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在留資格の配偶者とは?取得方法や注意点を詳しく解説

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在留資格の配偶者とは、日本人や永住資格を持っている外国人と結婚した外国人が、日本で一緒に暮らすために必要な資格です。

本記事では、日本で暮らす外国人の方が日本で生活する上で非常に重要な「日本人の配偶者等」と「永住者の配偶者等」の在留資格について解説します。

あなたの新しい生活の第一歩にお役立ていただけると幸いです。

在留資格の配偶者とは

在留資格の配偶者とは、日本人や永住者、または特別永住者と結婚した在日外国人の方が日本で生活するために取得できる資格です。具体的には、以下の2つに分かれます。

  1. 日本人の配偶者等
  2. 永住者の配偶者等

それぞれ見ていきましょう。

1. 日本人の配偶者等

日本人の配偶者とは、日本人と法律上の婚姻関係にある外国籍の方を対象とした在留資格です。
以下の3つのいずれかに当てはまる方が該当します。

日本人の配偶者等の資格を取得する際は、日本の法律に基づく正式な婚姻関係があることが条件です。そのため、内縁関係や事実婚は認められません。

例えば、アメリカ国籍の女性と日本国籍の男性が婚姻届を提出し、受理されたとします。この場合、アメリカ国籍の女性は「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することができます。
ただし、日本と相手国(この例ではアメリカ)の双方で婚姻が認められていなければいけません。夫婦としての実態があっても、法律上の届出がなければ資格は与えられないのです。

また、この在留資格は、夫婦の関係が続いていることが前提です。離婚した場合や死別した場合は、資格の変更が必要になるため注意しましょう。

日本人の実子

「日本人の実子」とは、日本国籍を持つ親から生まれた実の子どものことを指します。該当するかどうかは、次の2点を満たしているかで判断されます。

  1. 子どもが生まれた時に、親のいずれかが日本国籍を持っていたこと
  2. 実の親子であること(血縁関係があること)

例えば、子どもが生まれた時、父親が日本国籍を所有していれば、その後に父親が外国籍に変更したとしても在留資格に影響はありません。
日本人の実子であることを証明するためには、出生証明書や戸籍情報などの提出が必要になるため、申請の際はあらかじめ準備しておきましょう。

日本の特別養子縁組による子

日本の特別養子縁組による子とは、家庭裁判所の許可を得て、特別養子縁組が成立した子どもを指します。特別養子縁組とは、通常の養子縁組とは異なり、実の子に準じる親子関係を築くことができる制度です。

該当するかどうかは、次の点を満たしているかで判断されます。

  1. 家庭裁判所の許可を得て、正式に特別養子縁組が成立していること
  2. 養親が日本国籍を持っていること

「日本の特別養子縁組による子」は、日本の法律に基づき、正規の手続きを経て養子となった子どもです。申請には関連書類の提出が必要となるため、不備がないよう事前に内容を確認しておくことが大切です。

永住者の配偶者等

「永住者の配偶者等」は、日本に永住許可を得ている外国人の方や特別永住者の方と、その配偶者や実子が取得する在留資格です。

以下のいずれかに該当する方が対象となります。

それぞれのケースについて見ていきましょう。

永住者または特別永住者の配偶者

「永住者または特別永住者の配偶者」の在留資格は、永住者または特別永住者と法律上の婚姻関係にある方が対象です。

該当するかどうかは、次の条件を満たしているかで判断されます。

  • 日本の法律に基づいた婚姻関係が正式に成立していること
  • 夫婦としての実態があること

なお、以下のような条件に該当する場合は対象外です。

  • 内縁関係(事実婚)
  • 同性婚(日本の現行法では法的婚姻と認められていません)

このように、日本の法制度に基づいた正式な婚姻関係がない場合は、この資格を取得できません。条件を満たしているかどうか、資格の取得前に確認しておきましょう。

永住者または特別永住者の実子

永住者または特別永住者の実子は、日本で出生し、その後も日本で暮らしている永住者または特別永住者の子どもを指します。

この在留資格に該当するのは、以下の条件を満たす場合です。

  • 日本国内で出生していること
  • 少なくとも一方の親が永住者または特別永住者であること
  • 継続して日本に在留していること

上記で述べたことからもわかるように、海外で生まれた子どもは資格の対象になりません。「永住者の配偶者等」という在留資格は、永住者の家族が日本で安定して生活を続けるうえで非常に重要なのです。

これまで、配偶者等の在留資格の取得条件や特徴についてご説明しました。

一点注意が必要なのは、これらの在留資格は日本に在留する権利を与えるものであり、日本の国籍を取得できるわけではないということです。
日本国籍を取得する場合は、別途、帰化申請の手続きを行いましょう。

在留資格の配偶者取得の要件3つ

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」といった在留資格を取得するためには、主に次の3つの要件を満たしている必要があります。

これらの要件は、申請者が日本人の配偶者として安定した生活を送る意思と基盤があるかを確認するために設けられています。

1. 法律上の婚姻があること

在留資格「日本人の配偶者等」を取得するためには、法律上の婚姻関係があることが必須です。その上で、実際に夫婦として生活しているかどうかも重視されます。

具体的には、以下のような点です。

  • 夫婦としての実態があること
  • 同居し、日常的にコミュニケーションをとっていること
    (例:写真・メッセージ履歴など)
  • 経済的にもお互いに協力し合っている実態があること
  • 偽装結婚ではないこと

なお、偽装結婚や実態がない婚約だと判断された場合には、資格を取得することができません。

2. 経済的に安定した生活基盤があること

配偶者の在留資格を取得するには、日本で生活を送るための安定した収入源があることが条件です。

申請時に確認されるポイントは、主に以下の3つがあります。

  • 預貯金の残高や支援者の有無
  • 税金・社会保険の支払い状況
  • 申請者または配偶者の収入・資産・職業

申請人が生活保護を受けている・将来的に生活保護を受ける可能性が高い場合、審査を通過できないケースがあります。
安定した収入基盤が整っていないと判断された場合、審査に悪影響が出る可能性があります。収入証明書・課税証明書・預金通帳の写しなど、生活の安定性を示す資料をあらかじめ準備しておくことが大切です。

3. 素行が良好であること

資格取得の審査では、素行が良好であるかどうかも重要な判断材料です。大きな犯罪歴だけでなく、軽微な違反でも審査に影響する可能性があります。

確認される主な項目は、以下の通りです。

  • 犯罪歴がないこと(交通違反や軽犯罪を含む)
  • 在留中に法令違反がないこと(オーバーステイ、不法就労など)
  • 適切な婚姻手続きが行われていること(書類の偽造や不備がないか)

例えば、過去に犯罪歴や不法滞在歴がある場合、または社会的に不適切であると判断される行為があった場合は、在留資格が認められない可能性があります。これは申請者本人だけでなく、配偶者側の素行についても同様です。
法令や社会規範を守り、日頃から誠実で責任感のある行動を心がけましょう。

在留資格の配偶者資格取得 5つの手順

先述した通り、外国人の配偶者が日本に長期滞在するには、本人の活動内容に適した在留資格を取得する必要があります。

続いては、配偶者の資格を取得する際の具体的な手順をご紹介します。具体的には、5つの手順です。

必要な書類や注意点など、それぞれ解説します。

⒈必要書類の準備

まずは、申請に必要な書類をそろえましょう。配偶者等の在留資格を取得する際に必要な書類は以下の7つです。

配偶者等の資格所得においては、配偶者・家族との関係性や経済状況を証明しなければならないため、必要に応じて追加の書類を提出します。

⒉入国管理局へ申請

必要書類を揃えたら、配偶者の住所地を管轄する日本国内の出入国在留管理局に提出しましょう。
申請の種類は、配偶者が日本国内にいるか・国外にいるかによって異なります。

日本国外から申請した場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行い、許可が下りたら配偶者がビザを取得して入国します。
日本国内での変更の場合は「在留資格変更許可申請」を行い、現在の在留資格からの変更を行いましょう。

また、申請の手続きは、配偶者本人以外にも代理人(行政書士など)を通じて行うことも可能です。内容に不安がある場合は、ぜひ一度、行政書士にご相談ください。

⒊審査期間(審査を待つ)

審査期間には通常、申請後 1〜3か月程度かかります。ただし、申請書類の審査には、内容の確認や結婚の実態調査など、一定の時間を要します混雑状況によっては6か月以上かかることもあります。

また、審査の途中で、次のような対応が求められることがあります。

  • 追加書類の提出
  • 入国管理局からの電話による確認(結婚生活の実態に関する聞き取りなど)

審査が長期化する場合もあるため、早めの対応を心がけましょう。

⒋許可・在留カードの取得

審査が通れば、在留資格が許可され、以下の手続きへと進みます。

【日本国外から申請した場合】
許可が下りると「在留資格認定証明書」が発行されます。証明書を持って日本大使館・領事館でビザを取得し、日本に入国後、空港にて在留カードを受け取ります。

【日本国内で申請した場合】
許可後、「在留資格変更許可通知」が届きます。指定された入国管理局などの窓口で、在留カードを受け取りましょう。

【不許可の場合】
申請が不許可となった場合は、再申請や異議申し立てを検討することも可能です。不許可になった場合は、通知書に記載された内容をしっかりと確認してください。

このように、在留資格に関する手続きは申請方法によって異なるため、自分のケースに合わせた対応が必要です。まずは、流れを事前に把握しておきましょう。

⒌住民登録・各種手続き

在留資格を取得したあとは、日本での生活を始めるために必要な各種手続きを行います。以下が、主な手続きの例です。

  1. 市区町村役場での住民登録
    在留カードとパスポートを持参し、住民票を登録します。入国後14日以内に行う必要があります。
  2. 健康保険・年金の加入
    自営業や無職の場合は国民健康保険と国民年金への加入が必要です。
    会社員の場合は勤務先を通じて社会保険・厚生年金に加入します。
  3. 銀行口座開設
    在留カードとパスポートを持参して銀行口座を開設します。
    日常生活や給与受け取りの際に必要です。
  4. 運転免許証の切り替え
    外国の免許を持っている場合は、日本の運転免許への切り替え手続きを行うことができます。

これらはすべて、日本での活動をスタートするために必要な手続きです。
状況により追加の書類提出が求められることもあるので、各自治体や関連機関の最新情報を確認しながら進めていきましょう。

在留資格認定証明書(配偶者)の審査期間に関する注意点

「日本人の配偶者等」の在留資格を申請した際、結果が出るまでにどれくらい時間がかかるのかは、多くの方が気になるポイントですよね。ここでは、配偶者等のビザ申請における一般的な審査期間や、審査が長引く理由について説明します。
手続きや来日スケジュールを立てる際の参考にしてください。

審査期間は平均で1~3か月かかる

一般的な審査期間の目安は、1〜3か月程度です。ただし、審査期間はあくまで目安であり、申請者の状況や書類の内容、入国管理局の混雑状況によって変動します。

実際に、申請から1か月で結果が出ることもあれば、逆に3か月以上かかるケースもあります。
ちなみに、法務省の公表によると、2024年1月〜3月の平均審査期間(認定申請)は平均72. 9日となっています。

そのため、申請にかかる期間としては、2か月半前後がひとつの目安になるといえるでしょう。申請の際は、スケジュールに余裕を持って進めてください。

審査期間は長期化する可能性がある

一般的な審査期間の目安は、1〜3か月程度であるとお伝えしました。
ただし、この期間はあくまで目安であり、審査期間は個々のケースによって変動する可能性があります。

申請書類の審査には、内容の確認や結婚の実態調査など、一定の時間を要するためです。
最新の審査状況や詳細な情報については、出入国在留管理庁のウェブサイトをご確認ください。

在留資格「配偶者」の取得に必要な書類

日本で夫婦として一緒に暮らすためには、在留資格「日本人の配偶者等」の申請が必要です。そのためには、夫婦の関係や生活の状況を証明するための書類を準備しなければなりません。

手続きに必要な書類は、以下の7種類です。

状況に応じて必要となる書類

基本の7つの書類に加えて、追加書類が必要になる場合があります。

【外国人配偶者に関する書類】
・パスポートのコピー
・在留カード(日本に在留している場合)
・日本語能力を証明する書類(日本語能力試験の合格証明書など)

【日本人配偶者に関する書類】
・在職証明書(勤務先が発行)
・給与証明書・課税証明書
・預金通帳の写し(必要に応じて)

【その他】
・再婚の場合:前婚の離婚証明書や死別証明など
・遠距離恋愛や別居期間が長い場合:頻繁なやりとりを示す記録(チャット、通話など)

不明な点がある場合は、事前に入国管理局や行政書士に相談することをおすすめします。

在留資格の配偶者を取得する手続きに必要な費用

在留資格の申請には、書類の準備だけでなく、手数料や証明書発行費用など、さまざまな費用がかかります。ここでは、申請にかかる主な費用について詳しく解説します。

自分で申請する場合

在留資格の申請には、書類の準備だけでなく、各種証明書の発行や申請手数料などの費用がかかります。
自分で申請を行う場合に必要となる主な費用は、以下の通りです。

証明書発行手数料戸籍謄本・住民票・課税証明書など数百円〜数千円
健康診断費用(求められた場合)入国管理局から提出を求められた場合に必要数千円〜数万円
証明写真代申請書に添付する写真1,000円前後
郵送費書類を郵送する場合の切手代・封筒代など数百円程度
入国管理局への申請手数料在留資格変更・認定証明書交付の際に必要4,000円

自分で行う場合、手続きにかかる実費は比較的抑えられます。しかし、書類の準備や審査対応には専門的な知識を要するケースも多く存在するため、慎重に進めましょう。

行政書士に依頼する場合

申請に不安がある方や手続きを確実に進めたい方は、信頼できる行政書士に相談するのも一つの選択肢です
事務所の方針・サポートの範囲・地域差によっても金額が異なるため、依頼前に必ず見積もりを取ることが大切です。

当事務所でも、状況に応じたサポートとお見積もりのご案内をしております。お気軽にご相談ください。

在留資格の「配偶者等」取得に関する注意点

在留資格の申請では、書類の不備や記入ミス、説明不足などが原因で不許可となるケースがあります。以下のような点に十分注意しましょう。

  • 偽装結婚の禁止
  • 婚姻実体の照明
  • 安定した経済状況
  • 在留資格の更新

偽装結婚の禁止

配偶者等のビザは、誠実な婚姻関係に基づいて発行されるものです。いわゆる偽装結婚(形式だけの結婚)は法律で禁止されており、発覚した場合は処分を受ける可能性があります。

  • 在留資格の取消
  • 強制退去処分
  • 刑事罰(詐欺罪・入管法違反等)

申請の際は、実質的かつ誠実な夫婦関係であることを証明できるようにしておきましょう。

婚姻実態の証明

婚姻届が受理されているだけでは、在留資格は取得できません。
本記事の「在留資格の配偶者取得の要件」でもお伝えしたように、実際に夫婦として生活しているかどうかが、審査に通過するための重要なポイントとなります。

具体的には、以下のような実態が確認されます。

  • 同居しているか
  • 経済的に支え合っているか
  • 日常的な連絡やコミュニケーションがあるか(写真・通話履歴など)

また、交際期間・結婚に至った経緯・今後の生活設計などを説明できるように準備しておくことが望ましいです。

安定した経済状況

在留資格の取得には、日本で安定した生活を送るための十分な収入が必要です。
こちらも「在留資格の配偶者取得の要件」で説明した通り、経済状況を説明する書類の提出が求められます。

収入が不安定な場合や、生活保護を受給している場合は、許可が下りない可能性もあるため、注意が必要です。

在留資格の更新

配偶者等の在留資格には、有効期限があります。期限が近づいた場合には、在留資格の更新申請を期限内に行う必要があります。有効期限は在留カードに記載してあります。自分の在留資格の有効期限はいつまでなのか、しっかりチェックしておきましょう。

まとめ

この記事では、日本人や永住者の配偶者として在留資格を取得する方法や注意点について解説しました。

記事のまとめ
●「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の2種類がある

主な取得要件は、以下の3つ
1.法律上の婚姻関係があること
2.安定した生活基盤があること
3.良好な素行であること

申請は以下の5つの手順で行う
1.書類の準備
2.申請
3.審査
4.許可・在留カードの取得
5.その他の必要手続き

●審査においては、
・偽装結婚の禁止や婚姻の実態証明ができること
・在留期限が過ぎていないこと
などがポイント

配偶者等の在留資格は、外国籍の方が日本で生活するうえで、生活や職業選択の幅を広げてくれる重要な資格です。家族として日本で安定した暮らしを築いていくためにも、制度への正しい理解と準備が欠かせません。

本記事が、在留資格取得に向けた第一歩を踏み出すための参考になれば幸いです。

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