ICEBERG行政書士事務所

在留資格の特定技能とは?知っておきたい要件や取得方法を徹底解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

在留資格の特定技能について、
「どんな特徴があるのか」「資格取得までに何をすれば良いかわからない」
このような疑問を抱いている方は多いのではないでしょうか?

実際に、特定技能の資格を得るには、決められた資格取得や手続きが必要になってきます。

さらに、特定技能の在留資格は1号と2号に分類することができ、認められている活動内容や取得条件も異なります。他の在留資格と比較しても、かなり複雑だと言えるでしょう。申請を検討している方は、手続きを行う前に資格に対する理解を深めておく必要があります。

本記事では、特定技能の特徴や資格取得の条件、新たに導入された制度について解説いたします。日本で安心して生活するためにも、ぜひ最後までお読みください。

在留資格特定技能」とは 


「特定技能制度」とは、国内で人手不足が続いている分野において、外国人の受け入れを可能にした制度です。

2018年に成立した改正出入国管理法によって創設され、2019年4月から開始されました。
対象となるのは、一定の専門性や技能を持つ外国人で、特定の分野において、単純作業を含む幅広い業務に従事することが認められています。

特定技能の資格条件

取得にあたって必要な条件は以下の2つです。

  • 技能水準を試験で確認
  • 日本語能力の水準

【特定技能1号の場合】
●技能水準:所定の分野ごとの技能試験に合格すること
※技能実習2号を修了している場合は試験が免除

日本語能力:日本語能力試験(N4以上)、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)でA2レベル以上を取得すること

【特定技能2号の場合】
技能水準・日本語能力ともに、原則として試験での確認は不要とされています。

ただし、特定技能2号は限られた分野にのみ適用されるため、対象となる業種や職種を事前に確認しておきましょう。

在留資格の特定技能1号・2号の違い

特定技能の制度には「1号」と「2号」の2種類があり、それぞれ制度内容や要件が異なります。主な違いは、以下の8項目です。

  1. 在留可能期間
  2. 業種
  3. 永住権獲得の可否
  4. 技能水準
  5. 日本語能力水準
  6. 外国人支援の必要性
  7. 技能試験の実施状況
  8. 家族帯同の可否

それぞれ解説していきます。

1.在留可能期間

特定技能1号と2号では、在留できる期間に大きな違いがあります。

【特定技能1号】
・在留期間:通算5年まで
・更新時期:1年、6ヶ月、4ヶ月ごとの更新

【特定技能2号】
・在留期間:上限なし
・更新時期:3年、1年、6ヶ月ごとの更新

特定技能1号は最長で5年ですが、特定技能2号は在留期間に制限がないため、長期的な雇用が可能です。

2号の在留資格のほうが、安定した雇用関係が築けるというメリットがあります。

2.業種

就労できる業種も、1号と2号で異なります。特定技能1号は16分野で就労が認められている一方、特定技能2号の場合は11分野です。

【特定技能1号の対象分野】
現在、特定技能1号では14業種・16分野での就労が認められています。

1.介護
2.ビルクリーニング
3.工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
4.建設
5.造船・舶用工業
6.自動車整備
7.航空
8.宿泊
9.農業
10.漁業
11.飲食料品製造業
12.外食業
13.林業
14.木材産業
15.鉄道
16.自動車運送

【特定技能2号の対象分野】
特定技能2号は以前まで「建設」「造船・舶用工業」の2分野のみでしたが、現在は11分野に拡大されています。ただし、介護・林業・木材産業・鉄道自動車運送業の分野は、特定技能2号の対象外です。

1.建設
2.造船・舶用工業
3.ビルクリーニング
4.工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)
5.自動車整備
6.航空
7.宿泊
8.農業
9.漁業
10.飲食料品製造業
11.外食業

3.永住権の取得可否

3つ目は永住権の申請が可能かどうかです。

【特定技能1号】
永住権の取得は不可

【特定技能2号】
条件を満たしていれば永住権の取得が可能

特定技能2号は、一定の条件を満たすことで永住申請が可能な在留資格です。一方で、特定技能1号は在留期間が通算5年までとされており、永住申請の対象にはなりません。

4.技能水準

4つ目は、求められる技能レベルの違いについてです。

特定技能1号は、業務に必要な基本的な技能を有していることが求められます。一方、特定技能2号では、より高度な専門性や現場での指導力が必要です。

【特定技能1号の技能水準】
・知識や経験が必要となる技能を要する業務をこなせること
・指示された内容を理解し、問題なくこなせること

【特定技能2号】
・分野別の試験に合格すること
・高いレベルの技能が身についていること
・管理監督者として指示ができること

このように、特定技能2号では、管理的な業務やリーダー的な役割も期待されます。そのため、技能実習修了レベルを超えた実務能力が必要です。

5.日本語の能力水準

5つ目は、日本語能力についてです。

特定技能1号では、所定の試験により日本語能力を証明する必要があります。一方、特定技能2号では、原則として日本語試験は不要です。

【特定技能1号】
・JFT-Basic(A2以上)またはJLPT(N4以上)の合格が必要
・技能実習2号修了者は試験免除

【特定技能2号】
・原則として日本語試験は不要
※外食・漁業など一部業種ではN3程度が求められる場合あり

どちらも日本で生活・就労するうえでの最低限の日本語力が必要ですが、特定技能2号は、すでに十分な実務経験がある前提で、日本語力の確認は求められません。

6.外国人支援の必要性

6つ目は、生活支援の有無についてです。これは、雇用する側の企業側にとっても重要な部分です。

特定技能1号では、企業側に生活面での支援義務があります。一方で、特定技能2号では支援の必要はありません。

【特定技能1号】
支援の必要あり

【特定技能2号】
支援の必要なし

特定技能1号は「初めて日本に来る方」も多いため、生活支援を行う必要があります。しかし特定技能2号は、すでに長期在留実績があり、日本で自立した生活が送れる方が対象となる資格です。

7.技能試験の実施状況

7つ目は、技能試験の実施場所や試験日についてです。

特定技能1号・2号ともに、日本国内外での技能試験の受験が可能です。ただし、試験の実施国や会場は業種ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

【特定技能1号/2号】
・試験は日本国内・国外の両方で実施
・実施場所・スケジュールは業種によって異なる

試験日程や国別の実施状況は、出入国在留管理庁の公式サイトで随時更新されています。
最新情報は、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。

8.家族帯同の可否

最後は、外国人本人が家族と一緒に日本で生活できるかどうかについてです。家族帯同とは、外国人が日本で働く際に、配偶者や子どもなどの扶養家族を日本に呼び寄せることを指します。特定技能1号と2号では、家族帯同の可否に明確な違いがあります。

【特定技能1号】
原則として、家族帯同は不可
・ただし、家族が既に別の在留資格を持っている場合、状況に応じて「特定活動」への変更が認められるケースもある

【特定技能2号】
次の2つの条件を満たす場合、家族の帯同が認められます。
・条件1:婚姻関係にあること(配偶者であること)
・条件2:扶養を受ける家族であること(経済的に養われていること)

このように、特定技能2号は在留期間・家族帯同・永住申請など、より長期的な生活を見据えた制度設計になっています。ただし、家族の対象は「配偶者と子ども」のみであるため、親・兄弟姉妹は対象外です。


在留資格の特定技能で働ける職種

続いては、特定技能の全16分野について、1つずつご紹介します。先述した通り、特定技能1号で就ける職種は16種類、特定技能2号は介護・林業・木材産業・鉄道自動車運送業を除く11種類です。

それぞれ見ていきましょう。

1.介護

特定技能「介護」では、外国人が介護施設や福祉施設で一定の専門業務に従事することができる資格です。技能実習制度よりも業務範囲が広く、1人で夜勤を担当することもできます。

【主な業務内容】
・身体介護(食事・入浴・排せつなどの介助)
・レクリエーションの企画・運営
・機能訓練の補助

介護分野での就労には、「介護技能評価試験」および「介護日本語評価試験」への合格が必要です。日本の介護業界は慢性的な人手不足が続いており、特定技能「介護」を取得している外国人労働者の方々は即戦力として注目されています。

2.ビルクリーニング

特定技能「ビルクリーニング」では、建物内の清掃を専門とする業務に従事します。不特定多数の人が出入りする施設の清掃や管理、ベッドメイクなどが主な業務です。

【主な就業場所】
・ビル ・ホテル ・学校
・事務所 ・商業施設

建築物の衛生管理が求められる現場で、日常清掃・定期清掃の業務を担う人材として活躍できます。衛生面の知識や丁寧な作業が求められる仕事です。

3.工業製品製造

特定技能「工業製品製造業」は、機械や電子機器などの工業製品を製造することができる資格です。

2022年8月に「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3分野が統合され、より幅広い製造現場での就労が可能になりました。

【主な業務内容】
⚫︎ 機械金属加工
・鋳造 ・ダイカスト ・金属プレス加工 ・溶接
・仕上げ ・塗装 ・鍛造 ・工場板金
・工業包装 ・機械検査 ・機械保全

⚫︎ 電気電子機器組立て
・機械加工 ・電気機器組立て ・電子機器組立て
・プリント配線板製造 ・プラスチック成形
・工業包装 ・機械検査・保全

⚫︎ 金属表面処理
・アルミニウム陽極酸化処理 ・メッキ

【就業先の例】
・自動車部品・機械部品の製造工場
・家電製品や電子部品の組立現場
・工業用模型・梱包資材の製造工場

工業製品製造業の在留資格を取得するためには、技能試験と日本語試験の合格が必須です。現場作業に加え、設備保全や品質検査など幅広い業務に対応できる必要があります。

4.建設

特定技能「建設」は、建築現場での作業全般に従事することができる資格です。
それぞれ、職種に応じた技能試験に合格する必要があります。

【主な業務内容】
・建築大工(木造建築の施工)
・内装仕上げ(クロス貼り・床仕上げなど)
・左官(壁・床への塗り仕上げ)
・鉄筋施工・型枠施工
・とび作業・塗装・配管 など

建設業界は深刻な人手不足が続いており、外国人材の受け入れが積極的に進められています。

5.造船・舶用工業

特定技能「造船・舶用工業」では、船舶や舶用部品の製造・組立などに従事できます。

【主な業務区分】
以下の6つの業務区分のうち、取得した区分の業務のみ従事が可能です。

・溶接 ・塗装 ・鉄工
・仕上げ ・機械加工 ・電気機器組立て

専門性の高い業種のため、技能試験および日本語試験の合格が必須です。

6.自動車整備業

特定技能「自動車整備業」では、自動車の安全点検や分解整備などに従事できます。

【主な業務区分】
・日常点検整備
・定期点検整備
・分解整備(エンジン・ブレーキなどの部品交換含む)

車内清掃や洗車、塗装作業などの関連業務にも取り組めますが、こうした作業だけを中心に行うことは認められていません。

また、整備分野の技能試験および日本語能力試験の合格が必須です。

7.航空業

特定技能「航空業」は、空港での地上業務や航空機の整備に携わることができる資格です。

【主な業務区分】
・航空機整備(点検・部品交換などの保守業務)
・グランドハンドリング(誘導、手荷物搬送、乗橋装着 など)

なかでも多くの外国人が活躍しているのが、空港でのグランドハンドリング業務です。
これは、飛行機が地上にいる間に行う一連の支援作業のことで、空の安全と正確な運航を陰で支える重要なポジションです。

特定技能「航空業」の資格を取得するには、技能試験と日本語能力試験に合格していることが条件になります。

8.宿泊業

特定技能「宿泊業」は、旅館やホテルでの接客・運営に関わることができる資格です。

【主な業務区分】
・フロント業務(チェックイン・チェックアウト対応)
・レストランでの接客サービス
・宿泊プランの企画
・広報や販促活動
・その他、旅館・ホテルの基本的な運営業務

多くの外国人は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でも働いていますが、より実務に直結した現場で活躍したい場合は、特定技能「宿泊業」が適しています。

ただし、風俗営業法に該当する施設(カラオケ付き飲食店など)では、特定技能の外国人を受け入れることができません。注意しましょう。

9.農業

特定技能「農業」は、耕作から畜産まで幅広い現場で活躍できる資格です。

【主な業務区分】
● 耕種農業
・野菜・果樹・穀物などの栽培
・田畑の管理や収穫、出荷作業

● 畜産業
・養豚、酪農、養鶏などの飼育・管理
・搾乳、餌やり、清掃など日常的なケア

特定技能「農業」は、派遣雇用が認められている分野の一つです。受入機関が技能試験の申込を行うケースが多いですが、外国人本人が申し込むこともできます。

10.漁業

特定技能「漁業」では、海での漁獲や養殖などに従事することができます。

【主な業務区分】
● 漁業
・船に乗っての漁獲作業
・網の補修、仕分け、出荷作業 など

● 養殖業
・魚や貝の養殖管理(給餌・水質管理・収穫など)
・設備の点検・清掃・補修作業

特定技能「漁業」は、季節や漁獲物により繁忙期・閑散期がはっきりしているため、派遣雇用が認められています。

なお、漁業と養殖業の両方に従事したい場合は、それぞれの分野で資格取得が必要です。

11.飲食料品製造業

特定技能「飲食料品製造業」は、食品の製造や加工に関わる業務に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・食料品の製造・加工
・安全衛生管理(清掃、検品など)
・製造ラインでの作業(包装・仕分け・機械操作 など)

【主な対象業種】
・豆腐・かまぼこ等の加工食品小売業
・清涼飲料製造業(※酒類は除く)
・パン小売業、菓子小売業
・コーヒー・お茶の製造業
・製氷業

定型的な作業が多く、初めて就労する外国人に選ばれることの多い職種です。
試験に合格すれば、特定技能1号として幅広い業種で働くことができます。

12.外食業

特定技能「外食業」は、飲食店や給食施設で調理・接客・店舗運営の補助に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・調理(仕込み、加熱、盛り付けなど)
・接客(注文受付、配膳、会計など)
・店舗管理補助(衛生管理、在庫管理、スタッフ指導補助など)
※学校・病院などの給食施設を含む

原材料の生産、物品販売、デリバリーなどの関連業務は、主業務に付随する範囲でのみ従事可能です。
また、2号資格への移行には、飲食店における管理補助・複数従業員の指導経験(原則2年以上)が必要となります。

13.自動車運送業

特定技能「自動車運送業」は、各種車両を使用した旅客・貨物の運送に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・トラックによる貨物運送
・バス運転による旅客輸送
・タクシー業務(一般旅客自動車運送)

トラックの運転手は、第一種運転免許(中型以上)の取得が必要です。バスやタクシーなど、旅客を運ぶ業務の場合は、第二種運転免許が必要となります。また、自動車運送業では、安全運転と法令順守が求められるため、一定の日本語能力と運転経歴も審査の対象です。

14.鉄道

特定技能「鉄道」は、鉄道の保守や運行補助に関わる業務に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・車両整備(検査、修理、部品交換など)
・運輸係員(駅構内での案内・誘導・安全確認)
・軌道整備(レールやまくらぎなどの点検・補修)
・電気設備整備(信号、変電、通信設備の保守)

運輸係員(駅係員など)として従事する場合は、日本語での対応が求められるため、JLPT(日本語能力試験)N3以上の資格が必須です。その他の業務でも、安全管理や連携が必要なため、一定の日本語能力が求められます。

15.木材産業

特定技能「木材産業」は、木材の加工や合板の製造などに従事できる資格です。

【主な業務内容】
・木材の加工(切断、乾燥、整形など)
・合板製造(接着、圧縮、仕上げなど)

就労には、木材産業特定技能1号の測定試験および日本語能力試験の合格が必要です。なお、すでに木材産業特定技能2号を取得している場合は、これらの試験は免除されます。

16.林業

特定技能「林業」は、森林の整備や木材の生産に関わる業務に従事できる資格です。

【主な業務内容】
・造林(植林、下刈り、間伐、育成管理 など)
・素材生産(伐採、集材、搬出など木材の生産作業)

林業は、森林資源の持続的な利用を目的として行われます。苗木の植栽から育成、成熟した樹木の伐採・搬出まで、一連の作業を担う職種です。作業環境は山間部が多いため、体力や安全管理の徹底が求められます。

在留資格の特定技能の取得手続き

特定技能の資格を取得するためには、申請者の在留状況に応じて手続きが異なります。ここでは、1.日本国内に在留している場合2.海外から新たに来日する場合の2つに分けて手順をご紹介します。

1.日本国内に在留している場合

すでに日本に在留している外国籍の方が特定技能に資格変更する場合、流れは以下の通りです。

STEP1
資格要件と書類の確認

まずは、特定技能の要件を満たしているか確認します。
あわせて、雇用契約予定の企業との労働条件の調整や、健康診断の受診も必要です。

STEP2
雇用契約を結ぶ

資格要件を満たしていることが確認できたら、正式に雇用契約を結びます。
契約書には、業務内容や勤務場所、労働時間、報酬などの記載が必要です。

STEP3
支援計画を作成する

受け入れ企業または登録支援機関が、外国人の方が日本で安心して働くための「特定技能外国人支援計画」を作成します。

この計画には、生活ガイダンスの実施、日本語学習の機会提供、相談窓口の整備など、複数の支援項目が含まれています。

STEP4
「在留資格変更許可申請」を提出

書類がそろったら、「在留資格変更許可申請」を入国管理局に提出します。
申請は原則として本人が行いますが、行政書士などの申請取次者による代理申請も可能です。

申請時には、雇用契約書や支援計画書、健康診断結果などを含む、指定の添付資料が必要になります。

STEP5
在留カードを受け取

審査が許可されると、新しい在留資格が記載された在留カードが交付されます。
旧カードは返却し、新しいカードと交換してください。

STEP6
活動開始

在留資格の変更とカードの受領が完了すれば、企業での勤務を正式に開始することができます。

海外から来日する場合

続いて、海外から来日する外国籍の方が特定技能の資格を取得する際の手順です。

STEP1
資格条件を満たしているか確認する

申請の前に、本人が資格の取得要件を満たしているか確認します。
必要に応じて、健康診断を受けておきましょう。

STEP2
雇用契約を結ぶ

申請者が条件を満たしていることを確認したのち、正式に雇用契約を結びます。

STEP3
支援計画を作成する

企業または登録支援機関が、「特定技能外国人支援計画」を作成します。
この計画には、生活ガイダンス、日本語学習の提供、相談対応などが含まれます。

STEP4
在留資格認定証明書交付申請」を提出

雇用企業が、地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を提出してください。
申請者本人が日本にすでに滞在している場合と異なり、企業が手続きを行いましょう。

STEP5
認定証明書を受け取る

審査が完了すると、在留資格認定証明書が発行されます。
この証明書は、ビザ申請時に必要となる重要な書類です。大切に保管しましょう。

STEP6
ビザの申請を行う

外国人本人が、自国にある日本大使館または領事館にて、就労ビザの申請を行います。
申請時には、在留資格認定証明書、パスポート、申請書類などが必要です。

STEP7
ビザを受け取る

審査に通過すると、パスポートに就労ビザが貼付された状態で返却されます。

STEP8
入国・在留カードの取得

ビザを取得後、日本に入国します。主要空港では、その場で在留カードが交付されますが、地方空港の場合、後日居住地へ郵送されるケースがあります。

STEP9
就労開始

入国後、市区町村で住民登録を行い、健康保険や年金等の手続きを済ませましょう。その後、企業での就労を開始してください。

特定技能で外国人労働者を採用する際の注意点

特定技能の在留資格で働く場合、紹介業者を経由する場合と、受け入れ機関(企業)が直接採用する場合があります。職業紹介業者を仲介する場合は、厚生労働省の許可が必要です。

職業紹介業者を仲介する場合、受け入れ期間中に無許可で仕事を紹介してしまうと職業安定法違反になるため注意しましょう。

在留資格の特定技能と技能実習の違い

特定技能と混同しやすい在留資格として、技能実習があります。
いずれも外国人が日本で働くことができる在留資格ですが、制度の目的や在留期間、就労内容などが異なります。ここでは、それぞれの制度の特徴と違いについて見ていきましょう。

1.制度の目的・位置づけの違い

2つの資格は、名前こそ似ていますが、根本的に制度の目的や位置づけが異なります。

【特定技能】
日本の人手不足を補うための制度。即戦力としての外国人材の受け入れが目的。

【技能実習】
発展途上国への技術移転を目的とした制度。
国際貢献の側面が強く、労働ではなく「実習」が目的。

2.在留期間の違い

続いては、在留できる期間の違いです。以前は、技能実習を修了した外国人は原則として帰国が必要でした。しかし、2019年に特定技能制度が創設されたことで、技能実習から特定技能への移行が可能になりました。

【特定技能の在留期間】
・特定技能1号:最長5年間(更新制)
・特定技能2号:期間の上限なし(永住申請も可)

【技能実習の在留期間】
技能実習1号~3号:合計最大5年間(1号:1年、2号:2年、3号:2年)

特定技能は多くの場合、1号からスタートし、条件を満たせば2号に移行できます。一方で技能実習は、原則として、3号修了後は帰国が必要です。

また、2号修了時に特定技能1号への移行が可能になります。

2025年特定技能の制度変更について

2025年4月1日より、特定技能の在留資格に関する制度が一部改正されました。
手続きが簡素化された一方で、新たに必要となる書類やルールも追加されています。

これから申請を予定している方や、外国人を受け入れる企業の方は、変更点を確認のうえで準備を進めましょう。

簡素化された内容

制度変更により簡略化された内容は、以下の2つです。

1.定期届出の提出頻度は年に1回

これまで四半期ごとに求められていた定期届出が、年1回の提出に変更されました。
新たに統一された書式「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」によって、提出の手間が軽減されます。

2.企業側の適格性に関する書類の簡素化

すでに特定技能外国人を受け入れている企業は、新規申請時に適格性の証明書類を省略できる場合があります

新たに追加された項目

一方で、以下のような新しいルールも加わっています。

これから初めて申請を行う場合や、複数人を受け入れる企業は特に注意が必要です。

1.地域との共生施策に関する確認項目

在留資格の申請書に、「地方自治体が行う外国人との共生施策」に関する項目が追加されました。
これにより、地域での暮らしを支える仕組みとの連携が、これまで以上に重要視されるようになります。

2.協力確認書の提出義務

初めて特定技能外国人を受け入れる企業は、申請前に市区町村へ「協力確認書」を提出する必要があります。

3.就業困難時の届出義務化

在留資格の許可後、1か月以上就労を開始していない場合や活動実態がない場合、届出が義務化されました。
これは、雇用されたまま放置される状況を防ぐことが目的です。

4.資格取得後の未就労期間の取扱い

在留資格が許可されてから1か月以上経過しても実際に就労が始まらない場合は、入管への届出が必要になりました。

特定技能1号の支援に関する変更点

特定技能1号の支援制度についても、以下のような変更が行われました。

1.共生施策への対応が支援内容に追加

支援計画の中に、地方公共団体が実施する共生施策に関する項目が加わりました。

2.送迎車両の運用緩和

登録支援機関が送迎を行う場合、生活支援などと一緒に行う場合は、自車の使用が可能とされました。

3.定期面談の一部オンライン対応

支援の定期面談は、一部オンラインでの実施が認められるようになりました。

提出書類(様式)の変更点

制度変更に伴い、提出書類の形式(参考様式)も一部変更・廃止されています。

【新しい様式】
参考様式第3-5号〜第3-7号など

【内容が変更された様式】
第1-5号、第1-17号、第3-1-2号など

【新設された様式】
第5-14号〜第5-19号

【廃止された様式】
第1-9号、第1-30号

誤った方法で手続きを進めてしまうと、審査が長引くことや受理されない場合があります。
出入国在留管理庁の公式サイトで最新の情報を確認したうえで、申請を行いましょう。

まとめ

本記事では、在留資格「特定技能」について解説しました。

【記事のまとめ】
特定技能とは、人手不足を補うために創設された、就労が認められる在留資格のこと。

技能実習との違い
・2つの在留資格は目的や在留期間が異なる。
・特定技能は労働が目的、実習は技術移転が目的。

対象業種
1号は16分野、2号は11分野で就労が可能。

制度の変更点(2025年4月〜)
・簡略化された2項目
・新たなに追加された4項目
・書類の様式に関する変更

近年、人手不足の解消や社会維持として、外国人労働者の受け入れが進んでいます。
在留資格「特定技能」は、日本社会の労働力を支える制度として今後も重要性を増していくでしょう。

外国人が安心して働き、企業が円滑に受け入れられるよう、制度の理解と準備が欠かせません。

本記事がその一助となりましたら幸いです。

    • このエントリーをはてなブックマークに追加

    コメントを残す

    *

    PAGE TOP