
外国籍の方が日本で生活を始めるためには、在留資格の取得が不可欠です。
しかし、「必要な書類は何か?」「まず何から始めればいいのか?」
在留資格の申請を前に、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実際に、在留資格の申請は書類の準備や手続きが複雑です。
専門的な知識が必要な場合もあるため、戸惑う方も多いでしょう。
ですが、事前にしっかりと準備を整えれば、問題なく申請手続きを進めることができます。
本記事では、在留資格を取得したい方や外国人労働者の雇用を検討している企業様に向けて、申請の流れや注意点、必要書類について解説します。
在留資格の申請にあたって、少しでも不安や迷いを解消するきっかけとなれば幸いです。
在留資格とは
在留資格とは、外国人が日本に滞在・活動を行うために必要な法的資格のことです。
在留資格にはさまざまな種類があり、それぞれに求められる条件や提出書類も異なります。
日本に入国・滞在する外国籍の方は、活動内容や目的に合わせて在留資格を取得しましょう。
在留資格を申請する方法
在留資格の申請方法には、「窓口申請」と「在留申請オンラインシステム(オンライン申請)」の2種類があります。
ただし、オンラインで申請を行う場合は「在留申請オンラインシステム」の事前登録が必要で、日本国内からのアクセスに限定されます。
また、利用できる申請種別も限られており、手続きができる方は以下の7つのいずれかに該当する方のみです。
- 所属機関の職員の方
- 弁護士又は行政書士の方
- 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員の方
- 登録支援機関の職員の方
- 外国人本人
- 法定代理人
- 親族
詳細は、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。
在留資格の申請の流れ

在留資格は、初めて取得する場合もあれば、すでに持っている資格を継続・変更する場合もありますよね。
実は、在留資格の申請手続きには目的に応じたいくつかの種類があり、それぞれ必要な書類や手順が異なります。
大きく分けて、次の4種類です。
- 新規(本人)
- 変更(本人)
- 更新(本人)
- 企業が代理で行う申請
それぞれ詳しく説明していきます。
1.新規申請(初めて申請をする人)
新規申請とは、日本国外にいる外国人の方が、初めて在留資格を取得する際に行うものです。
【対象者】
・日本の会社に採用された人
・日本人と結婚する人
・留学のために来日する外国人
流れは以下の通りです。
STEP1.必要書類の確認・準備 |
申請する在留資格ごとに必要書類を確認し、準備する |
申請内容に応じた必要書類を確認し、準備を行います。
申請者本人だけでなく、受け入れ機関(企業・学校)や配偶者などからの協力も必要です。
STEP2.申請 |
「在留資格認定証明書交付申請」を提出し申請する |
申請は、原則として、地方出入国在留管理局の窓口にて申請書類を提出する必要があります。
ただし、代理人(申請取次者)であれば、本人に代わって窓口で提出することが可能です。
また、一部の申請については、条件を満たす代理人によるオンライン申請も認められています。
申請書は、法務省のサイトからダウンロード可能です。
STEP3.審査 |
出入国在留管理庁での審査を待つ |
提出された申請書類は、出入国在留管理庁で審査が行われます。
期間の目安は、通常1〜3か月程度です。
審査においては、申請内容が正確かどうかや書類に不備がないか、受け入れ機関との関係などが確認されます。
ただし、追加書類の提出を求められたり、状況によって期間が前後したりする場合もあるため、早めの対応を心掛けましょう。
STEP4.交付 |
「在留資格認定証明書」を受け取る |
審査に通過すると、在留資格認定証明書が交付されます。
これは、外国人本人が日本のビザを取得するために必要な重要書類です。
申請した代理人や受け入れ機関が、証明書の受け取りを行ってください。
交付後は、在留資格認定証明書を海外にいる申請者本人に郵送し、現地の日本大使館または領事館にてビザ申請を行います。
STEP5.日本へ入国 |
ビザを取得し、日本へ入国する |
空港の入国審査にて、在留資格認定証明書を提示します。
審査が完了すると、成田・羽田・関空などの主要空港の場合は、その場で在留カードが交付されます。
在留カードは、日本での生活に必要な、在日外国人の方にとっての身分証明書です。
ただし、地方空港では空港でのカード交付が行われない場合もあります。
その場合は後日、市区町村役場にて受け取りを行ってください。
2.変更申請
変更申請とは、すでに日本に在留している外国人の方が、現在の在留資格を別の資格に切り替えるときに行う手続きです。
【対象者の例】
・留学で来日していたが、日本で就職したため「技術・人文知識・国際業務」へ変更
・就労資格を取得後、日本人と結婚して「日本人配偶者等」へ変更
流れは以下の通りになります。
STEP1.必要書類の確認・準備 |
申請する在留資格ごとに必要書類を確認する |
変更する在留資格ごとに、必要な書類が異なります。
現在の資格と、これから変更したい資格の内容に合わせて、書類をしっかり確認しながら準備を進めてください。
STEP2.申請 |
「在留資格変更許可申請」を申請する |
必要書類が揃ったら、管轄の地方出入国在留管理局にて、本人が在留資格変更許申請を行います。
申請書は、法務省の公式サイトからダウンロード可能です。
STEP3.審査 |
地方出入国在留管理局で申請書の審査が行われる |
提出された申請書は、申請内容が妥当か、書類に不備がないかなどがチェックされます。
審査は通常1〜2か月ほどですが、場合によっては、追加書類の提出が求められる場合もあります。
STEP5.交付 |
新しい在留資格が記載された在留カードを受け取る |
審査に通過したのち、指定された期日までに本人が窓口に出向き、以下の書類を持参してカードの受け取りを行いましょう。
【受け取り時に必要な書類】
・パスポート
・古い在留カード
・通知はがき
・収入印紙(4,000円)
受け取る際に古い在留カードは返却し、新しいものと交換します。
また、不許可となった場合でも、再申請が可能です。
理由が不明な場合は、地方出入国管理局にて説明を受けることができます。冷静に対応しましょう。
3.更新申請
更新申請とは、現在すでに在留資格を持っている外国人の方が、そのままの資格で日本に引き続き滞在するために行う手続きです。
申請は以下の手順で行います。
STEP1.必要書類の確認・準備 |
更新申請のために必要書類を確認する |
更新申請は、現在の在留資格の有効期限が切れる3か月前から可能です。
審査には2週間〜1か月ほどかかるため、余裕を持って早めに準備を始めることが大切です。
STEP2.申請 |
「在留期間更新許可申請書」を申請する。 |
必要書類が揃ったら、在留期間更新許可申請書を提出します。
本人が直接、管轄の地方出入国在留管理局にて申請手続きを行ってください。
申請書は法務省のサイトからダウンロードできます。
STEP4.審査 |
地方出入国在留管理局で申請の審査を行う |
審査においては、在留資格に合った活動が続いているかどうか、必要な条件が満たされているかなどがチェックされます。
追加書類の提出が求められる場合もありますが、通常の場合、2週間〜1か月ほどで結果が出ます。
STEP5.交付 |
在留カードを受け取る |
許可されると、新しい期間が記載された在留カードが発行され、古いカードは新しいものと交換します。
不許可となった場合でも再申請は可能です。
理由が不明な場合は、管理局で直接確認しましょう。
注意点|更新申請は期限内に
更新せずに在留期限を過ぎてしまうと、不法滞在となり、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
ただし、期限前に更新申請を行っていれば「特例措置」により、在留期限を過ぎても最大2か月間の滞在が認められます。
この場合、在留カードの裏面に「更新手続き中」のスタンプが押され、引き続き合法的に滞在することが可能です。更新申請は、在留期限の3か月前から受付可能ですので、早めの準備を心がけましょう。
企業が代理で申請する場合

日本の企業が外国人労働者を雇用する場合、在留資格の取得に関する手続きを企業側が代理で行う必要がある場合があります。

特に、日本国外にいる外国籍の方を雇う際は、企業が「在留資格認定証明書交付申請」を行うのが一般的です。
その場合の手続きの流れは、以下の通りです。
STEP1.必要書類の確認・準備 |
申請する在留資格ごとに必要書類を確認する。 |
まずは、採用予定の外国人の職務内容に合った在留資格を選定し、その資格に必要な書類を確認・準備します。
書類には、職務内容や雇用条件、会社概要等の記載が必要です。
職務内容が在留資格に適しているかが審査において重視されるため、内容に誤りや矛盾がないように注意しましょう。
STEP2.企業が申請 |
「在留資格認定証明書交付申請」を申請する。 |
書類を揃えたら、企業が代理で在留資格認定証明書交付申請を行います。
オンラインまたは、地方出入国在留管理局の窓口にて行うことができます。
申請書は法務省のサイトからダウンロード可能です。
STEP3.審査 |
地方出入国在留管理局で申請の審査を行う |
提出された申請書は、在留資格と活動内容が合っているかなどを審査します。
追加書類の提出が求められる場合もありますが、通常、審査期間は1〜3か月ほどです。
STEP4.交付 |
「在留資格認定証明書」が交付される |
申請が許可されると「在留資格認定証明書」が発行され、申請者に郵送されます。
在留資格認定証明書は、海外にいる外国人が就労ビザを取得するために必要な書類です。
速やかに本人に送付しましょう。
STEP5.外国人がビザを申請 |
外国人本人が「ビザ」を申請する |
在留資格認定証明書を受け取った外国人本人は、自国の日本大使館や領事館でビザの申請を行います。
STEP6.日本に入国し、在留カード交付 |
日本に入国したら、在留カードの発行を行う |
外国人本人がビザを取得し、成田・羽田・関西・中部などの指定空港から入国した場合は、入国審査で在留カードが交付されます。
一方、地方空港ではその場でカード発行されない場合があります。
その場合は、入国後に居住地役所で住民登録をしたあと、住民票の住所宛に郵送されます。
在留カードは身分証明書としての役割もあるため、日本滞在中は常に携帯しておくことが義務付けられています。
また、空港で受け取った場合も、14日以内に居住地の役所で住民登録が必要です。
STEP7.雇用開始 |
企業と正式に雇用契約を結び、勤務開始 |
企業は、入社から翌月10日までに、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」をする必要があります。
あわせて健康保険、厚生年金、雇用保険など、対象となる社会保険への加入手続きも行いましょう。
在留資格の申請に必要な書類

続いて、手続きの際に必要な書類を見ていきましょう。
在留資格を申請する際には、在留資格の種類や申請者の状況に応じた書類を準備する必要があります。
ここでは、多くの在留資格で共通して求められる基本的な書類をご紹介します。
本人が申請を行う場合
【在留資格申請に必要となる主な書類 4つ】
必要書類 | 内容 |
申請書 | 在留に必要な情報を記載する書類 |
パスポート | 有効なパスポート(写し) |
写真 | 縦4cm×横3cm、背景なし、申請前3か月以内に撮影 |
在留カード | すでに在留している場合 |
在留資格の種類によっては、追加で必要な書類が指定されることがあります。
自分の状況に合った申請要件を事前にしっかり確認しましょう。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html
外国人労働者を雇用する場合(企業向け)
日本の企業が外国人を雇用するには、適切な在留資格の取得が必要です。
企業が新たに外国人労働者を雇用する際には、在留資格の申請に必要な書類の準備と確認を行いましょう。
企業が外国人労働者を雇用する際に必要な書類は、主に以下の通りです。
【企業側が準備する主な書類 7つ】
必要書類 | 内容 |
登記薄謄本 | 会社の登記情報を証明する書類 |
決算書 | 会社の経営状況・財務内容を確認するための資料 |
雇用契約書 | 外国人と企業の雇用条件を証明する書類 |
給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表 | 給与支払いの実績や、従業員数などをを確認するための資料 |
会社案内 | 会社の事業内容や規模を示す資料 |
雇用理由書 | 採用理由や業務内容との適合性を説明する文書 |
労働保険・社会保険の加入証明書 | 法令に基づく適切な雇用管理がされていることを示す書類 |
企業側には、雇用予定の外国人が、在留資格の要件を満たしているかどうかを確認する法的責任があります。
誤った在留資格での雇用は不法就労助長罪に問われる可能性もあるため、必ず正確な確認と申請を行いましょう。
在留資格を取得する際の注意点

在留資格を取得するためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。
申請をスムーズに進めるために、必要な条件をしっかり確認しておきましょう。
以下の5つが、主な必要条件です。

1.活動内容と在留資格が合致していること
申請者が日本で行おうとしている活動内容が、申請する在留資格の範囲に合致しているか確認しましょう。
例えば、通訳やシステムエンジニアなど、専門性のある職種に就く場合は「技術・人文知識・国際業務」の資格を取得する必要があります。
資格と実際の活動内容が一致していないと、不許可となる可能性があるため、注意が必要です。
2.経済的に自立していること
日本での生活に必要な資金を、自力または支援によって確保できていることが求められます。
就労の場合は、企業と雇用契約に基づいた安定した収入があること。
留学の場合は、学費や生活費を支払えるだけの経済支援があることが、資格取得の条件です。
収入が不安定だと判断されて場合、不許可になるケースもあります。
3.公的ルールを守っていること
過去に不法滞在歴や犯罪歴がないことも、資格取得の重要な条件です。
日本滞在中も法令を守り、交通違反や税金未納がないようにしてください。
4.必要書類がそろっていること
申請の際は、資格ごとに定められた必要書類を正確に提出できるようにしましょう。
記入漏れや不備があると、審査に時間がかかる、あるいは不許可の原因になることもあります。
5.在留資格の適切な管理
取得後も、在留資格の有効期限を守り、更新期間や資格変更に必要な際には速やかに手続きを行いましょう。
また、就労資格を持っている場合、許可されていない職種に就くと不法就労とみなされてしまい、罰則の対象となります。
これらの条件を満たしていれば、在留資格の申請はよりスムーズに進めることができます。
しかし、不備があった場合は審査が長引くだけでなく、不許可になるリスクもあります。
申請時は事前に入念な準備を行い、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。
外国人労働者を雇用する場合(企業向け)
外国人労働者を企業が採用する場合、条件は以下の通りです。

企業は雇用主として、外国人の適正な雇用と在留資格の管理をしっかりしなくてはいけません。
特に、以下の6つのポイントに注意しましょう。
1.適切な在留資格を持つ人を雇用すること
まずは、採用予定の外国人が就労可能な在留資格を持っているかを必ず確認しましょう。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」などの就労系資格であれば雇用することができますが、「留学」や「家族滞在」などの資格を取得している場合は、原則として就労できません。
ただし例外として、資格外活動の許可を取得していれば、非就労資格であっても働くことができます。
採用前に在留カードを確認し、資格の種類・期限・就労制限の有無をしっかりチェックしましょう。
2.資格に合った仕事内容を提供すること
外国人が担当する業務は、在留資格で許可された範囲内である必要があります。
在留資格の範囲を超える業務を行わせた場合は、不法就労助長罪に問われる可能性があります。
3.労働条件を明確に伝えること
労働契約を結ぶ際は、勤務時間・給与・休日などの条件を明記した書面を交付することが義務付けられています。
これはすべての労働者に共通のルールです。
ただし、外国人の場合、言語の違いや文化的背景から誤解が生じやすいです。
よりわかりやすく、丁寧に説明するよう心掛けましょう。
4.外国人雇用状況の届出を行うこと
外国人を新たに雇用した場合や離職した場合には、ハローワークへの届出が義務付けられています。
入社日・退社日の翌月10日までに、外国人雇用状況の届出を行ってください。
5.社会保険・雇用保険への加入を行うこと
外国人であっても、一定の労働時間や契約内容を満たしていれば、健康保険・厚生年金・雇用保険への加入義務があります。
加入を怠ると、企業側が法令違反として行政指導や罰則の対象になる可能性があります。
6.事業の安定性・継続性を示すこと
企業が「在留資格認定証明書交付申請」を行う際は、事業が安定・継続していることを証明する資料の提出が求められる場合があります。
具体的には、以下のような書類が必要となる場合があります。
- 登記簿謄本
- 決算書
- 雇用契約書
- 給与支払い実績(法定調書合計表)など
このように、企業が外国人を雇用する際は、在留資格の確認と雇用管理の両面から法令を遵守することが不可欠です。
適切な準備と対応を行い、双方にとって安心できる雇用関係を築きましょう。
まとめ

この記事では、在留資格の申請方法に必要な書類、注意点について解説しました。
- 申請方法には「窓口申請」と「在留申請オンラインシステム(オンライン申請)」の2種類があり、オンライン申請は特定の条件を満たす場合のみ利用可能
- 申請の種類は主に以下の4つ
・新規申請:日本国外から初めて資格を取得する場合
・変更申請:すでに日本に在留資格を変更する場合
・更新申請:現在の資格を継続して滞在する場合
・企業申請:企業が外国人労働者のために代理人で行う申請 - 申請に必要な条件は以下の通り
・日本で行う活動が正しい資格と一致していること
・経済的に自立できる生活基盤があること
・公的ルールを守り、過去に不法滞在や犯罪歴がないこと
・必要な書類が揃っていること
・取得後も正しく資格を管理すること - 企業が外国人を雇用する場合の条件
・適切な在留資格を持つ人材を雇用すること
・在留資格に合った仕事内容を用意すること
・労働条件を明確にすること
・外国人雇用状況の発信を行うこと
・社会保険・雇用保険への適正な加入を行うこと
・事業の安定性・継続性を証明すること
在留資格の申請は、目的に応じた適切な準備と手続きが重要です。
活動目的を明確にし、生活基盤の安定を証明することで、スムーズな申請が可能となります。
正しい手続きを行い、日本での生活や活動を安心してスタートさせましょう。
本記事が、在留資格取得に向けた準備の参考になれば幸いです。