食店など)では、特定技能の外国人を受け入れることができません。注意しましょう。

9.農業

特定技能「農業」は、耕作から畜産まで幅広い現場で活躍できる資格です。

【主な業務区分】
● 耕種農業
・野菜・果樹・穀物などの栽培
・田畑の管理や収穫、出荷作業

● 畜産業
・養豚、酪農、養鶏などの飼育・管理
・搾乳、餌やり、清掃など日常的なケア

特定技能「農業」は、派遣雇用が認められている分野の一つです。受入機関が技能試験の申込を行うケースが多いですが、外国人本人が申し込むこともできます。

10.漁業

特定技能「漁業」では、海での漁獲や養殖などに従事することができます。

【主な業務区分】
● 漁業
・船に乗っての漁獲作業
・網の補修、仕分け、出荷作業 など

● 養殖業
・魚や貝の養殖管理(給餌・水質管理・収穫など)
・設備の点検・清掃・補修作業

特定技能「漁業」は、季節や漁獲物により繁忙期・閑散期がはっきりしているため、派遣雇用が認められています。

なお、漁業と養殖業の両方に従事したい場合は、それぞれの分野で資格取得が必要です。

11.飲食料品製造業

特定技能「飲食料品製造業」は、食品の製造や加工に関わる業務に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・食料品の製造・加工
・安全衛生管理(清掃、検品など)
・製造ラインでの作業(包装・仕分け・機械操作 など)

【主な対象業種】
・豆腐・かまぼこ等の加工食品小売業
・清涼飲料製造業(※酒類は除く)
・パン小売業、菓子小売業
・コーヒー・お茶の製造業
・製氷業

定型的な作業が多く、初めて就労する外国人に選ばれることの多い職種です。
試験に合格すれば、特定技能1号として幅広い業種で働くことができます。

12.外食業

特定技能「外食業」は、飲食店や給食施設で調理・接客・店舗運営の補助に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・調理(仕込み、加熱、盛り付けなど)
・接客(注文受付、配膳、会計など)
・店舗管理補助(衛生管理、在庫管理、スタッフ指導補助など)
※学校・病院などの給食施設を含む

原材料の生産、物品販売、デリバリーなどの関連業務は、主業務に付随する範囲でのみ従事可能です。
また、2号資格への移行には、飲食店における管理補助・複数従業員の指導経験(原則2年以上)が必要となります。

13.自動車運送業

特定技能「自動車運送業」は、各種車両を使用した旅客・貨物の運送に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・トラックによる貨物運送
・バス運転による旅客輸送
・タクシー業務(一般旅客自動車運送)

トラックの運転手は、第一種運転免許(中型以上)の取得が必要です。バスやタクシーなど、旅客を運ぶ業務の場合は、第二種運転免許が必要となります。また、自動車運送業では、安全運転と法令順守が求められるため、一定の日本語能力と運転経歴も審査の対象です。

14.鉄道

特定技能「鉄道」は、鉄道の保守や運行補助に関わる業務に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・車両整備(検査、修理、部品交換など)
・運輸係員(駅構内での案内・誘導・安全確認)
・軌道整備(レールやまくらぎなどの点検・補修)
・電気設備整備(信号、変電、通信設備の保守)

運輸係員(駅係員など)として従事する場合は、日本語での対応が求められるため、JLPT(日本語能力試験)N3以上の資格が必須です。その他の業務でも、安全管理や連携が必要なため、一定の日本語能力が求められます。

15.木材産業

特定技能「木材産業」は、木材の加工や合板の製造などに従事できる資格です。

【主な業務内容】
・木材の加工(切断、乾燥、整形など)
・合板製造(接着、圧縮、仕上げなど)

就労には、木材産業特定技能1号の測定試験および日本語能力試験の合格が必要です。なお、すでに木材産業特定技能2号を取得している場合は、これらの試験は免除されます。

16.林業

特定技能「林業」は、森林の整備や木材の生産に関わる業務に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・造林(植林、下刈り、間伐、育成管理 など)
・素材生産(伐採、集材、搬出など木材の生産作業)

林業は、森林資源の持続的な利用を目的として行われます。苗木の植栽から育成、成熟した樹木の伐採・搬出まで、一連の作業を担う職種です。作業環境は山間部が多いため、体力や安全管理の徹底が求められます。

在留資格の特定技能の取得手続き

特定技能の資格を取得するためには、申請者の在留状況に応じて手続きが異なります。ここでは、1.日本国内に在留している場合2.海外から新たに来日する場合の2つに分けて手順をご紹介します。

1.日本国内に在留している場合

すでに日本に在留している外国籍の方が特定技能に資格変更する場合、流れは以下の通りです。

STEP1
資格要件と書類の確認

まずは、特定技能の要件を満たしているか確認します。
あわせて、雇用契約予定の企業との労働条件の調整や、健康診断の受診も必要です。

STEP2
雇用契約を結ぶ

資格要件を満たしていることが確認できたら、正式に雇用契約を結びます。
契約書には、業務内容や勤務場所、労働時間、報酬などの記載が必要です。

STEP3
支援計画を作成する

受け入れ企業または登録支援機関が、外国人の方が日本で安心して働くための「特定技能外国人支援計画」を作成します。

この計画には、生活ガイダンスの実施、日本語学習の機会提供、相談窓口の整備など、複数の支援項目が含まれています。

STEP4
「在留資格変更許可申請」を提出

書類がそろったら、「在留資格変更許可申請」を入国管理局に提出します。
申請は原則として本人が行いますが、行政書士などの申請取次者による代理申請も可能です。

申請時には、雇用契約書や支援計画書、健康診断結果などを含む、指定の添付資料が必要になります。

STEP5
在留カードを受け取

審査が許可されると、新しい在留資格が記載された在留カードが交付されます。
旧カードは返却し、新しいカードと交換してください。

STEP6
活動開始

在留資格の変更とカードの受領が完了すれば、企業での勤務を正式に開始することができます。

海外から来日する場合

続いて、海外から来日する外国籍の方が特定技能の資格を取得する際の手順です。

STEP1
資格条件を満たしているか確認する

申請の前に、本人が資格の取得要件を満たしているか確認します。
必要に応じて、健康診断を受けておきましょう。

STEP2
雇用契約を結ぶ

申請者が条件を満たしていることを確認したのち、正式に雇用契約を結びます。

STEP3
支援計画を作成する

企業または登録支援機関が、「特定技能外国人支援計画」を作成します。
この計画には、生活ガイダンス、日本語学習の提供、相談対応などが含まれます。

STEP4
在留資格認定証明書交付申請」を提出

雇用企業が、地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を提出してください。
申請者本人が日本にすでに滞在している場合と異なり、企業が手続きを行いましょう。

STEP5
認定証明書を受け取る

審査が完了すると、在留資格認定証明書が発行されます。
この証明書は、ビザ申請時に必要となる重要な書類です。大切に保管しましょう。

STEP6
ビザの申請を行う

外国人本人が、自国にある日本大使館または領事館にて、就労ビザの申請を行います。
申請時には、在留資格認定証明書、パスポート、申請書類などが必要です。

STEP7
ビザを受け取る

審査に通過すると、パスポートに就労ビザが貼付された状態で返却されます。

STEP8
入国・在留カードの取得

ビザを取得後、日本に入国します。主要空港では、その場で在留カードが交付されますが、地方空港の場合、後日居住地へ郵送されるケースがあります。

STEP9
就労開始

入国後、市区町村で住民登録を行い、健康保険や年金等の手続きを済ませましょう。その後、企業での就労を開始してください。

特定技能で外国人労働者を採用する際の注意点

特定技能の在留資格で働く場合、紹介業者を経由する場合と、受け入れ機関(企業)が直接採用する場合があります。職業紹介業者を仲介する場合は、厚生労働省の許可が必要です。

職業紹介業者を仲介する場合、受け入れ期間中に無許可で仕事を紹介してしまうと職業安定法違反になるため注意しましょう。

在留資格の特定技能と技能実習の違い

特定技能と混同しやすい在留資格として、技能実習があります。
いずれも外国人が日本で働くことができる在留資格ですが、制度の目的や在留期間、就労内容などが異なります。ここでは、それぞれの制度の特徴と違いについて見ていきましょう。

1.制度の目的・位置づけの違い

2つの資格は、名前こそ似ていますが、根本的に制度の目的や位置づけが異なります。

【特定技能】
日本の人手不足を補うための制度。即戦力としての外国人材の受け入れが目的。

【技能実習】
発展途上国への技術移転を目的とした制度。
国際貢献の側面が強く、労働ではなく「実習」が目的。

2.在留期間の違い

続いては、在留できる期間の違いです。以前は、技能実習を修了した外国人は原則として帰国が必要でした。しかし、2019年に特定技能制度が創設されたことで、技能実習から特定技能への移行が可能になりました。

【特定技能の在留期間】
・特定技能1号:最長5年間(更新制)
・特定技能2号:期間の上限なし(永住申請も可)

【技能実習の在留期間】
技能実習1号~3号:合計最大5年間(1号:1年、2号:2年、3号:2年)

特定技能は多くの場合、1号からスタートし、条件を満たせば2号に移行できます。一方で技能実習は、原則として、3号修了後は帰国が必要です。

また、2号修了時に特定技能1号への移行が可能になります。

2025年特定技能の制度変更について

2025年4月1日より、特定技能の在留資格に関する制度が一部改正されました。
手続きが簡素化された一方で、新たに必要となる書類やルールも追加されています。

これから申請を予定している方や、外国人を受け入れる企業の方は、変更点を確認のうえで準備を進めましょう。

簡素化された内容

制度変更により簡略化された内容は、以下の2つです。

1.定期届出の提出頻度は年に1回

これまで四半期ごとに求められていた定期届出が、年1回の提出に変更されました。
新たに統一された書式「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」によって、提出の手間が軽減されます。

2.企業側の適格性に関する書類の簡素化

すでに特定技能外国人を受け入れている企業は、新規申請時に適格性の証明書類を省略できる場合があります

新たに追加された項目

一方で、以下のような新しいルールも加わっています。

これから初めて申請を行う場合や、複数人を受け入れる企業は特に注意が必要です。

1.地域との共生施策に関する確認項目

在留資格の申請書に、「地方自治体が行う外国人との共生施策」に関する項目が追加されました。
これにより、地域での暮らしを支える仕組みとの連携が、これまで以上に重要視されるようになります。

2.協力確認書の提出義務

初めて特定技能外国人を受け入れる企業は、申請前に市区町村へ「協力確認書」を提出する必要があります。

3.就業困難時の届出義務化

在留資格の許可後、1か月以上就労を開始していない場合や活動実態がない場合、届出が義務化されました。
これは、雇用されたまま放置される状況を防ぐことが目的です。

4.資格取得後の未就労期間の取扱い

在留資格が許可されてから1か月以上経過しても実際に就労が始まらない場合は、入管への届出が必要になりました。

特定技能1号の支援に関する変更点

特定技能1号の支援制度についても、以下のような変更が行われました。

1.共生施策への対応が支援内容に追加

支援計画の中に、地方公共団体が実施する共生施策に関する項目が加わりました。

2.送迎車両の運用緩和

登録支援機関が送迎を行う場合、生活支援などと一緒に行う場合は、自車の使用が可能とされました。

3.定期面談の一部オンライン対応

支援の定期面談は、一部オンラインでの実施が認められるようになりました。

提出書類(様式)の変更点

制度変更に伴い、提出書類の形式(参考様式)も一部変更・廃止されています。

【新しい様式】
参考様式第3-5号〜第3-7号など

【内容が変更された様式】
第1-5号、第1-17号、第3-1-2号など

【新設された様式】
第5-14号〜第5-19号

【廃止された様式】
第1-9号、第1-30号

誤った方法で手続きを進めてしまうと、審査が長引くことや受理されない場合があります。
出入国在留管理庁の公式サイトで最新の情報を確認したうえで、申請を行いましょう。

まとめ

本記事では、在留資格「特定技能」について解説しました。

【記事のまとめ】
特定技能とは、人手不足を補うために創設された、就労が認められる在留資格のこと。

技能実習との違い
・2つの在留資格は目的や在留期間が異なる。
・特定技能は労働が目的、実習は技術移転が目的。

対象業種
1号は16分野、2号は11分野で就労が可能。

制度の変更点(2025年4月〜)
・簡略化された2項目
・新たなに追加された4項目
・書類の様式に関する変更

近年、人手不足の解消や社会維持として、外国人労働者の受け入れが進んでいます。
在留資格「特定技能」は、日本社会の労働力を支える制度として今後も重要性を増していくでしょう。

外国人が安心して働き、企業が円滑に受け入れられるよう、制度の理解と準備が欠かせません。

本記事がその一助となりましたら幸いです。

在留資格の申請方法を徹底解説|手続きの流れ・必要書類・注意点

外国籍の方が日本で生活を始めるためには、在留資格の取得が不可欠です。

しかし、「必要な書類は何か?」「まず何から始めればいいのか?」
在留資格の申請を前に、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

実際に、在留資格の申請は書類の準備や手続きが複雑です。
専門的な知識が必要な場合もあるため、戸惑う方も多いでしょう。

ですが、事前にしっかりと準備を整えれば、問題なく申請手続きを進めることができます。

本記事では、在留資格を取得したい方や外国人労働者の雇用を検討している企業様に向けて、申請の流れや注意点、必要書類について解説します。

在留資格の申請にあたって、少しでも不安や迷いを解消するきっかけとなれば幸いです。

在留資格とは

在留資格とは、外国人が日本に滞在・活動を行うために必要な法的資格のことです。
在留資格にはさまざまな種類があり、それぞれに求められる条件や提出書類も異なります。

日本に入国・滞在する外国籍の方は、活動内容や目的に合わせて在留資格を取得しましょう。

在留資格を申請する方法

在留資格の申請方法には、「窓口申請」「在留申請オンラインシステム(オンライン申請)」の2種類があります。

ただし、オンラインで申請を行う場合は「在留申請オンラインシステム」の事前登録が必要で、日本国内からのアクセスに限定されます。

また、利用できる申請種別も限られており、手続きができる方は以下の7つのいずれかに該当する方のみです。

  1. 所属機関の職員の方
  2. 弁護士又は行政書士の方
  3. 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員の方
  4. 登録支援機関の職員の方
  5. 外国人本人
  6. 法定代理人
  7. 親族

詳細は、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。

在留資格の申請の流れ

在留資格は、初めて取得する場合もあれば、すでに持っている資格を継続・変更する場合もありますよね。

実は、在留資格の申請手続きには目的に応じたいくつかの種類があり、それぞれ必要な書類や手順が異なります。

大きく分けて、次の4種類です。

  1. 新規(本人)
  2. 変更(本人)
  3. 更新(本人)
  4. 企業が代理で行う申請

それぞれ詳しく説明していきます。

1.新規申請(初めて申請をする人)

新規申請とは、日本国外にいる外国人の方が、初めて在留資格を取得する際に行うものです。

対象者
・日本の会社に採用された人
・日本人と結婚する人
・留学のために来日する外国人

流れは以下の通りです。

STEP1.必要書類の確認・準備
申請する在留資格ごとに必要書類を確認し、準備する

申請内容に応じた必要書類を確認し、準備を行います。

申請者本人だけでなく、受け入れ機関(企業・学校)や配偶者などからの協力も必要です。

STEP2.申請
「在留資格認定証明書交付申請」を提出し申請する

申請は、原則として、地方出入国在留管理局の窓口にて申請書類を提出する必要があります。

ただし、代理人(申請取次者)であれば、本人に代わって窓口で提出することが可能です。
また、一部の申請については、条件を満たす代理人によるオンライン申請も認められています

申請書は、法務省のサイトからダウンロード可能です。 

法務省 在留資格認定証明書交付申請

STEP3.審査
出入国在留管理庁での審査を待つ

提出された申請書類は、出入国在留管理庁で審査が行われます。

期間の目安は、通常1〜3か月程度です。

審査においては、申請内容が正確かどうかや書類に不備がないか、受け入れ機関との関係などが確認されます。

ただし、追加書類の提出を求められたり、状況によって期間が前後したりする場合もあるため、早めの対応を心掛けましょう。

STEP4.交付
「在留資格認定証明書」を受け取る

審査に通過すると、在留資格認定証明書が交付されます。
これは、外国人本人が日本のビザを取得するために必要な重要書類です。

申請した代理人や受け入れ機関が、証明書の受け取りを行ってください。

交付後は、在留資格認定証明書を海外にいる申請者本人に郵送し、現地の日本大使館または領事館にてビザ申請を行います。

STEP5.日本へ入国
ビザを取得し、日本へ入国する

空港の入国審査にて、在留資格認定証明書を提示します。
審査が完了すると、成田・羽田・関空などの主要空港の場合は、その場で在留カードが交付されます。

在留カードは、日本での生活に必要な、在日外国人の方にとっての身分証明書です。

ただし、地方空港では空港でのカード交付が行われない場合もあります。
その場合は後日、市区町村役場にて受け取りを行ってください。

2.変更申請

変更申請とは、すでに日本に在留している外国人の方が、現在の在留資格を別の資格に切り替えるときに行う手続きです。

【対象者の例】
・留学で来日していたが、日本で就職したため「技術・人文知識・国際業務」へ変更
・就労資格を取得後、日本人と結婚して「日本人配偶者等」へ変更

流れは以下の通りになります。

STEP1.必要書類の確認・準備
申請する在留資格ごとに必要書類を確認する

変更する在留資格ごとに、必要な書類が異なります。

現在の資格と、これから変更したい資格の内容に合わせて、書類をしっかり確認しながら準備を進めてください。

STEP2.申請
「在留資格変更許可申請」を申請する

必要書類が揃ったら、管轄の地方出入国在留管理局にて、本人が在留資格変更許申請を行います。

申請書は、法務省の公式サイトからダウンロード可能です。 

法務省 在留資格変更許可申請書

STEP3.審査
地方出入国在留管理局で申請書の審査が行われる

提出された申請書は、申請内容が妥当か、書類に不備がないかなどがチェックされます。

審査は通常1〜2か月ほどですが、場合によっては、追加書類の提出が求められる場合もあります。

STEP5.交付
新しい在留資格が記載された在留カードを受け取る

審査に通過したのち、指定された期日までに本人が窓口に出向き、以下の書類を持参してカードの受け取りを行いましょう。

【受け取り時に必要な書類】
・パスポート
・古い在留カード
・通知はがき
・収入印紙(4,000円)

受け取る際に古い在留カードは返却し、新しいものと交換します。

また、不許可となった場合でも、再申請が可能です。
理由が不明な場合は、地方出入国管理局にて説明を受けることができます。冷静に対応しましょう。

3.更新申請

更新申請とは、現在すでに在留資格を持っている外国人の方が、そのままの資格で日本に引き続き滞在するために行う手続きです。

申請は以下の手順で行います。

STEP1.必要書類の確認・準備
更新申請のために必要書類を確認する

更新申請は、現在の在留資格の有効期限が切れる3か月前から可能です。

審査には2週間〜1か月ほどかかるため、余裕を持って早めに準備を始めることが大切です。

STEP2.申請
「在留期間更新許可申請書」を申請する。

必要書類が揃ったら、在留期間更新許可申請書を提出します。

本人が直接、管轄の地方出入国在留管理局にて申請手続きを行ってください。

申請書は法務省のサイトからダウンロードできます。 

法務省 在留期間更新許可申請書

STEP4.審査
地方出入国在留管理局で申請の審査を行う

審査においては、在留資格に合った活動が続いているかどうか、必要な条件が満たされているかなどがチェックされます。

追加書類の提出が求められる場合もありますが、通常の場合、2週間〜1か月ほどで結果が出ます。

STEP5.交付
在留カードを受け取る

許可されると、新しい期間が記載された在留カードが発行され、古いカードは新しいものと交換します。

不許可となった場合でも再申請は可能です。
理由が不明な場合は、管理局で直接確認しましょう。

注意点|更新申請は期限内に

更新せずに在留期限を過ぎてしまうと、不法滞在となり、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

ただし、期限前に更新申請を行っていれば「特例措置」により、在留期限を過ぎても最大2か月間の滞在が認められます

この場合、在留カードの裏面に「更新手続き中」のスタンプが押され、引き続き合法的に滞在することが可能です。更新申請は、在留期限の3か月前から受付可能ですので、早めの準備を心がけましょう。

企業が代理で申請する場合

日本の企業が外国人労働者を雇用する場合、在留資格の取得に関する手続きを企業側が代理で行う必要がある場合があります。

特に、日本国外にいる外国籍の方を雇う際は、企業が「在留資格認定証明書交付申請」を行うのが一般的です。

その場合の手続きの流れは、以下の通りです。

STEP1.必要書類の確認・準備
申請する在留資格ごとに必要書類を確認する。

まずは、採用予定の外国人の職務内容に合った在留資格を選定し、その資格に必要な書類を確認・準備します。

書類には、職務内容や雇用条件、会社概要等の記載が必要です。
職務内容が在留資格に適しているかが審査において重視されるため、内容に誤りや矛盾がないように注意しましょう。

STEP2.企業が申請
「在留資格認定証明書交付申請」を申請する。

書類を揃えたら、企業が代理で在留資格認定証明書交付申請を行います。

オンラインまたは、地方出入国在留管理局の窓口にて行うことができます。
申請書は法務省のサイトからダウンロード可能です。 

法務省 在留資格認定証明書交付申請

STEP3.審査
地方出入国在留管理局で申請の審査を行う

提出された申請書は、在留資格と活動内容が合っているかなどを審査します。
追加書類の提出が求められる場合もありますが、通常、審査期間は1〜3か月ほどです。

STEP4.交付
「在留資格認定証明書」が交付される

申請が許可されると「在留資格認定証明書」が発行され、申請者に郵送されます。

在留資格認定証明書は、海外にいる外国人が就労ビザを取得するために必要な書類です。
速やかに本人に送付しましょう。

STEP5.外国人がビザを申請
外国人本人が「ビザ」を申請する

在留資格認定証明書を受け取った外国人本人は、自国の日本大使館や領事館でビザの申請を行います。

STEP6.日本に入国し、在留カード交付
日本に入国したら、在留カードの発行を行う

外国人本人がビザを取得し、成田・羽田・関西・中部などの指定空港から入国した場合は、入国審査で在留カードが交付されます。

一方、地方空港ではその場でカード発行されない場合があります。
その場合は、入国後に居住地役所で住民登録をしたあと、住民票の住所宛に郵送されます。

在留カードは身分証明書としての役割もあるため、日本滞在中は常に携帯しておくことが義務付けられています。

また、空港で受け取った場合も、14日以内に居住地の役所で住民登録が必要です。

STEP7.雇用開始
企業と正式に雇用契約を結び、勤務開始

企業は、入社から翌月10日までに、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」をする必要があります。

あわせて健康保険、厚生年金、雇用保険など、対象となる社会保険への加入手続きも行いましょう。

在留資格の申請に必要な書類

続いて、手続きの際に必要な書類を見ていきましょう。

在留資格を申請する際には、在留資格の種類や申請者の状況に応じた書類を準備する必要があります。
ここでは、多くの在留資格で共通して求められる基本的な書類をご紹介します。

本人が申請を行う場合

【在留資格申請に必要となる主な書類 4つ】

必要書類内容
申請書在留に必要な情報を記載する書類
パスポート有効なパスポート(写し)
写真縦4cm×横3cm、背景なし、申請前3か月以内に撮影
在留カードすでに在留している場合

在留資格の種類によっては、追加で必要な書類が指定されることがあります。
自分の状況に合った申請要件を事前にしっかり確認しましょう。

参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html

外国人労働者を雇用する場合(企業向け)

日本の企業が外国人を雇用するには、適切な在留資格の取得が必要です。
企業が新たに外国人労働者を雇用する際には、在留資格の申請に必要な書類の準備と確認を行いましょう。

企業が外国人労働者を雇用する際に必要な書類は、主に以下の通りです。

【企業側が準備する主な書類 7つ】

必要書類内容
登記薄謄本会社の登記情報を証明する書類
決算書会社の経営状況・財務内容を確認するための資料
雇用契約書外国人と企業の雇用条件を証明する書類
給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表給与支払いの実績や、従業員数などをを確認するための資料
会社案内会社の事業内容や規模を示す資料
雇用理由書採用理由や業務内容との適合性を説明する文書
労働保険・社会保険の加入証明書法令に基づく適切な雇用管理がされていることを示す書類

企業側には、雇用予定の外国人が、在留資格の要件を満たしているかどうかを確認する法的責任があります。

誤った在留資格での雇用は不法就労助長罪に問われる可能性もあるため、必ず正確な確認と申請を行いましょう。

在留資格を取得する際の注意点

在留資格を取得するためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。
申請をスムーズに進めるために、必要な条件をしっかり確認しておきましょう。

以下の5つが、主な必要条件です。

1.活動内容と在留資格が合致していること

申請者が日本で行おうとしている活動内容が、申請する在留資格の範囲に合致しているか確認しましょう。

例えば、通訳やシステムエンジニアなど、専門性のある職種に就く場合は「技術・人文知識・国際業務」の資格を取得する必要があります。

資格と実際の活動内容が一致していないと、不許可となる可能性があるため、注意が必要です。

2.経済的に自立していること

日本での生活に必要な資金を、自力または支援によって確保できていることが求められます。

就労の場合は、企業と雇用契約に基づいた安定した収入があること。
留学の場合は、学費や生活費を支払えるだけの経済支援があることが、資格取得の条件です。

収入が不安定だと判断されて場合、不許可になるケースもあります。

3.公的ルールを守っていること

過去に不法滞在歴や犯罪歴がないことも、資格取得の重要な条件です。
日本滞在中も法令を守り、交通違反や税金未納がないようにしてください。

4.必要書類がそろっていること

申請の際は、資格ごとに定められた必要書類を正確に提出できるようにしましょう。
記入漏れや不備があると、審査に時間がかかる、あるいは不許可の原因になることもあります。

5.在留資格の適切な管理

取得後も、在留資格の有効期限を守り、更新期間や資格変更に必要な際には速やかに手続きを行いましょう。

また、就労資格を持っている場合、許可されていない職種に就くと不法就労とみなされてしまい、罰則の対象となります。

これらの条件を満たしていれば、在留資格の申請はよりスムーズに進めることができます。

しかし、不備があった場合は審査が長引くだけでなく、不許可になるリスクもあります。
申請時は事前に入念な準備を行い、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。

外国人労働者を雇用する場合(企業向け)

外国人労働者を企業が採用する場合、条件は以下の通りです。

企業は雇用主として、外国人の適正な雇用と在留資格の管理をしっかりしなくてはいけません。
特に、以下の6つのポイントに注意しましょう。

1.適切な在留資格を持つ人を雇用すること

まずは、採用予定の外国人が就労可能な在留資格を持っているかを必ず確認しましょう。

例えば、「技術・人文知識・国際業務」などの就労系資格であれば雇用することができますが、「留学」や「家族滞在」などの資格を取得している場合は、原則として就労できません。

ただし例外として、資格外活動の許可を取得していれば、非就労資格であっても働くことができます。

採用前に在留カードを確認し、資格の種類・期限・就労制限の有無をしっかりチェックしましょう。

2.資格に合った仕事内容を提供すること

外国人が担当する業務は、在留資格で許可された範囲内である必要があります。
在留資格の範囲を超える業務を行わせた場合は、不法就労助長罪に問われる可能性があります。

3.労働条件を明確に伝えること

労働契約を結ぶ際は、勤務時間・給与・休日などの条件を明記した書面を交付することが義務付けられています。

これはすべての労働者に共通のルールです。
ただし、外国人の場合、言語の違いや文化的背景から誤解が生じやすいです。

よりわかりやすく、丁寧に説明するよう心掛けましょう。

4.外国人雇用状況の届出を行うこと

外国人を新たに雇用した場合や離職した場合には、ハローワークへの届出が義務付けられています。
入社日・退社日の翌月10日までに、外国人雇用状況の届出を行ってください

5.社会保険・雇用保険への加入を行うこと

外国人であっても、一定の労働時間や契約内容を満たしていれば、健康保険・厚生年金・雇用保険への加入義務があります。

加入を怠ると、企業側が法令違反として行政指導や罰則の対象になる可能性があります。

6.事業の安定性・継続性を示すこと

企業が「在留資格認定証明書交付申請」を行う際は、事業が安定・継続していることを証明する資料の提出が求められる場合があります。

具体的には、以下のような書類が必要となる場合があります。

  • 登記簿謄本
  • 決算書
  • 雇用契約書
  • 給与支払い実績(法定調書合計表)など

このように、企業が外国人を雇用する際は、在留資格の確認と雇用管理の両面から法令を遵守することが不可欠です。

適切な準備と対応を行い、双方にとって安心できる雇用関係を築きましょう。

まとめ

この記事では、在留資格の申請方法に必要な書類、注意点について解説しました。

  • 申請方法には「窓口申請」と「在留申請オンラインシステム(オンライン申請)」の2種類があり、オンライン申請は特定の条件を満たす場合のみ利用可能
  • 申請の種類は主に以下の4つ
    新規申請:日本国外から初めて資格を取得する場合
    変更申請:すでに日本に在留資格を変更する場合
    更新申請:現在の資格を継続して滞在する場合
    企業申請:企業が外国人労働者のために代理人で行う申請
  • 申請に必要な条件は以下の通り
    ・日本で行う活動が正しい資格と一致していること
    ・経済的に自立できる生活基盤があること
    ・公的ルールを守り、過去に不法滞在や犯罪歴がないこと
    ・必要な書類が揃っていること
    ・取得後も正しく資格を管理すること
  • 企業が外国人を雇用する場合の条件
    ・適切な在留資格を持つ人材を雇用すること
    ・在留資格に合った仕事内容を用意すること
    ・労働条件を明確にすること
    ・外国人雇用状況の発信を行うこと
    ・社会保険・雇用保険への適正な加入を行うこと
    ・事業の安定性・継続性を証明すること

在留資格の申請は、目的に応じた適切な準備と手続きが重要です。
活動目的を明確にし、生活基盤の安定を証明することで、スムーズな申請が可能となります。

正しい手続きを行い、日本での生活や活動を安心してスタートさせましょう。

本記事が、在留資格取得に向けた準備の参考になれば幸いです。

在留資格の更新にかかる期間は?必要書類・手順・費用まで徹底解説

「在留資格の更新手続きってどうやるの?どんな時に必要なの?」
在留資格の更新手続きは複雑で分かりにくく、こういったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

必要書類や手続きに不備があると更新が許可されない、というリスクも出てきます。

本記事では、在留資格の更新について方法や費用などをわかりやすく解説します。

在留資格の更新は、外国籍の方が認められた在留期間を超えて滞在したい場合に、必ず必要な手続きです。
引き続き日本に滞在するためにも、ぜひ最後までお読みください。

在留資格の更新とは|更新が必要な理由

在留資格の更新とは、在留資格の種類は変更せずに、滞在期間を延長するための手続きです。

在留資格は、それぞれの資格に応じて有効期限が定められています。

日本に滞在している外国籍の方が、有効期限を超えて日本で活動したい場合、「更新」の手続きが必要です。

もし更新しない場合、認められた在留期間までしか日本に滞在することはできません。

再度日本へ入国するためには、改めてビザの取得が必要となり、大変な手間がかかります。
しかし、更新手続きをすることで、在留期間を延長し引き続き日本に在留できるようになるのです。

ただし、在留資格の種類を変更したい場合は、別途「変更」の手続きが必要となります。

在留資格の更新にかかる期間

在留資格の更新にかかる期間は、短いもので約2週間、長いものでは2ヶ月近く必要です。

在留資格の更新には審査があり、その場ですぐに認可されるものではありません。
そのため、申請中に期間満了となってしまうケースも出てきます。

ただし、更新手続きを行っていれば、以下のうちどちらか短い期間を、引き続き日本で滞在することが可能です。

  1. 審査が完了する日
  2. 現在の在留期間が終了してから2ヶ月間

更新の手続きを行うと、在留カードの裏面に「在留期間の更新を申請中」と記載されます。

これによって手続き中であることが証明できるため、在留期間が切れた後も問題なく滞在することが可能です。

在留資格を更新するタイミング

在留資格を更新するタイミングは、「在留期間が終了する日まで」となっています。

在留期間はそれぞれの資格によって異なりますが、期間が6ヶ月以上ある場合の更新手続きは、3ヶ月前から可能です。

在留期間が3ヶ月以内の場合は、期間の半分以上が経過したときから申請できます。

在留資格を更新する方法

在留資格を更新する方法は以下の2つです。

1.出入国在留管理署の窓口

お住まいの住所を管轄する地方出入国在留管理署の窓口で申請することができます。

必要書類は在留資格の種類によって異なるため、事前に確認しておくと手続きがスムーズです。

更新に必要な書類については、本記事の「在留資格更新に必要な書類」をご覧ください。

ご自身の申請先を確かめたい場合は「申請等取次申出 受付官署一覧」をご確認ください。

2.出入国在留管理庁のオンライン申請

出入国在留管理庁のホームページへアクセスし「在留申請のオンライン手続」のページから在留資格更新の申請をします。

ちなみに、在留資格の手続きに関するお問合せは、出入国在留管理庁とお問い合わせ専用インフォメーションセンターにて受け付けています。

外国人在留総合インフォメーションセンター等

在留資格更新の流れ

本章では、在留資格を更新する上で必要な書類や費用、手続きの手順についてご紹介します。

  1. 在留資格更新に必要な書類
  2. 在留資格更新にかかる費用
  3. 在留資格更新 | 手続きの手順

それでは、一つずつみていきましょう。

1.在留資格更新に必要な書類

在留資格の更新に必要な書類は、以下の通りです。

  • 在留期間更新許可申請書 1通(資格に応じた申請書)
  • 写真 1枚(縦4センチ、横3センチ)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 在留資格に応じた書類

申請書は、地方出入国在留管理署の窓口で受け取る、または出入国在留管理庁のホームページでダウンロードも可能です。

在留資格更新許可申請書は資格によって異なるため、ご自身に合うものを選びましょう。

また、在留資格に応じた提出書類が必要となります。

必要書類の詳細については、出入国在留管理庁のホームページより「在留期間更新許可申請」をご確認ください。

2.在留資格更新にかかる費用

更新が許可された場合にかかる費用は以下のとおりです。

【在留資格更新許可手数料】

申込み方法手数料
窓口(地方出入国在留管理署)6,000円
オンライン(出入国在留管理庁のホームページ)5,500円

上記のように、オンラインでの申し込みの方が500円安く設定されています。

費用を支払う際は、それぞれ手数料に相当する金額の収入印紙を購入し「手数料納付書」に貼って納付しましょう。

3.在留資格更新 | 手続きの手順

以下に、在留資格を更新するための一般的な手順をご説明します。

STEP1.書類の準備
「在留資格更新許可申請書」と添付書類を用意する

在留資格更新許可申請書と添付書類は、それぞれの資格によって異なります。
ご自身に合った書類を用意しましょう。

STEP2.申請
必要書類を提出し申請する

申請を行うのは、本人または代理人(受入れ機関の職員など)、及び取次者(弁護士、行政書士など)です。
お住まいの住所を管轄している地方出入国在留管理署の窓口、または郵送で書類を提出し申請します。

STEP3.交付
新しい在留カードを受け取る

審査に通れば、出入国在留管理署から申請者の住所へハガキが届きます。

ハガキが届いたら、本人または代理人が出入国在留管理署へ出向き、新しい在留カードを受け取ります。

その際、持参する書類は以下の5つです。

  • 申請受付票
  • 届いたハガキ(通知書)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 更新手数料(6,000円または5,500円)

在留資格更新手続き3つの注意点

在留資格を更新する際の3つの注意点をご紹介します。

  1. 更新を行わないと不法滞在になる
  2. 2ヶ月経っても審査の結果が出ない場合は日本に住めない
  3. 更新が許可されない場合もある

以下に、一つずつ詳しくご説明します。

1.更新を行わないと不法滞在になる

在留資格の更新は、在留期間が満了する日までに行わなければいけません。

もし、更新を忘れる、または手続きが遅れるなどによって在留期限までに資格の更新をしなかった場合、不法滞在となる可能性があります。

不法滞在は罰金や在留資格の取り消しなど処罰の対象となってしまうため、注意が必要です。

また、国外へ退去強制された場合、5年間は日本へ入国できません。在留資格の更新手続きは、必ず有効期限内に行いましょう。

2.2ヶ月経っても審査の結果が出ない場合は日本に住めない

先述したように、更新手続きを済ませても、有効期限内に審査の結果が出ないことがあります。

その場合の例外的な措置として、2ヶ月の「特例期間」が設けられています。
特例期間の期間中であれば、在留期限を過ぎていても日本に滞在することが可能です。

しかし、特例期間を過ぎて滞在することは保証されていないため注意しましょう。

更新が許可されない場合もある

以下に当てはまる場合、在留資格の更新は許可されません。

  • 在留資格で認められた活動を終えている
  • 在留状況に問題がある

例えば、在留資格に応じた活動を行っていない場合、また素行が不良であると判断された場合などは、更新が許可されません。

在留期間の更新許可の基準について、詳しくは出入国在留管理庁のホームページより「在留資格の変更、在留期間の更新ガイドライン」をご覧ください。

まとめ

本記事では、在留資格の更新についておもに以下の内容を解説しました。

  • 在留資格の更新は期間後も日本に滞在したい場合に必須
  • 更新手続きに必要な期間は2週間~2ヶ月(在留資格による)
  • 在留資格を更新する方法は2つ(窓口・オンライン)
  • 在留資格更新には、以下の書類に加えて、資格に応じた提出書類が必要
    在留期間更新許可申請書 1通(資格に応じた申請書)
    ・写真 1枚(縦4センチ、横3センチ)
    ・パスポート
    ・在留カード
    ・在留資格に応じた書類

在留資格の更新は、外国籍の方が在留期間を過ぎても日本に滞在したい場合に必ず行わなければならない手続きです。

更新しないと罰則の対象となってしまうため、在留資格で定められた「在留期間」はしっかり確認しておきましょう。

本記事が、外国籍の方が引き続き安心して日本で過ごせるようお役に立てたら幸いです。

その不安、プロに頼ってみませんか?
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