
技人国ビザでは、2026年4月以降、一部の申請でN2(CEFR B2)相当の日本語力を示す資料が求められるようになりました。「N2がない外国人材は採用できないのか」「自社も新しい要件の対象になるのか」と不安に感じる企業担当者の方も多いでしょう。
実は、すべての申請でN2が必須になるわけではありません。
この記事では、技人国ビザでN2が必要になるケースや不要・免除されるケース、N2がない場合の対応策、企業が申請前に確認すべきポイントについて解説します。
技人国ビザに日本語N2は必要?
技人国ビザでは、2026年4月以降、一部の申請でN2相当の日本語力を示す資料が求められるようになりました。
| 勤務先・業務内容 | N2相当の証明 |
|---|---|
| カテゴリー3・4の企業で、日本語を使う対人業務に就く | 必要になる可能性が高い |
| カテゴリー3・4でも、社内の専門業務が中心 | 不要になる可能性がある |
| カテゴリー1・2の企業で働く | 対象外になる可能性がある |
| 日本の大学・専門学校を卒業している | 免除・省略できる可能性がある |
技人国ビザで対人業務に従事する場合はN2相当の日本語能力が必要
技人国ビザでN2相当の証明が必要になるのは、主に日本語を使う対人業務に就く場合です。対人業務とは、お客さまや取引先と直接やりとりする仕事を指します。
日本語で説明したり、相手の要望を聞き取ったりする場面が多い職種では、業務に必要な日本語力が求められます。
日本語N2は必須ではない
一方で、技人国ビザを申請する全員にN2が必要なわけではありません。社内での専門業務が中心の職種であれば、N2相当の証明が不要になる可能性があります。
ただし、職種名だけで判断されるわけではありません。重要なのは、実際の業務内容です。
たとえば、システムエンジニアでも、顧客との打ち合わせや日本語での説明が多い場合は、対人業務と見られる可能性があります。
2026年4月15日以降の申請条件

2026年4月15日以降の要件変更に伴い、以下の2点を満たす場合は、N2(CEFR B2)の日本語能力の証明が必要となりました。
- カテゴリー3・4の企業で働くこと
- 日本語を使う対人業務に就くこと
詳しくは、出入国在留管理庁の公式サイト在留資格『技術・人文知識・国際業務』のページをご覧ください。
カテゴリー3・4の企業で働く場合
まず確認すべきなのは、勤務先の企業カテゴリーです。企業カテゴリーとは、会社の規模や実績などをもとに分けられる区分を指します。
カテゴリー1:上場企業、国・地方公共団体など
カテゴリー2:源泉徴収税額が一定以上ある企業
カテゴリー3:一定の実績資料を提出できる中小企業など
カテゴリー4:新設法人など、実績資料が少ない企業
このうち、N2要件で特に注意が必要なのはカテゴリー3・4です。中小企業やスタートアップ、新設会社は、必ず申請前に自社のカテゴリーを再確認するようにしましょう。
日本語を使う対人業務に就く場合
次に確認すべきなのは、担当する仕事内容です。日本語を使ってお客様や取引先とやりとりする仕事では、N2以上の日本語能力を示す資料が求められる可能性が高くなります。
具体的には、次のような業務です。
- 営業
- 販売
- 接客
- 通訳
- カスタマーサポート
- ホテルフロント
- 広報・マーケティング
これらの仕事は、相手の話を正確に理解し、日本語で説明する力が求められます。そのため、カテゴリー3・4の企業で上記のような業務に就く場合は、準備が必要です。
新規申請・在留資格変更・転職時は注意が必要
海外から外国人材を呼び寄せる・技人国ビザへ変更する等の新規申請の場合はもちろん、すでに技人国ビザで働いている人でも、転職時や業務内容が変更される時は申請が必要です。
ただし、現在の会社で働き続ける場合や、通常の更新だけであれば、すぐに全員がN2を求められるわけではありません。不明な点がある方は、専門家と相談したうえで適切に対処してください。
技人国ビザでN2が不要・免除されるケース

ここまで解説した条件に当てはまらない場合は、N2相当の証明が不要になる可能性があります。主なケースは、次の3つです。
- カテゴリー1・2の企業で働く場合
- 対人業務に当たらない仕事をする場合
- 日本の大学・専門学校などを卒業している場合
【証明が不要となるケース①】カテゴリー1・2の企業で働く
勤務先がカテゴリー1・2の企業に当たる場合は、N2要件の対象外になる可能性があります。
カテゴリー1には、上場企業や国・地方公共団体などが含まれます。
カテゴリー2は、源泉徴収税額が一定以上ある企業です。
これらの企業は、会社の規模や受け入れ体制がある程度整っていると見られます。そのため、カテゴリー3・4の企業と比べると、N2相当の証明を求められにくいです。ただし、申請内容によって判断が変わる可能性も十分にあります。勤務先のカテゴリーは、事前に確認しておきましょう。
【証明が不要となるケース②】対人業務に当たらない仕事
担当する仕事が対人業務に当たらない場合も、N2相当の証明が不要になる可能性があります。たとえば、以下のような職種です。
- プログラマー
- システムエンジニア
- データ分析
- 設計
- 研究職
これらは、社内での専門業務が中心になりやすい職種です。ただし、実際には顧客対応が多い場合や、日本語での説明・調整が多い場合は、対人業務とみなされることがあります。申請前には、実際の仕事内容を整理しておくことが大切です。
【証明が不要となるケース③】日本の大学・専門学校などを卒業している
日本の大学や専門学校を卒業している場合も、N2相当の証明が不要になる可能性があります。対象になりやすいのは、以下のようなケースです。
- 日本の大学を卒業している
- 日本の大学院を修了している
- 日本の専門学校で専門士を取得している
日本の学校で学んでいる場合、一定の日本語力があると判断され、別途N2の合格証明を提出しなくてもよい可能性があります。一方で、日本語学校のみの修了は注意が必要です。大学や専門学校の卒業と同じ扱いになるとは限りません。
N2がない場合でも、まずは学歴や卒業証明書で代わりに説明できるか確認しましょう。
N2がない場合の対応策
N2を持っていない場合でも、すぐに申請を諦める必要はありません。
まずは、N2要件の対象に当たるのかを整理しましょう。そのうえで証明が必要な場合は、以下の方法を試してみてください。
JLPT N2以外でも証明できる場合がある
N2相当の日本語力は、JLPTだけで判断されるわけではありません。ほかの日本語試験でも、一定のレベルを満たしていれば、証明資料として使える可能性があります。
たとえば、BJTビジネス日本語能力テストです。400点以上は、N2相当の日本語能力があるとされる場合があります。
その他、代表的な試験は次のとおりです。
- BJTビジネス日本語能力テスト
- J.TEST実用日本語検定
- NAT-TEST
ちなみに、JLPTは年に数回しか受験できません。申請時期によっては間に合わないことがあるため、その場合は、ほかの試験で代わりに証明できないか確認してください。
どの試験結果が認められるかは、申請内容によって変わります。準備を進める前に、どの証明方法が有効か確認しておきましょう。 具体的な基準については、日本語参照枠・CEFRとJ.TESTをご覧ください。
職務内容や配属先を見直す
N2の取得が間に合わない場合は、職務内容や配属先を見直す方法もあります。たとえば、外部対応が多い業務ではなく、社内の専門業務を中心にする形です。
ただし、実際の仕事内容と申請内容が違ってはいけません。書類上だけ対人業務ではないように見せるのは避けましょう。
企業が申請前に確認すべき3つのポイント

外国人材を採用したいと思っていても、技人国ビザの申請で何を確認すればよいのか、不安に感じる企業担当者の方も多いでしょう。特に、N2要件が関係する場合は、本人の日本語力だけでなく、会社の状況や仕事内容も確認する必要があります。
申請前に確認したいポイントは、主に以下の3つです。
- 自社の企業カテゴリー
- 採用予定者の日本語力・学歴
- 実際に任せる仕事内容
1.自社の企業カテゴリーを確認する
まずは、自社がどの企業カテゴリーに当たるかを確認しましょう。
特に、カテゴリー3・4の企業は注意が必要です。日本語を使う対人業務で外国人材を採用する場合、N2相当の証明を求められる可能性があります。
自社のカテゴリーを確認する際は、以下の情報を見ます。
- 会社が上場企業に当たるか
- 源泉徴収税額が一定以上あるか
- 法定調書合計表を提出できるか
- 新設法人など、実績資料が少ない会社か
中小企業やスタートアップの場合は、カテゴリー3・4に当たる可能性が高いです。判断が難しい場合は、顧問税理士や専門家に確認しておくと安心です。
2.採用予定者の日本語力・学歴を確認する
次に、採用予定者の日本語力と学歴を確認します。
N2を持っているかだけでなく、ほかの日本語試験で証明できるかも見ておきましょう。
確認したい項目は、以下のとおりです。
- JLPT N2以上を持っているか
- BJTやJ.TESTなどの結果があるか
- 日本の大学を卒業しているか
- 日本の大学院を修了しているか
- 日本の専門学校で専門士を取得しているか
日本の大学や専門学校を卒業している場合は、N2相当の証明が不要になる可能性があります。そのため、卒業証明書などの書類も早めに確認しておきましょう。
3.任せる仕事内容が対人業務に当たるか確認する
最後に、採用後に任せる仕事内容を整理します。
重要なのは、職種名ではなく実際の業務内容です。社内業務が多いとされる業種で採用する場合でも、実際、顧客との打ち合わせや日本語での説明が多い場合は、N2以上の資格が必要です。
反対に、社内の専門業務が中心であればN2要件の対象外になります。
申請前には、以下の点を確認しましょう。
- 顧客や取引先と直接やりとりするか
- 日本語で説明・提案・調整を行うか
- 業務の中心が対人対応になっていないか
- 申請書類の内容と実際の業務が一致しているか
書類上の業務内容と、実際に任せる仕事に矛盾が発生すると、申請時や更新時に問題になってしまいます。採用前の段階で、必ず業務内容を明確にしましょう。
判断に迷う場合は行政書士へ相談を
技人国ビザのN2要件は、N2の有無だけで判断できるものではありません。
勤務先の企業カテゴリー、実際の業務内容、本人の学歴や日本語力などを総合的に確認する必要があります。
自己判断で進めると、追加資料を求められたり、申請がスムーズに進まなかったりする可能性があります。
不安がある場合は、早めに行政書士へ相談し、自社や採用予定者の状況に合った準備を進めましょう。
まとめ

今回は、技人国ビザでN2が必要になるケースや、N2がない場合の対応策についてご紹介しました。
- 技人国ビザでは、2026年4月以降、一部の申請でN2相当の日本語力を示す資料が必要
- ただし、すべての人にN2が必要なわけではない
- 主に確認すべき条件は以下の2つ
・カテゴリー3・4の企業で働く場合
・日本語を使う対人業務に就く場合 - 日本の大学・専門学校を卒業している場合や、対人業務に当たらない場合は不要になる可能性がある
- N2がない場合でも、BJTやJ.TESTなどで証明できる場合がある
- 企業側は、企業カテゴリー・採用予定者の日本語力や学歴・実際の仕事内容を事前に確認することが大切
技人国ビザのN2要件は、N2を持っているかどうかだけで判断するものではありません。会社の状況や任せる業務内容、採用予定者の学歴などによって、必要な対応は変わります。
外国人材を採用する際は、制度の内容を正しく理解し、申請前に必要な準備を進めましょう。本記事が、技人国ビザとN2要件への理解を深める一助になりましたら幸いです。
※本記事は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁を参考に作成しています。