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中国人が日本でビザを取得する手順と注意点とは?種類・必要書類も解説

中国人の方が日本に入国する際は、目的に合ったビザの取得が必須です。
しかし、「自分に合ったビザはどれ?」「必要な書類や手続きの方法は?」とお困りの方も多いでしょう。本記事では、

  • 中国人の方が日本で取得できるビザの種類
  • ビザを申請するための条件と必要書類
  • 日本のビザを申請する手順と注意点

について分かりやすく解説します。

なお、ビザは一般的に在留資格のことを指す場合が多いため、本記事では在留資格のことをビザ、それとは別に、入国に必要なビザは査証(ビザ)と表記します。トラブルや不安を事前に回避し、スムーズに在留資格を取得したいとお考えの中国人の方は、ぜひ最後までご覧ください。

中国人が日本で取得できるビザの種類一覧

中国人の方が日本で取得できるビザ(在留資格)の種類は、他の国の方と同じで合計29種類です。

以下4つの区分に分けて一覧表にまとめました。

  • 就労可能な在留資格
  • 就労不可の在留資格
  • 就労の可否は個人による在留資格
  • 身分または地位による在留資格

【中国人の方が日本で取得可能なビザの種類(在留資格)|計29種類】

1. 就労可能な在留資格(19種類)

在留資格該当例
外交海外政府の大使,公使,総領事,代表団構成員及びその家族
公用外国政府の大使館・領事館の職員及びその家族等
教授大学教授等
芸術作曲家,画家,著述家等
宗教外国の宗教団体から派遣される宣教師等
報道外国の報道機関の記者,カメラマン
高度専門職ポイント制による高度人材
経営・管理企業等の経営者・管理者
法律・会計業務弁護士,公認会計士等
医療医師,歯科医師,看護師
研究政府関係機関や私企業等の研究者
教育中学校・高等学校等の語学教師等
技術・人文知識・国際業務機械工学等の技術者、通訳、デザイアー等
企業内転勤外国の事業所からの転勤者
介護介護福祉
興行俳優、歌手、ダンサー等
技能外国料理の調理師、スポーツ指導者等
特定技能特定産業分野に属する相当程度の知識または経験が必要な技能を要する業務に従事する外国人等
技能実習技能実習生

2. 就労不可の在留資格(5種類)

在留資格該当例
文化活動日本文化の研究者等
短期滞在観光客,会議参加者等
留学大学,短期大学,高等専門学校等の学生・生徒
研修研修生
家族滞在在留外国人が扶養する配偶者・子

3. 就労の可否は個人による在留資格(1種類)

在留資格該当例
特定活動外交官等の家事使用人,ワーキングホリデー等

4. 身分または地位による在留資格(4種類)

在留資格該当例
永住者法務大臣から永住の許可を受けた者
日本人の配偶者等日本人の配偶者・子等
永住者の配偶者等永住者の配偶者及び日本で出生し在留中の子
定住者第三国定住難民,日系三世等

参考:出入国在留管理庁|在留資格一覧表

中国人が日本でビザを申請する条件と必要書類

中国人が日本でビザを申請するための条件と必要書類について解説します。

主な条件

在留資格の申請に共通する主な条件は、以下の2つです。

  1. 目的に応じた在留資格を申請すること
  2. 上陸拒否事由に該当しないこと

以下に詳しく見ていきましょう。

1.目的に応じた在留資格を申請すること

ビザを申請する際は、日本に滞在する目的に応じた在留資格を申請することが求められます。例えば、同じ語学教師で就労する場合を見てみましょう。

民間のスクールで働く場合は在留資格「技術・人文知識・国際業務」、中学・高等学校ならば「教育」の在留資格を申請する必要があります。必ず、申請人の活動目的に応じた在留資格の種類を確かめたうえで申請しましょう。

どの在留資格が適切なのか確認したい場合は、出入国在留管理庁のホームページより「在留資格一覧表」をご覧ください。

2.上陸拒否事由に該当しないこと

在留資格を申請する際の2つ目の条件は、入管法で定められた上陸拒否事由に該当しないことです。具体的には、以下に該当する場合は日本への入国が認められません。

  【上陸拒否事由】
 ・保健衛生上、上陸を認めるのが好ましくない者
 ・反社会性が強いと認められる者
 ・退去強制を受けたことがある者
 ・我が国の利益または考案を害するおそれがある者   
 ・相互主義に基づき上陸を認めない者    etc…

参考:出入国在留管理庁「入国・帰国手続き〈上陸拒否事由(入管法第5条)〉

ビザ申請に必要な書類

在留資格の申請に必要な書類は、在留資格ごとに大きく異なります。本章では、在留資格「短期滞在」と「就労・中長期滞在」とに分けて解説します。

短期滞在の必要書類

短期滞在の必要書類は、申請人が中国で用意するものと、身元保証人(※1)及び招へい人(※2)が日本で用意するものとがあります。提出する書類はそれぞれの目的に応じて細かく定められていますが、共通の書類は以下の通りです。

※1身元保証人:金銭面、マナー面で責任を取れる人
※2招へい人:日本へ呼びたい人

【中国側で用意する共通書類(申請人)】

  • 査証(ビザ)申請書
  • 写真(6ヶ月以内に撮影したもの)
  • パスポート
  • 戸口簿写し

【日本で用意する共通書類(身元保証人及び招へい人)】

  • 身元保証書または招へい理由書
  • 住民票
  • 在職証明書
  • 在留カードの写し(身元保証人及び招へい人が外国籍の方場合)

短期滞在の目的には、観光、商用、親族・知人訪問等があり、期間は90日以内です。例えば、短期滞在ビザで商用を目的として訪日する場合は、上記の他に以下の書類を提出する必要があります。

例)目的:短期滞在|商用
申請人/中国側:居住証、在職証明書等招へい機関等/日本側:滞在予定表、法人登記簿等

目的別の必要書類について、詳しくは外務省のホームページより「中国籍の方が短期滞在を目的として日本へ渡航する場合」をご覧ください。

就労・中長期滞在の必要書類

就労・中長期滞在(※3)を目的とした在留資格を申請する際は「在留資格認定証明書」が必要です。在留資格を申請する際の共通書類は以下の通りです。

※3 中長期滞在:90日を超えた滞在

【在留資格申請のための共通書類(就労・中長期滞在)】

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真 1葉(6ヶ月以内に撮影されたもの)
  • 返信用封筒(宛先明記、簡易書留用の額の切手)

就労・中長期滞在の目的は、日本企業の業務に従事、留学、家族を日本に呼び寄せるなど様々です。「在留資格認定証明書」の交付申請には、在留資格に応じた資料の提出を求められます。

例えば、家族を日本に呼び寄せる場合は、「家族滞在」の在留資格を申請する必要があり、「在留資格認定証明書」の交付を申請するには前述した共通書類の他に以下の書類が必要です。

例)目的:家族を呼び寄せる|在留資格(家族滞在)
・申請人と扶養者の関係を証する文書(戸籍謄本等)
・扶養者の在留カードまたは旅券の写し扶養者の職業及び収入を証する文書
(在職証明書、納税証明書等)

ちなみに、短期滞在の場合「在留資格認定証明書」は必要ありません。

在留資格に応じた必要書類について、詳しくは、出入国在留管理庁のホームページより「在留資格認定証明書交付申請書」をご確認ください。

中国人が日本でビザを申請する手順

中国人の方が日本でビザを申請する手順は、以下の4ステップです。

 【中国人の方が日本でビザを申請する手順】
 1.(日本側)身元保証人又は招へい人が必要書類を揃える
 2.(日本側)身元保証人又は招へい人が申請人に書類を送る  
 3.(中国で)申請人が必要書類を揃える
 4.(中国で)申請人が日本大使館等で申請する

1.(日本側)身元保証人又は招へい人が必要書類を揃える

まず、日本にいる身元保証人または招へい人が、必要書類を揃えます。必要書類は在留資格ごとに異なっており、申請人の目的に合った書類を揃えることが必要です。

「短期滞在」の必要書類は、外務省のホームページより「中国籍の方が短期滞在を目的として日本へ渡航する場合」をご確認ください。また、就労・中長期滞在を目的とした在留資格の必要書類は、出入国在留管理庁のホームページより「在留資格から探す」をご確認ください。

2.(日本側)申請人に書類を送る

書類が揃ったら、日本から申請人(中国籍の方)の住所へ送付しましょう。

3.(中国で)申請人が必要書類を揃える

申請人の方は、査証(ビザ)申請書、写真、パスポート、戸口簿写しのほか、在留資格に応じた書類を揃えます。

申請人が中国で揃える必要書類は、「短期滞在」の場合、前述した外務省のホームページより、目的別にご確認いただけます。就労・中長期滞在の必要書類は、出入国在留管理庁のホームページ「在留資格認定証明書交付申請」よりご確認ください。

4.(中国で)申請人が日本大使館等で申請する

申請人は、日本大使館、日本総領事館、または代理申請機関※4に書類を提出し、査証(ビザ)を申請します。審査に通れば査証(ビザ)が発給されます。

※4 代理申請機関:日本大使館または日本総領事館が指定する代理申請機関(旅行代理店)

ビザ申請の注意点

中国籍の方が日本で在留資格を申請する際の主な注意点は以下の3つです。

  1. 書類の不備や情報の誤りに注意する
  2. 期限切れにならないよう余裕を持って手続きを行う
  3. 実際の目的と申請内容が一致しているか確認する

以下に詳しくみていきましょう。

1.書類の不備や情報の誤りに注意する

必要書類の不備や情報の誤りには十分注意しましょう。申請には、在留資格ごとに定められた書類をすべて揃え、求められた情報を正しく記載することが必要です。

ひとつでも書類の漏れや誤った情報があると、追加書類の提出を求められることや、不認可となる場合があります。

2.期限切れにならないよう余裕をもって手続きを行う

短期滞在ビザ、及び在留資格認定証明書は、期限切れにならないよう余裕をもって申請手続きを行いましょう。短期滞在ビザと在留資格認定証明書には期限があり、有効期限は発行されてから3ヶ月です。

日本から申請人へ書類を送付する期間、中国で申請人が必要書類を準備する期間、また、査証(ビザ)審査期間などを考慮に入れ、手続きは早めに進めてください。

短期滞在ビザ、在留資格認定証明書は、どちらも期間延長はできません。3ヶ月以内に日本に入国しない場合、有効期限が切れ、再発行の手続きが必要となるため、注意が必要です。

実際の目的と申請内容が一致しているか確認する

実際の目的と在留資格の申請内容が一致しているかを確認しましょう。
たとえば、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手として活動する際は、在留資格「興行」を申請します。この場合、中国語が堪能という理由で、通訳業務に就くことはできません。

日本で就労する目的が通訳の場合は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を申請する必要があります。実際の目的と申請内容が一致していない場合、不許可となるため十分に気をつけましょう。

まとめ

本記事では、中国人の方が日本でビザを取得するためのポイントについて以下のことをお伝えしました。

  【本記事のまとめ】
 ●中国人が日本で取得できるビザは29種類
 就労可能な在留資格、就労不可の在留資格、就労の可否は個人による在留資格、 
 身分または地位による在留資格の4つに大きく分けられる。

 ●中国人が日本でビザを申請する条件と必要書類
 ・条件(目的に応じた在留資格の申請、上陸拒否事由に該当しない)
 ・必要書類(在留資格に応じた書類を揃える)

 ●中国人が日本でビザを申請する手順
 1.(日本側)必要書類を揃える
 2.(日本側)申請人に書類を送る
 3.(中国で)申請人が必要書類を揃える
 4.(中国で)申請人が日本大使館等で申請する

 ●ビザ申請時の注意点
 ・書類の不備、情報の誤りに注意
 ・期限切れにならないよう余裕を持って手続きを行う
 ・実際の目的と申請内容が一致しているか確認する

中国籍の方がビザを申請するには、日本での活動に応じた在留資格の申請が必須です。

活動内容と在留資格が一致していないと判断された場合や、書類の不備がある場合など、許可が下りないリスクが高まります。

もし、適切な在留資格が分からないといった不安をお持ちの場合は、在留資格申請の実績が豊富な行政書士に相談してください。

本記事が、安心して日本で暮らしたいと願う中国籍の方のお役に立てたら幸いです。

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技人国ビザで転職したい方へ|失敗しない手続きの流れと注意点とは?

在留資格「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」を持っている方の中には、日本でのキャリアアップのために転職を検討している方も多いのではないでしょうか。しかし、外国人の方の転職には様々なルールがあるため、知らないとスムーズに進まない場合もあります。

本記事では、

  • 技人国ビザで転職する際に必要な手続きの流れと注意点
  • 技人国ビザの転職活動で失敗しないチェックポイント

などを分かりやすくお伝えします。

技人国ビザで転職するための手続きやルールをきちんと理解し、起こりがちなトラブルを避けたいとお考えの方はぜひ最後までチェックしてください。

技人国ビザとは

技人国ビザとは、在留資格の一つ「技術・人文知識・国際業務」の一般的な呼び名です。しばしば「技人国ビザ」と呼ばれますが、正確には在留資格を指します。

なお、ビザ(査証)は入国許可証のことで、入国時に必要な書類です。就労や転職の可否は、在留資格によって判断されます。

本記事では、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を、技人国ビザの名称で解説していきます。

技人国ビザで転職する際に必要な手続きの流れ

技人国ビザで転職する際は「所属機関変更届」を提出する必要があります。手続きの流れは、以下の3ステップです。

【技人国ビザで転職する手続きの流れ】
1.「所属機関変更届」の様式を確認する
2.「所属機関変更届」を提出する
3.就労資格証明書を申請する

就労資格証明書は必須ではありませんが、取得しておくと入管(出入国在留管理庁|以下、入管)での審査が格段にスムーズになるため、ぜひ確認してください。

それでは、一つずつ見ていきましょう。

転職活動の状況に応じて「所属機関変更届」の様式を確認する

「所属機関変更届」は、ご自身の転職活動の状況に応じて、以下3つの様式があります。

【所属機関変更届の様式】

転職活動の状況様式
転職先が決まった後で退職した場合出入国在留管理庁|契約終了と新たな契約締結の届出
転職先が決まらず退職した場合出入国在留管理庁|契約機関との契約が終了した場合の届出
退職後に転職先が決まった場合出入国在留管理庁|新たな契約機関と契約を締結した場合の届出

新しい職場が決まらないまま退職し、転職活動中の場合でも「所属機関変更届」の提出が必要です。必ず、ご自身の転職活動の状況に合った様式はどれかを確認しましょう。

 退職・転職後14日以内に入管へ「所属機関変更届」を提出する

必要な「所属機関変更届」の様式を確認したら、退職、または転職後14日以内に入管へ提出します。「所属機関変更届」の提出方法は、以下の3つです。

【「所属機関変更届」の提出方法】

提出方法概略
入管窓口在留カードを持参し最寄りの地方出入国在留管理署へ行く
郵送在留カードのコピーを同封する・表書きに「届出書在中」または「NOTIFICATION ENCLOSED」(朱書きで)と記載する
インターネット出入国在留管理庁電子届システムより届出を行う

郵送の場合は、必ずご自身でコピーを取っておくか、日本郵便の配達状況の記録が残るサービスを利用しましょう。「所属機関変更届」について詳しくは、出入国在留管理庁のホームページよりご確認ください。

必要に応じて就労資格証明書を申請する

技人国ビザを所有し、同じ在留資格の範囲内で転職したい場合、事前に就労資格証明書を申請しておくと便利です。

就労資格証明書とは、外国人の方が行える就労活動を入管が証明する文書です。技人国ビザで転職する際は、新しい仕事内容と在留資格が一致していることが重要となります。

しかし、実際には、在留カードだけでは判断がつかない場合もあります。このような場合、就労資格証明書があれば、具体的な活動が記載されているため、簡単に判断できます。そのため、外国人の方も転職先の企業も、スムーズに転職の手続きを進めることが可能です。

ちなみに、就労資格証明書の申請は、在留期間が6ヶ月以上残っているタイミングで行うのが安心です。申請後、審査には1~3ヶ月の期間がかかります。在留期間が残り少ない場合、許可される前に在留期限が切れてしまう、といった不測の事態が起こりかねません。

このような予期しないトラブルを避けるためにも、申請する際は在留期限を確かめ、余裕を持って手続きを進めましょう。

技人国ビザで転職する際の注意点

技人国ビザで転職する際の主な注意点は、以下の6つです。

  1. 無職期間を3か月以上空けない
  2. 届出や申請を忘れず必ず行う
  3. 転職後初回のビザ更新は審査が厳しくなる
  4. 学歴・職歴と仕事内容のミスマッチを避ける
  5. 給与が日本人と同等以上である
  6. 在留期限に余裕を持って転職活動を進める

一つずつ見ていきましょう。

無職期間を3か月以上空けないこと

一つ目の注意点は、無職の期間を3ヶ月以上空けないことです。入管法で「在留資格の取り消し」が定められており、正当な理由なく3ヶ月以上無職の状態が続く場合、在留資格を取り消される可能性があります。

転職する際は上記を念頭におき、3ヶ月以内に就労先を見つけましょう。

参照:出入国在留管理庁|在留資格の取消し(入管法第22条の4)

届出や申請を忘れず必ず行うこと

2つ目の注意点は、届出や申請は必ず行うことです。

技人国で転職する場合、入管へ退職や転職の届出を行うことが義務付けられています。必要な届出や申請をしなかった場合、20万円以下の罰金が科されることもあるため、忘れずに行いましょう。

参照:出入国在留管理庁|在留手続きAnswer(Q88)

転職後初回のビザ更新は審査が厳しくなること

技人国ビザでの転職後、初回のビザ更新(在留期間更新)は審査が厳しくなる傾向があります。

これは、新しい会社での業務内容が技人国ビザの在留資格に定められた要件に合致しているか、転職先企業の経営状況などを、入管で一から審査するためです。加えて、外国人の方が転職する前の無職期間の有無や、前職を退職後14日以内に「所属機関変更届」を提出していたかなども審査されます。

審査の結果によっては、ビザ更新の許可が降りないケースもあるため、注意が必要です。このように、転職後初回のビザ更新は、通常のビザ更新よりも審査が厳しくなります。日頃から在留資格と職務内容の確認、そして届出義務を怠らないよう気をつけましょう。

 学歴・職歴と仕事内容のミスマッチを避けること

技人国ビザで転職する際は、外国人本人の学歴・職歴と転職先の仕事内容が一致している必要があります。

技人国ビザの場合、専門的な知識や技能を活かせる業務であることが必須であり、単純労働は認められません。もし、学歴や職歴と転職先の業務内容に適合性がないと判断された場合、在留期間の更新が不許可になるリスクが高まります。

転職時は、成績証明書などで履修科目を明確にし、新しい業務との関連性を客観的に証明する準備をしておくと安心です。

給与が日本人と同等以上であること

技人国ビザでの転職は、新しい職場の給与が、その会社の日本人と同等以上であることが必要です。

例えば、同じ職種に従事する日本人社員の給与が20万円なのに対し、外国人材の給与が17万円の場合、申請しても許可は降りません。技人国ビザで転職する際は、転職先の報酬額を必ず確認しましょう。

 在留期限に余裕を持って転職活動を進めること

技人国ビザで転職する際、在留期限に余裕を持って転職活動を進めることが重要です。

前述した通り、転職後初めて在留期間更新の手続きを行う際は、通常の更新よりも厳しい審査が行われます。審査期間が長引くことや、場合によっては不許可となるリスクも否めません。

在留期限が切れてしまうと、就労できないばかりか不法滞在とみなされる場合もあるため、在留期限には十分気をつけ、余裕を持った転職活動を行いましょう。

技人国ビザの転職活動で失敗しないためのチェックポイント

技人国ビザでの転職活動を成功させるためのチェックポイントを5つ紹介します。

  • 学歴・職歴と仕事内容が一致しているかチェックする
  • 労働条件・雇用条件を確認する
  • 必要な書類や情報を事前に準備しておく
  • 転職先のビザ手続きサポート体制を確認する
  • 不安な場合は行政書士など専門家に相談する

以下に、一つずつ解説します。

学歴・職歴と仕事内容が一致しているかチェックすること

まず、学歴・職歴と仕事内容が一致しているかをチェックすることが重要です。もし、転職先の仕事内容が技人国ビザと一致しない場合、不許可になってしまうため、必ず確認しましょう。

 労働条件・雇用条件を確認すること

次に、新しい会社の労働条件や雇用条件が、技人国ビザの要件を満たしているかを確認してください。

具体的には、仕事量が十分にあるか、また、給与は転職先の会社の日本人と同等以上かといった条件です。入管の審査の際、技人国ビザの要件が満たされていないと判断されると、許可が降りない可能性が高まるため、事前に確認しておきましょう。

必要な書類や情報を事前に準備しておくこと

転職活動をスムーズに行うためには、必要な書類や情報をあらかじめ準備しておくことも大切です。

【必要書類】

  • 所属機関変更届
  • 在留カード

【必要な情報(「所属機関変更届」に記入する内容)】

例えば、新しい会社に転職した場合、以下の情報を準備しておくことで、未記入や誤記入などを防ぐことができます。

 ・届出人の居住地
 ・在留カード番号
 ・在留資格の種類
 ・新しい会社に入社した日
 ・退職した会社の名称、所在地、法人番号  
 ・新しい会社の名称、所在地、法人番号
 ・新しい会社での活動内容
参照:出入国在留管理庁|契約機関に関する届出

技人国ビザでの転職活動の失敗をなくし、スムーズに進めるため、状況に応じて必要な書類や情報を先に準備しておきましょう。

転職先のビザ手続きサポート体制を確認すること

転職先にビザ手続きのサポート体制が整っているかを確認しましょう。

就労中に在留期限が近づく、仕事内容によっては在留資格の変更が必要になるなど、様々なケースが出てきます。そのたびに、入管の規約に基づいた手続きが必要なため、会社がビザ手続きをサポートしてくれるかは、会社選びにおいて重要なポイントです。

転職した後も安心して仕事を続けられるよう、サポート体制が整っている会社かどうかを確認しましょう。

不安な場合は行政書士など専門家に相談すること

技人国ビザでの転職が不安な場合は、行政書士などの専門家に相談しましょう。

専門家にご自身の学歴や職歴、現在の状況を伝えることで、注意すべきポイントや必要書類など的確なアドバイスを受けることができます。

まとめ

本記事では、技人国ビザでの転職について以下のことをお伝えしました。

【まとめ】
1.技人国ビザとは
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の一般的な呼び名

2.技人国ビザで転職する際に必要な手続きの流れ
・「所属機関変更届」の様式を確認する
・退職・転職後14日以内に入管へ「所属機関変更届」を提出する
・必要に応じて就労資格証明書を申請する

3.技人国ビザで転職する際の注意点6つ
・無職期間を3か月以上空けない
・届出や申請を忘れず必ず行う
・転職後初回のビザ更新は審査が厳しくなる
・学歴・職歴と仕事内容のミスマッチを避ける
・給与が日本人と同等以上である
・在留期限に余裕を持って転職活動を進める

4.技人国ビザの転職活動で失敗しないためのチェックポイント5つ 
・学歴・職歴と仕事内容が一致しているかチェックする
・労働条件・雇用条件を確認する
・必要な書類や情報を事前に準備する
・転職先のビザ手続きサポート体制の確認する
・不安な場合は行政書士など専門家に相談する

技人国ビザの転職は、状況に応じた必要書類の提出や提出の期限など、様々な気をつけるべきポイントがあります。また、新しい職場や業務内容が技人国ビザに適しているかの判断がつきにくい場合もあるでしょう。そんなときは、ぜひ行政書士など法律の専門家に相談してください。

本記事が、技人国ビザでの転職活動を行う外国人の方にとって、安心して日本で働き続けられるようお役に立てたら幸いです。

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技人国ビザで単純労働は可能?判断基準・例外ケース・注意点を解説

技人国ビザを保有する外国人材を雇用したい。しかし、技人国ビザと単純労働との業務範囲の区別がつきにくく判断が難しいと感じている方は多いでしょう。本記事では、技人国ビザが自社の業務に該当するのか、法的な解釈が難しいと感じている担当者の方のために、

  • 技人国ビザで単純労働はできるの?
  • 単純労働とみなされる業務内容
  • 例外的に単純労働が認められるケース
  • 技人国ビザの外国人材を雇用する企業側の注意点

などを分かりやすくお伝えします。
もし、技人国ビザの業務範囲を超えていた場合、企業側も外国人本人も刑罰に問われかねません。意図せず不法就労や不法滞在などの問題に巻き込まれるリスクを避けるためにも、ぜひご確認ください。

技人国ビザで単純労働はできる?

技人国ビザでは、原則として単純労働はできません。技人国ビザに該当する活動は、自然科学・人文科学に属する高度な技術や知識、または母国の文化で培った思考・創作活動などを必要とする業務です。

具体的な活動としては、技術者、通訳、デザイナーなどが挙げられます。一方、専門知識を要しない単純労働の場合、技人国ビザでの就労は認められていません。

単純労働とみなされる業務内容・例外となるケース

それでは、どのような業務内容が単純労働とみなされるのか、具体例に見ていきましょう。また、例外的に認められるケースについても紹介しますので、ご確認ください。

典型的な単純労働の具体例

典型的な単純労働の例としては以下のような業務が挙げられます。

  • レストランでの配膳、片付け、電話受付、駐車場誘導
  • ホテルでの客室清掃、宿泊客の荷物運び
  • 小売店でのレジ打ち、品出し
  • ビルの清掃業務
  • パソコンのデータ保存、バックアップ作成

上記のような単純労働は、訓練を受けることで誰でも従事できる作業です。高度な知識は必要としないため、技人国ビザには該当しません。具体的には、以下のようなケースが単純労働に該当します。

【単純労働と判断されるケース】

習得した内容就労先実際の業務
ケース1ベンチャービジネス学科卒業バイク関連の輸出入を行う企業タイヤの交換やフレームの修理等
ケース2経済学部卒業ホテル客室清掃等

上記のように、習得した内容と勤務する企業との間に関連性がある場合でも、実際に従事する業務内容に専門性が認められないケースは単純労働と判断されます。ちなみに、単純労働で就労可能な在留資格には「特定技能」があります。

外国人の方を雇用する際は、企業の業務内容に適した在留資格の人材を確保しましょう。

例外的に認められるケース

技人国ビザでの単純労働は認められていませんが、例外的に認められるケースもあります。

主には、以下の3つです。

  1. 研修の一環としての単純労働
  2. 該当する業務に付随する単純労働
  3. 一時的な単純労働

それでは、1つずつみていきましょう。

1.研修の一環としての単純労働

研修の一環としての単純労働は例外的に認められています。例えば、スーパーの本社営業部や管理部門等の幹部候補者として採用される外国人材が、2年間の実務研修を受ける場合等です。

研修内容が、商品の陳列、レジ打ち、接客など単純労働の場合でも、外国人材のキャリアステッププランを入管に提示することで就労可能になります。キャリアアッププランには、研修終了後に幹部候補者として従事することを明確に記載することが重要です。

2.該当する業務に付随する単純労働

技人国ビザに該当する業務に付随して行う単純労働も認められています。
例えば、自動車整備主任者としての業務に従事するかたわら、自動車の基幹部分の点検・整備・分解等の単純労働に携わる場合等です。この場合は、技人国ビザの主たる業務に付随する業務内容として認められます。

3.一時的な単純労働

やむを得ない理由で、一時的に単純労働を行う場合も例外的に認められます。例えば、普段はホテルのフロント業務に従事しているが、団体客などの一時的な対応のため、宿泊客の荷物を部屋まで運ぶ等の場合です。

このように、例外として認められるのはあくまで「専門業務」が主である場合に限ります。
加えて、従事する業務が主である業務に付随したものか、又、一的に行うものかという点も判断の基準になります。

例外が認められるかどうかは、在留期間中の実際の業務内容や活動状況を元に、入管が総合的に審査しているのです。

技人国ビザの外国人を雇う企業側の注意点

技人国ビザの外国人を雇う企業側の注意点を2つ紹介します。

  • 雇用契約で業務内容を明確に定める
  • 実際の業務内容が契約内容と合致しているか確認する

注意点をあらかじめ知っておくことで、不許可になったり不法就労と判断されたりするリスクを減らせます。それでは、詳しくみていきましょう。

1.雇用契約で業務内容を明確に定める

一つ目は、業務内容の「具体性」かつ「専門性」を明確に定めたうえで契約を結ぶことです。

業務内容の具体性を明確に定める

「幹部候補として採用し実地研修をする場合、キャリアアッププランを作成して、将来的には地位が確約されていることをきちんと示す」といったように、業務内容を明確に定める必要があります。

説明が不十分で、幹部候補として従事することが確約されていないと判断された場合、不許可になるリスクが高まります。

業務内容の専門性を明確に定める

加えて、外国人材の業務内容は、専門性が分かるよう明確に記載しましょう。業務内容が単に「事務」「通訳・翻訳」などと記載されている場合、入管(※)で行われる審査の際、技人国ビザに該当するかの判断がつきません。
(※)入管:出入国在留管理庁の略称

このような場合、専門知識や高度な技術を要する業務であることを明確に記載する必要があります。例えば、「海外事業本部における貿易等に係る会計業務」「海外事業部における商談の通訳及び契約資料の翻訳」など、専門性が分かるよう詳細に記載しましょう。

不備がある場合、申請後に出入国在留管理局から問い合わせが来ることもあり技人国ビザの在留資格に該当しないと判断されると、不許可になるケースもあり得ます。契約書では、具体的かつ専門性を明確に示した業務内容を定め、技人国ビザに該当することが分かるよう記載してください。

実際の業務が契約内容と合致しているか確認する

二つ目の注意点は、外国人が行う実際の業務が契約内容と合致しているかを確認することです。

契約内容で、ホテルの予約管理・通訳業務となっている方なら、実際に従事する業務がレストランの配膳や客室の清掃など、単純作業のみの場合、契約内容と合致していないと判断され、不許可になる確率が高まります。

また、許可が降りたあとに発覚した場合、企業側、外国人本人の両者に以下の刑罰を科せられるケースもあるため、細心の注意が必要です。

【契約内容と実体に齟齬があった場合の罰則】

企業側:不法就労助長罪、外国人雇用状況の届け義務違反等

外国人本人:在留資格の取消し、5年間の強制退去処分等

リスクを抑えるためにも、企業側で労務管理体制を整えることが重要です。企業の情況の変化等で、外国人が申請時とは異なる業務に就いている場合もあるからです。

もし、技人国ビザの就労範囲を超える場合、実際の業務に適した在留資格に変更するための手続きが必要になります。定期的に外国人材の就労状況を把握し、トラブルを未然に防ぎましょう。

まとめ

本記事では、技人国ビザでの単純労働について以下のことをお伝えしました。

1.技人国ビザで単純労働はできない
2.単純労働とみなされる業務内容
・配膳、清掃、レジ打ち等
3.例外的に認められる3つのケース
・研修の一環、主たる業務に付随する単純労働、一時的な労働
4.技人国ビザの外国人を雇う企業側の注意点
・雇用契約で業務内容を明確に定める(キャリアアッププランの作成、専門性)
・実際の業務が契約内容と合致しているか確認する

技人国ビザの業務範囲と単純労働は、法的に判断がつきにくい場合もあります。

そんなときは、行政書士など、外国人雇用に関する法律の専門家に相談してください。

本記事が、人手不足を解消したいとお考えの担当者の方にとって、外国人材を安心して受け入れるための一助となれたら幸いです。

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技人国ビザで派遣社員として働くことはできる?条件や注意点なども徹底解説

外国人として日本で働きたいと考える方や外国人労働者を雇いたい企業の担当者にとって、在留資格の技術・人文知識・国際業務(以下、技人国ビザ)の扱いは非常に重要です。

特に「派遣」という働き方が技人国ビザで認められるかどうかは、疑問やトラブルのもとになります。

この記事では、技人国ビザでの派遣労働が可能かどうかを判断するための基本的な知識、具体的な条件、必要な手続き、そしてよくあるトラブルや注意点までを徹底解説します。

技人国ビザで派遣社員として働ける?

技人国ビザは原則として「直接雇用」が基本ですが、派遣就労も可能です。

ただし、派遣雇用の場合は通常よりも、入管審査が厳しい傾向があります。以下の条件や注意点をしっかり確認し、雇用主、労働者共に安心して業務を行う準備を整えましょう。

技人国ビザと派遣労働の基本ルール

技人国ビザは、外国人が日本で専門的・技術的分野の業務に就くための在留資格です。(正確には「在留資格」ですが、一般的に「技人国ビザ」と呼ばれることが多いため、本記事では便宜上この表記を使用します。)

対象となる職種には、以下のようなものがあります:

  • システムエンジニア、プログラマー
  • 通訳・翻訳
  • マーケティング・企画職
  • 会計・人事・法務などの専門職
  • 貿易・国際取引業務

一方、派遣労働とは「労働者が派遣元と雇用契約を結び、派遣先で指揮命令を受けて働く」形態です。重要なのは、技人国ビザは特定の企業(=在留資格申請時に届け出た企業)での専門的業務を前提にしているという点です。
そのため、派遣就労自体は違法ではありませんが、「どの会社で」「どんな仕事を」「どのような契約で」働くのかを明確にする必要があります。

派遣で働ける場合・働けない場合

技人国ビザで派遣として働くことは絶対にNGではありませんが、ルールを守らなければ違法就労になるリスクが非常に高いです。

【働けるケース】

  • 派遣元(雇用主)が適切な労働者派遣事業の許可を持っている
  • 派遣先の業務が技人国ビザで認められる専門業務である
  • 雇用契約・派遣契約・業務内容がすべて整合している
  • 入管への申請時に、就労先・業務内容が明記されている

【働けない(違法となる)ケース】

  • 単純労働(工場ライン、清掃、飲食接客など)を行っている
  • 派遣元と派遣先の契約が不備または「偽装請負」の状態になっている
  • 実際の勤務先・業務が入管に届け出た内容と違う

ポイントは、業務内容・契約内容と入管への申請内容が一致しているかどうかです。派遣元・派遣先・本人の三者が在留資格の要件を正しく理解し、慎重に対応しましょう。

技人国ビザで派遣として働く場合の条件・手続き

こちらでは技人国ビザで派遣として働く場合の条件と手続き、必要書類なども含めて、丁寧に解説します。よく確認し、手間や工数を最小限に抑えましょう。

派遣で求められる業務内容のポイント

技人国ビザで派遣就労する場合、学歴・職歴に基づく専門的業務であることが必須です。

以下の条件を満たすことが望まれます:

  • 大学等で専攻した分野に関連する業務
  • 実務経験が10年以上ある専門的職種
  • 認定された専門業務であること(入管の審査基準に基づく)

例)システム開発を学んだ外国人がIT企業でプログラミング業務を行う→可能
  同じ人が派遣されて工場のライン作業を行う→不可能

派遣元・派遣先企業が用意する書類

技人国ビザで派遣就労するためには、派遣元・派遣先が適切な書類を準備し、在留資格の申請や更新時に提出する必要があります。

主な書類は以下の通りです:

派遣元が用意する書類

  • 在留資格申請書(所属機関作成用および派遣先情報の欄)
  • 登記事項証明書(履歴事項全部証明書もしくは現在事項証明書)
  • 雇用契約書もしくは労働条件通知書
  • 前年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受付印あるもの)
  • 会社案内
  • 職務内容に関する詳細説明書
  • 派遣先企業との派遣業務契約書(申請人に関するもの)

派遣先が用意する書類

  • 登記事項証明書(履歴事項全部証明書もしくは現在事項証明書)
  • 申請人が勤務する事業所の写真、平面図

これらの書類がきちんと揃っていないと、ビザの申請が却下されることもあります。詳しくはこちら(法務省)をご確認ください。

手続きの流れと注意点

技人国ビザを取得している外国人労働者が派遣形態として働く場合、以下の手順で手続きを進めましょう。

  1. 派遣元との雇用契約締結(雇用内容の明確化)
  2. 派遣契約の締結(派遣先との合意形成)
  3. 必要書類の準備(業務内容・契約内容の整合)
  4. 在留資格認定証明書交付申請、または変更許可申請
  5. 入管による審査(勤務先・業務内容・雇用条件など)
  6. 許可後に就労開始

注意点:

  • 派遣先が変わったら、必ずその都度入管に届け出が必要
  • ビザの更新時にも、業務内容や就労先が変わっていないか確認される

 技人国ビザで派遣就労するには、派遣元・派遣先・本人の三者が業務や契約内容、ビザとの整合性を常に意識することが重要です

手続きは少し複雑ですが、一つ一つ丁寧に進めることで、お互いに安心して働くことができる環境に繋がります。

技人国ビザ×派遣で気を付けるべき注意点・よくある失敗

技人国ビザを持つ外国人が、派遣社員として働く場合には、通常の就労とは異なる注意点があります。
主に以下の5つです。

  • 派遣契約が適切かどうか確認する
  • 業務内容が技人国ビザに合っているか確認する
  • 派遣先の情報や事業内容を明確にする
  • 派遣先が変わるときは必ず届け出る
  • 退職・派遣終了時は退職証明書を受け取る

「内定が出たのにビザ更新が通らなかった」「派遣先と仕事内容が合わず違反とみなされた」など、事前に知っておけば防げたトラブルも少なくありません。
こちらでは技人国ビザで派遣就労する際の注意点と、よくある失敗をわかりやすく解説します。

派遣契約が適切か確認する

派遣契約が適法でない場合、偽装請負とみなされ、雇用主・派遣先・外国人本人すべてが違法状態に陥るリスクがあります。
以下のようなケースに注意しましょう。

  • マニュアルがない・マニュアルがあるけど曖昧
  • 業務指示や評価を派遣先が直接行っている
  • 勤務日や残業時間の管理を派遣先がしている
  • 社員証・制服・メールアドレスなどが派遣先と完全同一

業務内容が技人国ビザに合っているか確認する

業務内容が専門業務に該当しない場合は、そもそも技人国ビザの対象外です。具体的には、「大学や専門学校で学んだこと、または実務経験が活かせる業務」であることが必要です。

以下の業務は対象外です:

  • 工場での仕分け、梱包
  • 倉庫内の荷降ろし
  • 清掃や警備
  • ホールスタッフやレジ業務

単純労働や体力労働とみなされる業務は技人国ビザの対象ではないので、注意が必要です。

派遣先の情報や事業内容を明確にする

入管の審査では、「外国人がどの会社で、どのような仕事をするか」を明確にすることが重要です。業務内容の記載が曖昧だと、申請却下の原因になります。

派遣先の事業内容や就業場所、業務の詳細を契約書・職務内容説明書などで証明できるようにしましょう

派遣先が変わるときは必ず届け出る

派遣先が変わる場合、所属機関等に関する届出をすることが義務付けられています。これを怠ると在留資格違反になってしまうので注意が必要です。

また、派遣元との雇用契約は継続していても、実際の勤務場所(派遣先)が変わる場合には、14日以内に所属機関等に関する届出を出さなければなりません。こちらも合わせて覚えておきましょう。

退職・派遣終了時は退職証明書を受け取る

派遣先から離れるときは、「退職した理由」が非常に大事です。ビザ更新・転職・永住申請など、将来の申請時に「過去の職歴・雇用実績」を証明するために退職証明書や源泉徴収票は不可欠です。
証明できないと、転職先や入管手続きで不利になるケースもあるので、退職証明書や源泉徴収票などは将来必要になる時のために必ず受け取って保管しておきましょう。

技人国ビザ 派遣で就労する具体例

以下では具体例を用いて、これまで解説した内容を振り返ります。「自分だったら…」と考えながら再度確認しましょう。

ケース1:ITエンジニアとしての適法派遣

ベトナム出身のAさんは、日本の派遣会社と雇用契約を結び、某IT企業にシステム開発エンジニアとして派遣されました。業務内容は入管に提出済みで、派遣契約書も適正に整備されていたため、問題なく在留資格を取得できました。

派遣元・派遣先ともに協力し、スムーズに申請と就労が実現。

ケース2:コンビニスタッフで在留資格取消

ネパール出身のBさんは「通訳業務」で申請された技人国ビザを保持し、派遣会社と雇用契約を結びました。
ところが派遣先でははコンビニでのレジ・接客業務を任され、数ヶ月後、入管の調査により在留資格取り消しとなり、帰国を余儀なくされました。

派遣先での業務が技人国対象外であるため不法労働に該当

ここで重要なのは、技人国ビザを保持している本人が「よく分かっていなかった」「会社の指示に従っただけ」であっても、本人が罰せられ、「不法就労」→「退去強制処分(強制帰国)」となる可能性は十分にあるということです。
「自分のビザで何ができて、何がダメか」を把握しておくことが自己防衛になります。また、雇用する側も自分たちが雇用する相手のビザがどこまでの範囲で労働可能なのか、しっかりと理解しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

以下ではよくある質問について一問一答形式で解説していきます。

Q1:登録型派遣でも働けますか? 

A:可能ですが、登録型でも「派遣先・業務内容」が明確になっている必要があります。

Q2:複数企業に派遣されても問題ありませんか? 

A:派遣先が複数ある場合は、それぞれについて業務内容と契約の整合性が必要です。また、都度入管への届出が必要になることもあるので注意する必要があります。

Q3:技人国ビザから他の在留資格に変更すれば単純労働も可能?

 A:在留資格の変更を正しく行えば可能です。ただし、例えば「特定技能ビザ」など別の要件が課されます。

Q4:ビザ更新のタイミングで派遣先が変わる場合、どうすればいい? 

A:更新申請前に、新しい派遣先情報を含めた書類を準備しておく必要があります。

まとめ

今回は、技黒人ビザで派遣就労はできるのは、その条件や注意点について、具体例を用いて解説しました。

技人国ビザでの派遣就労は可能です。ただし雇用する側とされる側それぞれが「正しい手続きと確認」を行う必要があります。特に意識したいのは、以下の2つの視点です:

  1. 派遣先での業務や給与が派遣元で契約したものと一致しているか
  2. 派遣先での業務は専門性のある業務か

技人国ビザでも派遣という形で働くことは条件を満たせば合法ですが、必要な書類・契約・業務内容に不備があれば、違法就労扱いとなり、外国人本人・派遣元企業の双方にリスクがあります。派遣元・派遣先企業は、書類作成・指揮命令体制・業務内容の適法性などをきちんと整理し、入管からの審査にも対応できるよう備えることが重要です。

外国人本人も、自分のビザの要件に合った業務かどうか、派遣先が変わる際の届出義務などをしっかり把握しておきましょう。安心して日本で働くためには、「知識」と「準備」が最大の武器になります。

本記事がこれから日本で働こうとしている方や、外国人労働者を受け入れようとしている企業の皆様の一助となれば幸いです。

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技術・人文知識・国際業務の在留資格で副業は可能?条件や必要書類についても徹底解説

技術・人文知識・国際業務に関する在留資格(通称:技人国ビザ)を取得し、日本の会社で働き始めたものの、「生活費が厳しい…」「母国の家族に仕送りしたい…」と、副業を考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、在留資格の条件に違反してしまうと、在留資格の取り消しや強制帰国といった大きなリスクもあるため、正しい知識が必要です。

この記事では技人国ビザで副業ができる条件・申請方法・注意点をわかりやすく解説します。ご自身の未来と大切な家族のために、正しい知識を身につけて安全に一歩を踏み出しましょう。

技人国ビザで副業・アルバイトはできる?

結論、技人国ビザを取得して日本企業で働いている外国人の方が副業を行うことは可能です。ただし、一定の条件を満たしている必要があります。内容によっては「資格外活動許可」が必要な場合もあるため、事前に手続きや制限について十分に確認しておきましょう。

技人国ビザで副業・アルバイトをするための条件

技人国ビザを取得している方が副業・アルバイトをするための条件は大きく3つあります。

  1. 副業・アルバイトの業務内容が技人国の業務範囲内に該当していること
  2. 本業の会社が副業許可な場所
  3. 資格外活動許可が必要

それぞれ見ていきましょう。

副業・アルバイトの業務内容が技人国の業務範囲内に該当していること

技人国の在留資格を所有している外国人労働者が副業やアルバイトをする場合、業務内容は資格の範囲内である必要があります。なぜなら技人国ビザは、その名の通り「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門的な業務に従事する外国人のための在留資格だからです。

主に以下のような職種が対象です:

  • 技術:理工系・工学系の専門知識に基づく業務が対象
    例)システムエンジニア・プログラマー・機械エンジニア・建築士・製品開発など
  • 人文知識:経済・法律・語学など、文系の専門知識を使ってオフィスで働くような職種が対象
    例)事務職・管理職・通訳・広報・法務・人事・編集など
  • 国際業務:語学力や異文化理解を活かした業務が対象
    例)翻訳・海外との取引業務・語学教師・海外マーケティング・海外展開支援など

ここで注意していただきたいのが、在留カードや許可通知では「技術・人文知識・国際業務」とまとめて表示されており、実際に出入国在留管理局で申請した際は、その人の職務内容に基づいてどれか一つの枠で審査されているという点です。

例えば…

 本業:エンジニア(技術)
 副業:海外マーケティング(国際業務)

このように、同じ技人国に分類されていても、カテゴリーを跨いでの副業は原則NGです。ただし、一貫した専門性があるものであれば認められる可能性もあります。入国管理局の判断は状況に応じて異なりますので、ご自身で判断しかねる場合は行政書士などの専門家に相談して動くことを推奨します。

また「飲食店でのアルバイトは可能かどうか」もよくある質問の1つですが、こちらは原則NGです。技人国ビザは、「専門性のあるホワイトカラー業務」が前提であり、飲食店での接客・配膳・調理補助などは「単純労働」とみなされ、対象外となります。飲食店などでのアルバイトを希望する場合は在留資格変更や他の在留資格での滞在が必要です。

本業の会社が副業許可な場所

副業を始める前に、まずは現在勤めている会社の副業規定を確認しましょう。就業規則で「副業禁止」とされている場合、たとえ資格外活動許可を取得しても、会社から注意や処分を受ける可能性があります。特に、中小企業や保守的な企業では副業を禁止しているケースも少なくありません

また、副業を許可している会社でも事前に申請や届出が必要な場合が多いので、事前に必要な手続きをしっかり確認しましょう。

資格外活動許可が必要

原則として技人国ビザの方が副業を行う際には、事前に「資格外活動許可」を申請する必要があります。

「資格外活動許可」とは、日本に在留する外国人が、現在持っている在留資格で認められている活動以外で収入を伴う事業を運営する活動・報酬を受ける活動を行う場合に、入国管理局から受ける許可のことです。資格外活動許可は出入国在留管理局で申請可能で、オンライン申請であれば24時間365日しています。

資格外活動許可が必要な理由

技人国ビザを取得した方が副業・アルバイトを行うために資格外活動許可が必要な理由は大きく2つあります。

  1. 在留資格は「特定の活動」に限って許可されている
  2. 出入国在留管理局の監督が及ばなくなる

それぞれ見ていきましょう。

在留資格は「特定の活動」に限って許可されている

日本の在留資格は「どのような活動を行うために滞在するのか」が細かく決まっています。
例えば、技人国ビザの場合は、「技術・人文知識・国際業務に該当する業務を、雇用主(所属機関)を通じて行うこと」が前提です。

つまり、本業として許可された所属先以外の場所で働くこと自体が「資格の範囲外」**になり、それを行うにはあらかじめ出入国在留管理局の許可(資格外活動許可)が必要なのです。

出入国在留管理局の監督が及ばなくなる

本来、出入国在留管理局では、あなたが「どこで、どんな業務をしているか」を把握し、在留資格と一致しているか確認します。しかし、副業を無許可で行うと「出入国在留管理局に申告していない場所で勝手に働いている=不法就労」とみなされるリスクがあります。

不法就労と見なされると…

  • 退去強制(強制送還)の対象となる
  • 在留資格の取り消し・更新不可
  • 雇用主側も罰せられる

など様々なペナルティが課せられます。

一度の過ちで人生を自らチャンスを失うことのないよう、副業・アルバイトを行う際は必ず「資格外活動許可」を申請しましょう。

資格外活動許可を取得するための条件

資格外資格を取得するためには大きく4つの条件があります。

  1. 本業に支障がないこと
    フルタイムでの勤務に加えて副業を行う場合、本業がおろそかになると判断されると許可が下りません。
  2. 副業の内容が適切であること
    風俗業やパチンコ店など、一部の業種は副業先として認められません。
  3. 週28時間以内であること
    許可が出た場合でも、副業の労働時間は「週28時間以内」に制限されます。
  4. 副業先が違反・不透明な雇用ではないこと
    雇用契約や労働条件がしっかりしていることが必要です。

こちらの条件を満たしていることが資格外活動許可を取得するための条件です。事前に働く場所などの情報も調べ、精査しましょう。詳しくは、出入国在留管理庁の公式サイトをご覧ください。

資格外許可について 法務省 出入国在留管理庁
資格外許可 オンライン申請について 法務省 出入国在留管理庁

資格外活動許可の申請方法と流れ

資格活動許可は必ず副業・アルバイトを始める前に取得する必要があります。出入国在留管理局の混雑状況によりますが、通常申請から許可まで2週間〜1か月程度かかるので、余裕をもって準備を始めましょう。

資格外活動許可の申請方法と流れは以下の通りです。

1.必要書類を準備する
最寄りの出入国在留管理局にて必要書類を提出し、受付票をもらう。

必要書類は以下の4つです。

  • 資格外活動許可申請書
  • 在留カード
  • パスポート
  • 雇用先の資料

管轄の出入国在留管理管理局窓口にて、申請書の提出を行います。原則として申請者本人が直接出向く必要があり、郵送はできません。

受付票とは出入国在留管理局に資格外活動許可申請をした証拠となる控え書類のことです。受付票は資格外活動許可を申請したことを証明するものであって、許可されたことを証明するものではないので注意が必要です。受付番号なども記載されており、今後必要になってくる書類ですので、必ずお手元に保管しておきましょう。

2.許可が下りたらハガキ等で連絡
ハガキが届くまで、必ず受付票を保管しておく。
3.「資格外活動許可スタンプ」を受け取る
出入国在留管理局に再訪し、在留カード裏面に押印する。

資格外活動許可スタンプとは、出入国在留管理局から資格外活動が正式に許可されたことを証明する印(スタンプ)で、在留カードの裏面に押されるものです。

申請の手順やタイミング次第で法律に抵触する可能性もあるため、不安な場合は早めに出入国在留管理局に相談、もしくは行政書士に問い合わせることをおすすめします。

資格外活動許可が不要な場合

これまで技人国ビザを取得している方が副業・アルバイトを行う場合は原則として資格外活動許可が必要とお伝えしてきましたが、例外として資格外活動許可が必要ない場合もあります。

主に以下の3つのケースがあげられます。

1.同一の在留資格内で業務を拡大する場合
2.業務委託や請負としての仕事の場合
3.無報酬・ボランティア活動の場合

それぞれ見ていきましょう。

同一の在留資格内での業務拡大

例えば、技人国ビザの「技術」分野でエンジニアとして働いている方が、同じ会社または関連会社で本業と関連のある技術系のプロジェクトに参加するようなケースです。この場合は、「本来の活動の一環」とみなされ、資格外活動には該当しません。

副業ではなく業務委託や請負としての仕事

例えば国際業務のビザで翻訳・通訳の仕事を本業としている方が、フリーランスとして別のクライアントからも同様の翻訳業務を請け負う場合内容や条件によっては「活動の延長」とされ、許可が不要なこともあります。ただしこの場合は判断が難しい場合もあるので、始める前に専門家へ相談した方が安全です。

無報酬・ボランティア活動

報酬(給与や謝礼)が発生しない活動は、原則として資格外活動には当たりません。イベントのボランティアや奉仕活動、学校での無償通訳などは、許可不要で行えるケースが多いです。
いずれも資格外活動許可が不要とはいえ、線引きが難しい場合もあるので、一度専門家などに相談することを推奨します。

副業・アルバイトが認められない3つのケース

以下の3つの場合は副業・アルバイトが認められないので注意が必要です。

  1. 雇用主が副業を禁止している場合
  2. 風俗業・パチンコ店など「禁止業種」で働く場合
  3. 留学生など「週28時間制限」を超えて働く場合

それぞれ見ていきましょう。

雇用主が副業を禁止している場合

日本の労働契約や就業規則では、副業を禁止している企業もあります。たとえ出入国在留管理庁で資格外活動許可を得ていても、本業の会社がNGなら副業できません。発覚した場合は、懲戒処分や契約打ち切りの可能性もあります。

風俗業・パチンコ店など「禁止業種」で働く場合

風俗営業関連業(キャバクラ、パチンコ、スナックなど)は、どの在留資格でも就労不可です。仮に資格外活動許可を得ていても、これらの職種は絶対に認められません。

留学生など「週28時間制限」を超えて働く場合

これは留学生ビザに多いケースです。技人国ビザの方も、副業であっても勤務時間や契約形態によっては「本業+副業=労働時間過多」と判断され、在留資格に悪影響を及ぼすこともあります。

まとめ

技人国ビザを取得している方でも、条件を満たせば副業・アルバイトは可能です。しかし、副業には「資格外活動許可」が必要であり、内容・時間・本業への影響・雇用形態など、多くの点で慎重な対応が求められます。
違反すれば不法就労扱いとなり、在留資格の取り消しや強制送還など、取り返しのつかないリスクを負うことになります。

特に以下のポイントを確認しましょう:

  • 副業内容が技人国の業務範囲内か
  • 本業の会社が副業を許可しているか
  • 資格外活動許可を申請・取得しているか
  • 労働時間が過剰になっていないか

副業・アルバイトを始めたいと思ったら、まずは出入国在留管理庁に相談するか、行政書士などの専門家に確認することが安心・安全な第一歩です。自分のスキルを活かして、正しいルールのもとで副収入を得てより安定した日本での生活を築いていきましょう。

本記事が、技人国ビザ取得者が安全に副収入を得ることへの理解を深める一助となれば幸いです。

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【技人国ビザ更新】申請のタイミング・必要書類・注意点|行政書士監修

在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国ビザ)の更新は、日本で働き続けたい外国人の方に必ず必要な手続きです。付与されている在留期間が期限切れする前に、更新の手続きを行うことで、継続して活動することができます。しかし、更新のタイミングや必要書類など細かな規定も多く、分かりにくさを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本記事では、日本で就労中の外国人の方、又、外国人材に長く働いてもらいたい企業担当者の方のために、

  • 技人国ビザ更新のタイミング
  • 更新できるのはどんな人?
  • 更新の条件
  • 必要書類と更新方法
  • 技人国ビザ更新時の注意点

などを分かりやすくお伝えします。 

技人国ビザ更新の手続きは、企業の規模だけではなく外国人の方がそのまま同じ企業で働く場合と転職した場合でも異なります。ビザ更新の手続きに必要な具体的な手順や必要書類などを知りたいとお考えの方は、ぜひご確認ください。

技人国ビザの更新とは?

技人国ビザの更新とは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で就労中の外国人の方が引き続き日本での就労を希望する場合に行う申請です。技人国ビザの在留期間は、5年、3年、1年、又は3ヶ月と定められており、在留期間満了後も引き続き日本で働きたい場合、技人国ビザ更新の申請が必要となります。

技人国ビザの更新は、在留期間を超えても外国人材が日本で長期に渡り安心して働き続けるために必須の手続きなのです。

更新できるタイミング

技人国ビザの更新は、在留期間が満了する3ヶ月前から可能です。なお、付与された在留期間が3ヶ月以内の場合は、在留期間の2分の1を過ぎたときから更新できます。

また、更新の申請手続きは、在留期間満了の当日まで可能です。様々な事情で満了日近くになって更新手続きをした人のためには、以下のような特例期間が設けられています。

【在留期間更新許可申請の特例期間】
満在留期間了日から2ヶ月申請の結果が出るまで

上記期間のどちらか早い方の間、合法的に日本に滞在できるため安心です。ただし、審査には2週間から1ヶ月ほどかかります。更新できるタイミングがきたら、できるだけ早めに手続きをしましょう。

更新できる人・条件

技人国ビザを更新できる人と更新の条件は以下の通りです。

【技人国ビザを更新できる人】
既に在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持って日本で活動中の方で、同じ在留資格の活動を継続したい人
【技人国ビザを更新する条件】
継続して行う活動が在留資格「技人国ビザ」に該当すること法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること在留資格「技人国ビザ」に適応した活動を行っていたこと素行が不良でないこと独立して生活できるだけの資産又は技能を持っていること雇用・労働条件が適正であること(企業)納税の義務を果たしていること入管法で定める書類の届出等を行っていること

外国人の方が技人国ビザを更新するには、上記の要件を満たしている必要があります。具体的には、以下のような点です。

  • 在留資格外の活動を行っていないか(素行が不良でないか)
  • 所属機関の住所変更や本人の転職などの場合に届け出ているか(入管法で定める書類の届出)

また、企業側に対する要件として、雇用・労働条件(労働時間、賃金等)が適正であることが求められます。

参考:出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン

技人国ビザの更新手順

技人国ビザの更新手順について、必要な書類と更新方法を解説します。

必要な書類

技人国ビザの更新に必要な書類は、企業の各カテゴリー(1~4)に加えて外国人本人が同じ企業で働くのか(転職なし)、又は別の企業で働くのか(転職あり)で異なります。

本章では、以下2つのケースについて解説します。

  • 外国人材が同じ企業で働く場合(転職なし)
  • 外国人材が別の企業で働く場合(転職あり)

必要書類|同じ企業で働く場合(転職なし)

【必要書類一覧(継続)|各カテゴリー共通】
1. 在留期間更新許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝|申請前6ヶ月以内に撮影したもの)
3.パスポート、在留カード(提示)
4.企業の各カテゴリーに対応した必要書類(※2)

(※2)企業のカテゴリーに対応した必要書類には、「会社の四季報」「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」(写し)「住民税の課税証明書及び納税証明書」などがあります。

カテゴリーごとに定められた必要書類について詳細は、出入国在留管理庁のホームページより在留資格「技術・人文知識・国際業務」をご確認ください。

必要書類|別の企業で働く場合(転職あり)

「技人国ビザ」の在留資格のまま別の企業に転職する場合、上記の書類に加え別途書類が必要になります。外国人本人がカテゴリー3又は4の企業に転職した場合、以下の書類が必要です。(※1)

(※1)転職先企業のカテゴリーが、1又は2の場合は不要です。

【必要書類一覧(転職)|カテゴリー3・4共通】
1. 活動内容が分かる資料(労働条件を明示する文書等)
2.登記事項証明書
3.事業内容が分かる資料(勤務先の案内書等)
4.直近年度の決算書の写し(新規事業の場合は事業計画書)

なお、カテゴリー4に該当する企業(※2)の場合、「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を提出できない理由を明示する資料(※3)の提出も求められます。

(※2)カテゴリー4に該当するのは、新規事業を起こしたばかりの企業や個人事務所などです。

(※3)例えば、直近3ヶ月分の給与所得・退職等の所得税徴収高計算書等を提出します。

参考:出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」

更新方法

技人国ビザの更新方法は、以下の通りです。

【技人国ビザ更新方法】準備(必要書類)申請(在留期間更新許可申請書)審査許可

1) 準備(必要書類)
技人国ビザの更新に必要な書類を準備します。

2) 申請(在留期間更新許可申請書)
すべての書類が揃ったら、最寄りの出入国在留管理局の窓口へ出向くか、又はオンラインで申請します。申請を行うのは原則として外国人本人ですが、以下の方も申請可能です。

  • 代理人(本人に代わって法律行為を行う、または補助する方)
  • 取次者(雇用されている機関の職員・本人から依頼を受けた弁護士または行政書士)

なお、オンライン申請について詳しくは、出入国在留管理庁のホームページより「在留申請のオンライン手続」をご覧ください。

3) 審査
審査にかかる期間は、2週間~1ヶ月程度です。

4) 許可
許可が下りたら、申請者宛に審査結果を知らせるハガキが届きます。出入国在留管理局からハガキが届いたら以下を持参し、窓口で新しい在留カードを受け取りましょう。

  • 審査結果のハガキ
  • 手数料6,000円(オンライン申請の場合:5,500円)

なお、手数料は収入印紙で納付します。

技人国ビザ更新時の注意点

技人国ビザを更新する際の主な注意点は以下の4つです。

  • 在留カードの有効期限を必ず確認する
  • 転職した場合は職務内容と契約内容をチェックする
  • 住民税などの納税状況を確認する
  • 入管から追加書類を求められる場合がある

それでは、1つずつ詳しくみていきましょう。

在留カードの有効期限を必ず確認する

在留カードに記載されている有効期限を必ず確認しましょう。技人国ビザの有効期限(5年3年1年又は3ヶ月)は、外国人本人が付与された在留カードに記載されています。

有効期限が切れた場合、不法滞在となってしまうため、必ず有効期限を確認して、期限内に更新手続きを行いましょう。

転職した場合は職務内容と契約内容をチェックする

転職した場合は、以前の職場と同じ職務内容か、又、業務内容は十分にあるかなどの契約内容をチェックしましょう。取得している技人国ビザは、前職に応じて付与された資格です。もし、転職先の職務内容が技人国ビザに該当しないと判断された場合や業務内容が十分でない場合 ケースなど、更新を許可されない可能性があります。転職した際は、業務内容・職務内容を慎重に確認することが重要です。

住民税などの納税状況を確認する

住民税や健康保険等の納税状況を確認しましょう。未納額がある場合、技人国ビザの更新を申請しても許可されない可能性が高まります。必ず事前に確認し、もし未納額がある場合は納付したうえで申請しましょう。

入管から追加書類を求められる場合がある

技人国ビザの更新を申請した後で、入管から追加書類を求められることがあります。よくあるケースは以下のとおりです。

  • 申請書類に不備があり提出を求めたい
  • 技人国ビザに該当する業務内容か確かめたい
  • 業務内容は十分にあるか確かめたい

上記の場合、入管から「資料提出通知書」が郵送又はメールで送られてきます。入管からの通知をそのままにしておくと不許可になるリスクが高まるため、丁寧な対応が必要です。

もし、何を書いたらいいのか分からなかったり、書類を揃える時間がない場合は、行政書士などの専門家に相談しましょう。

まとめ

本記事では、技人国ビザの更新について以下の内容をお伝えしました。

技人国ビザの更新とは
・在留資格「技術・人文知識・国際業務」で就労中で、資格は変更せずに継続して日本で働く場合に行う申請
・更新できるタイミングは在留期間が満了する3ヶ月前から
・更新できる人は、技人国ビザで日本に滞在し現在の在留期間を超えて活動したい外国人材
・更新できる条件(技人国ビザに該当する活動を行う等)

技人国ビザの更新手順
・必要な書類(在留期間更新許可申請書等|転職あり・なしで異なる)
・更新方法(①必要書類の準備②申請③審査④許可)

技人国ビザ更新時の注意点
・在留カードの有効期限を確認すること
・転職の場合は、職務内容と契約内容をチェックすること
・納税状況を確認すること(住民税など)
・入管から追加書類を求められる場合もあること

技人国ビザの更新は、日本で働き続けたい外国人の方にとって、安定した生活の基盤を作るための必要不可欠な手続きとなります。また、企業側も、優秀な外国人材を職場に定着させるうえで避けては通れない事務処理です。

本記事が、技人国ビザ更新の手続きをスムーズに行い、外国人スタッフに安心して働き続けてもらえるようお役に立てたら幸いです。

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技人国ビザエンジニアとは?取得条件・申請方法・注意点を徹底解説!

IT人材が不足する傾向にある近年、注目されているのが外国人エンジニアです。
しかし、「ITエンジニアとして働きたいけど、手続きが難しそう…」「外国人エンジニアを雇用したいけど、必要書類や手続きなど何から始めたらいいの?」そうお悩みの方も多いのではないでしょうか?

日本でエンジニアとして働く外国人の方の間で、一般的な資格は技人国(ぎじんこく)ビザです。ちなみに、技人国ビザとは在留資格「技術・人文知識・国際業務」の通称で、入国のための査証(ビザ)のことではありません。

本記事では、在留資格「技人国ビザ」の中でも、ITエンジニアとして働きたい、又は外国人のITエンジニアを雇用したい方に向けて、

  • 働ける職種
  • ビザの取得条件
  • ビザの申請方法・注意点

などを分かりやすく解説します。

エンジニアとしてのスキルを日本で活かしたい、技人国ビザを申請する具体的な手順を知りたいとお考えの方はぜひ最後までご覧ください。

技人国ビザ エンジニアとは

技人国ビザ「エンジニア」とは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」のうち、「技術」の分野です。

「技術」に該当するのは、理学、工学、その他自然科学(農学・医学・歯学等)に関わる技術や知識を必要とする業務で、エンジニア職もその中に含まれます。在留期間は5年、3年、1年又は3ヶ月となっており、更新することで日本で働き続けることが可能です。

技人国ビザ エンジニアで働ける職種

技人国ビザでエンジニアとして働ける職種には、以下のようなものが挙げられます。

  • システムエンジニア
  • ソフトウェアエンジニア
  • プログラマー
  • システム・技術開発

具体的には、ゲームメーカーでオンラインゲーム開発、自動車メーカーのプロダクトマネージャー、証券会社のシステム開発など、様々な職種に就くことが可能です。

技人国ビザ エンジニアの取得条件

技人国ビザを取得しエンジニアとして就労するためには、以下の3つの条件のうち、どれか1つを満たすことが必要です。

  • 学歴
  • 職歴、経験
  • 資格

それぞれ、詳しくみていきましょう

技人国ビザ エンジニア取得に必要な学歴

出入国在留管理庁が定める学歴の条件は以下の通りです。

  • 大学、又は短大卒業(日本・海外)
  • 専門学校卒業(日本)

ちなみに海外の専門学校卒業の場合、取得の条件を満たすことができません。

技人国ビザ エンジニア取得に必要な職歴・実務経験

技人国ビザの「技術」(エンジニア)を取得するには、10年以上の職歴・実務経験が必要です。この場合、就労しようとする仕事と関連する業務内容であることが求められます。

なお、大学や専門学校で専攻した期間も実務経験に含まれます。

技人国ビザ エンジニア申請に必要な資格

ITエンジニアとして技人国ビザを取得する場合、情報処理技術者の資格を得ることで申請が可能です。経済産業大臣が実施する「情報処理安全確保支援士試験」や「情報処理技術者試験」に合格することで、資格を取得できます。

また、中国、ベトナム、フィリピンなどで実施される情報処理関連の試験も同様です。上記の情報処理技術者の資格を取得すれば、学歴や職歴などの経験がなくても、技人国ビザを申請することができます。

試験の内容など、詳しくは「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」をご覧ください。

技人国ビザ エンジニアの審査期間・必要書類・申請の流れ

エンジニアとして技人国ビザを申請する場合の、審査にかかる期間、必要書類、申請の流れを解説します。 

 技人国ビザ エンジニア申請にかかる審査期間の目安

外国人エンジニアが技人国ビザを申請する際にかかる期間の目安は、以下の通りです。

  • 新たに海外から外国人を呼び寄せる場合(認定):48.9日
  • 滞在中の外国人を雇用する場合(変更):36日

参考:出入国在留管理庁「在留審査処理期間(日数)

ただし、新たに海外から入国する外国人エンジニアには特例が設けられています。

具体的には、「国家戦略特区」に指定されている地方自治体に雇用される場合、通常1~3ヶ月ほどかかる審査期間が短縮され、1ヶ月を目処に処理されます。

参考:出入国在留管理庁「国家戦略特別区域外国人エンジニア就労促進事業実施要綱

技人国ビザ エンジニア申請で必要な書類一覧

エンジニアとして技人国ビザを申請する際の必要書類は、就労先企業のカテゴリーと、申請の種類によって異なります。

カテゴリーは、企業の規模によってカテゴリー1~4に分類されています。詳しくは、出入国在留管理庁のホームページより在留資格「技術・人文知識・国際業務」をご確認ください。

本章では、以下の2つのケースについて必要書類を説明します。

  • 海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)
  • 留学中の外国人を雇用する場合(変更)

必要書類|海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)

新たに海外から外国人を呼び寄せる場合の必要書類(カテゴリー1~4共通)は以下の通りです。

【必要書類一覧(認定)|各カテゴリー共通】
1. 在留資格認定証明書交付申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝|申請前6ヶ月以内に撮影したもの)
3.返信用封筒(定型、宛先記載、簡易書留用の切手貼付)
4.企業の各カテゴリーに対応した必要書類(※2)
5.専門士又は高度専門士の称号を付与された証明書(専門学校を卒業し称号を付与された方)

必要書類|留学中の外国人を雇用する場合(変更)

日本に留学中の外国人を雇用する場合の必要書類(カテゴリー1~4共通)は以下の通りです。

【必要書類一覧(変更)|各カテゴリー共通】
1. 在留資格変更許可申請書
2.写真(縦4㎝×横3㎝|申請前6ヶ月以内に撮影したもの)
3.パスポート、在留カード(提示)
4.企業の各カテゴリーに対応した必要書類(※2)
5.専門士又は高度専門士の称号を付与された証明書(専門学校を卒業し称号を付与された方)

(※2)企業のカテゴリーに対応した必要書類には、「会社の四季報」や「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」(写し)などがあります。

なお、事業を立ち上げたばかりの企業や個人事務所などで、提出する書類がない場合は「カテゴリー4に」該当します。カテゴリーごとに定められた必要書類は、出入国在留管理庁のホームページより在留資格「技術・人文知識・国際業務」をご確認ください。

技人国ビザ エンジニア申請の流れ

エンジニアとして技人国ビザを申請する流れについて、以下の2つのケースを紹介します。

  • 海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)
  • 留学中の外国人を雇用する場合(変更)

申請の流れ|海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)

【海外から外国人を呼びよせる(認定)】①学歴・職歴の確認② 契約を結ぶ③申請(在留資格認定証明書交付)④送付(在留資格認定証明書)⑤申請(査証)⑥入国⑦在留カード交付⑧就労開始

①学歴・職歴の確認
外国人本人の学歴や職歴が、技人国ビザのエンジニアに該当しているかを確認します。

②契約を結ぶ
企業と外国人本人の間で雇用契約を結びます。

③申請(在留資格認定証明書交付)
企業側が、出入国管理局で「在留資格認定証明書」の交付を申請します。

④送付(在留資格認定証明書)
在留資格認定証明書を外国にいる本人へ送付します。

⑤申請(査証)
外国人本人が、在留資格認定証明書を持参し日本大使館などでビザ(査証)を申請します。

⑥入国
ビザが発給されたら入国できます。ビザの有効期限は発給の翌日から3ヶ月以内ですので、期間内に入国しましょう。

⑦在留カード交付
入国手続きが済んだら、外国人本人に在留カードが交付されます。在留カードとは、適法な在留資格と在留期間で日本に滞在するための「証明書」及び「許可証」として発行されるカードです。

⑧就労開始
就労を開始します。

申請の流れ|留学中の外国人を雇用する場合(変更)

【留学中の外国人を雇用する(変更)】①学歴の確認②契約を結ぶ③申請(在留資格変更許可申請書交付)④就労開始

①学歴の確認
外国人本人の学歴が、技人国ビザのエンジニアに該当しているかを確認します。

②契約を結ぶ
企業と外国人本人の間で雇用契約を結びます。

③申請(在留資格変更許可申請書交付)
外国人本人が、現在の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」への変更許可を申請します。

④就労開始
就労を開始します。

技人国ビザ エンジニア取得の注意点

エンジニアとして技人国ビザを取得する際の主な注意点は以下の2つです。

  • 就職先で担当する業務内容が自分の学歴と関連すること
  • 資格外活動許可の有無を確認すること

就職先で担当する業務内容が自分の学歴と関連すること

技人国ビザを取得しエンジニアとして働く場合は、就職先の業務内容と学歴が一致するよう気をつけましょう。

就職先がIT系の企業であっても、従事する仕事内容がシステムエンジニアやプログラマーではなく通訳や事務等の場合、技人国ビザは取得できません。業務内容と在留資格が異なると、不法就労となるリスクもあるため注意が必要です。

資格外活動許可の有無を確認すること

留学生を雇用する際は、学生時代にアルバイトをした場合に「資格外活動許可」を得ていたかどうか、事前に確認することが重要です。

もし、許可を得ずにアルバイトをしていた場合、「素行不良」とみなされ、技人国ビザを申請しても不許可になってしまいます。

さらに、許可を得ていた場合でも、アルバイトできる時間には週28時間以内という制限があります。それを超えてアルバイトをしていた場合も同様です。技人国ビザ取得にあたり、本人の素行は慎重に審査されるため注意しましょう。

ここまで紹介してきたように、エンジニアとして技人国ビザを取得するには、複雑な手続きや法律関連の知識が必要です。ミスなく手続きを完了させたいとお考えなら、行政書士など専門家の無料相談を活用するのもおすすめです。

まとめ

本記事では、技人国ビザエンジニアについて以下の内容をお伝えしました。

●技人国ビザエンジニアとは
・在留資格「技術・人文知識・国際業務」の「技術」の分野

●技人国ビザエンジニアで働ける職種
(システムエンジニア・ソフトウェアエンジニア・プログラマー等)
●技人国ビザ エンジニアの取得条件
・学歴(日本及び海外の大学・短大卒、日本の専門学校)
・職歴、実務経験(10年以上)
・資格(情報処理技術者)

●技人国ビザ エンジニアの審査期間・必要書類・申請の流れ
・審査期間(1~3ヶ月)
・必要書類
(海外にいる外国人:在留資格認定証明書交付申請書他・留学中の外国人:在留資格変更許可申請書他)
・申請の流れ(まず、学歴・職歴を確認する)

●技人国ビザ エンジニア取得の注意点
・業務内容と学歴の一致
・資格外活動許可の有無の確認

技人国ビザ「エンジニア」は、エンジニアとして働く外国人材の中で最も就労人数が多い資格です。

参考:経済産業省|情報処理振興課「IT人材を巡る現状について(データ編)」

外国人の方は、技人国ビザ「エンジニア」を取得することで、ITエンジニアとしてのスキルを日本で十分に活かすことができるでしょう。また、企業にとって技人国ビザ「エンジニア」を所持する外国人材の雇用は、自社の技術力向上やグローバルな展開に貢献すると期待できます。

本記事が、ITエンジニアとして日本で働きたい外国人の方や、外国人エンジニアを起用したいとお考えの担当者の方のお役に立てれば幸いです。

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自分でするビザ申請マニュアル|ビザに強い町田の行政書士監修

外国人の家族や友人を日本へ呼び寄せたい、外国人の方を採用したいとお考えの方にとって、ビザ申請は避けては通れない手続きですよね。
しかし、「ビザ申請を自分で行いたいけど、何から始めればいいかわからない…」そんなふうにお悩みではありませんか?

本記事では、ビザ申請を自分で行うために知っておきたいメリット・デメリットや具体的なステップなどをわかりやすく解説します。
ビザ申請に関する疑問を解消し、不安なく手続きを進めたいとお考えの方はぜひ最後までご覧ください。

ビザ申請は自分でできる?

ビザ申請は、原則として外国人本人が行う手続きのため、自分で申請することが可能です。ビザを申請する際に必要な書類は、本人が用意するものの他に、招へい人(※)が用意しなければならない書類もあります。
※ 招へい人:来日を望んでいる外国人を呼び寄せたい人のこと

必要な書類をきちんと準備し手順に沿って手続きすることで、自分でビザ申請をすることができます。
なお、外務省では相談窓口も設けられているため、自分で申請する際は、外国人在留支援センター(FRECS/フレスク)外務省ビザ・インフォメーションを活用するのもおすすめです。

ただ、相談窓口は、必要書類や申請書の書き方など一般的なことは教えてくれますが、ビザが許可されるために個別のサポートをしてくれることはほとんどありません。そのため、外務省のホームページ内にある「ビザ(査証)」をしっかり読み、自身に合った書類を揃えることが必要です。

スムーズにビザを取得するため、自分で申請する場合は書類の記入漏れがないよう慎重に進めましょう。

自分でビザ申請するメリット・デメリット

自分でビザ申請をする際のメリットとデメリットについて解説いたします。

自分でビザ申請するメリット

自分でビザ申請する際のメリットは、以下の2つが挙げられます。

  • 専門家への委託費用がかからない
  • 知識・経験がつき次回以降の手続きがスムーズになる

詳しくみていきましょう。

専門家への委託費用がかからない

自分でビザ申請をすると、行政書士など専門家への委託費用がかかりません。

ビザ申請の手続きを行政書士などの専門家に依頼した場合、費用は申請内容によっても変わりますが、数万円から十数万円になるケースがほとんどです。

自分でビザ申請すれば、委託費用が発生しないことは、大きなメリットといえるでしょう。

知識・経験がつき次回以降の手続きがスムーズになる

自分でビザを申請をすると、知識と経験がつき次回以降の手続きがスムーズになります。特に、外国人を採用したい企業の担当者の方にとって、ビザ申請の手続きは、一回で終わりではないでしょう。

ビザ申請を自分で行うことで、知識と経験がつき次回からの手続きをよりスムーズに行えるようになることがメリットの一つです。ちなみに、在留資格の更新や変更が必要になった際にも、手続きにストレスを感じることが少なくなるでしょう。

自分でビザ申請するデメリット

自分でビザ申請するデメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • 許可の可能性が下がるリスクがある
  • 手続きに膨大な手間と時間がかかる
  • 専門用語が難しく理解しづらい

それでは一つずつ詳しくみていきましょう。

許可の可能性が下がるリスクがある

ビザ申請の手続きは煩雑なため、自分で行うと許可が降りる可能性は低くなるといわれています。要件を十分に理解できていなかったり、必要書類に不備が見つかる場合があるためです。

きちんと揃っていれば許可が降りるケースでも、書類ひとつで不許可になる場合があります。このように、自分ですると許可の可能性が下がるリスクがあることはデメリットといえます。

手続きに膨大な手間と時間がかかる

自分でビザ申請をするデメリットの2つ目は、手続きに膨大な手間と時間がかかることです。適したビザの種類や必要書類、申請時期など、すべてを自分で調べる必要があります。

また、必要な書類は一律に決まっているわけではありません。資格の種類や個々の状況に応じて揃える書類が異なります。そのため、自分に必要な書類を漏れなく揃えることも、決して簡単ではありません。さらに、書類によっては市役所へ出向かなければ揃えられないものもあります。

このように、自分でビザ申請をすると非常に手間と時間がかかってしまうのです。

専門用語が難しく理解しづらい

3つ目のデメリットは、ビザ申請に使われる専門用語が難しく理解しづらい点です。外国人本人が自分でビザ申請をする場合、専門用語が多く内容も煩雑なため、正しく理解するのは容易なことではないでしょう。
また、招へい人が準備する必要書類に関しても、細かな要件や資格内容を正しく把握するのは、かなり困難です。

専門用語を理解しないまま書類を提出した場合、要件を満たせているのかの判断すら難しいケースもあるため不許可になる確率が高まります。

自分でビザ申請する手続き

自分でビザを申請する場合の一般的な手続きの流れを紹介します。

【自分でビザ申請する手続き】

STEP1.準備
招へい人及び身元保証人が、必要書類を準備する

ビザ申請に必要な書類は、入国の目的や国籍などによって異なります。
詳しくは、外務省のホームページより「ビザ(査証)」のページをご覧ください。

STEP2.郵送
招へい人及び身元保証人が、揃えた必要書類を外国人本人に郵送する
STEP3.申請
外国人本人が、書類を在外公館の申請窓口に提出しビザ申請を行う

ビザ申請者は、届いた書類を持ってお住まいの日本大使館・総領事館・領事事務所などの申請窓口へ出向き、書類を提出し申請します。

なお、ビザ申請の手続きは日本国内では行えません。

STEP4.審査
在外公館で審査が行われる

在外公館での審査にかかる期間は、何も問題ない場合1週間ほどです。しかし、書類に不備があると1ヶ月以上かかることもあるため、書類の準備は慎重に行いましょう。

STEP5.ビザ発給
審査結果の通知が在外公館から本人へ届く

通知が届いたら在外公館へ出向き、預けていたパスポートとビザを受け取ります。

自分でビザ申請する具体的な手順

自分でビザ申請をする具体的な手順は、目的によって以下の3つに分類されています。

  • 短期滞在ピザ
  • 就労・長期滞在ビザ
  • 医療滞在ビザ

それぞれ詳しくみていきましょう。

短期滞在ビザ手続き

観光や親族訪問など収入を伴わない90日以内の滞在の場合、短期滞在ビザの手続きが必要です。

【短期滞在ビザ申請の手順

【手順1】
ビザ申請人(本人):パスポート、ビザ申請書、写真、その他必要書類を準備する。
招へい人:招へい理由書、滞在予定表などを準備する。

【手順2】
招へい人:必要書類が揃ったら、ビザ申請人(本人)へ送付する。

【手順3】
ビザ申請人(本人):居住地の日本大使館又は総領事館に書類を提出し、ビザを申請する。

【手順4】
ビザ申請人(本人):審査修了の通知を受け取ったら、日本大使館または総領事館へ出向き、ビザを発給してもらう。

【手順5】
ビザ申請人(本人):ビザ有効期間の3ヶ月以内に日本に入国する。

必要書類は、ビザ申請人の国籍や申請の目的によって異なります。詳しくは、外務省のホームページより「ビザ(査証):短期滞在」をご確認ください。

就労・長期滞在ビザ手続き

日本で働く場合や留学、日本人の配偶者がいる場合等、就労・長期滞在ビザの手続きが必要です。

【就労・長期滞在ビザ申請の手順

【手順1】
ビザ申請人(本人):パスポート、ビザ申請書、写真、その他必要書類を準備する。
招へい人:地方出入国管理局へ「在留資格認定証明書」交付を申請する。

【手順2】
招へい人:交付された「在留資格認定証明書」を、ビザ申請人(本人)へ送付する。

【手順3】
ビザ申請人(本人):居住地の日本大使館又は総領事館に書類を提出し、ビザを申請する。

【手順4】
ビザ申請人(本人):審査修了の通知を受け取ったら、日本大使館または総領事館へ出向き、ビザを発給してもらう。

【手順5】
ビザ申請人(本人):ビザ有効期間の3ヶ月以内に日本に入国する。

該当する職業や必要書類など、詳しくは外務省のホームページより「就労や長期滞在を目的とする場合」をご覧ください。

医療滞在ビザ手続き

医療滞在ビザの手続きが必要なのは、治療、人間ドック、温泉湯治などの療養が目的で来日される方です。

【医療滞在ビザ申請の手順

【手順1】
ビザ申請人(本人):身元保証機関(※)を確認のうえ日本の受け入れ医療機関を決め「医療機関による受診等予定証明書及び身元保証機関による身元保証書」を受け取る。
身元保証機関のリスト1(登録医療コーディネーター等) 身元保証機関のリスト2(登録旅行会社)のリスト)

【手順2】
ビザ申請人(本人):パスポート、ビザ申請書、写真、その他必要書類を準備する。

【手順3】
ビザ申請人(本人):居住地の日本大使館又は総領事館に書類を提出し、ビザを申請する。

【手順4】
ビザ申請人(本人):審査修了の通知を受け取ったら、日本大使館または総領事館へ出向き、ビザを発給してもらう。

【手順5】
ビザ申請人(本人):ビザ有効期間内に日本に入国する。(必要に応じ3年:ビザ申請者本人の症状等で異なる)

同伴者や必要書類など、詳しくは外務省のホームページより「医療滞在ビザを申請される外国人患者等の皆様へ」をご覧ください。

よくある質問と解決策

以下に、外国人の方のビザ申請について、よくある質問と解決策をまとめたのでご確認ください。

Q1:ビザの申請をしてから許可が下りるまで、何日くらいかかりますか?

A1:提出した書類に何も問題なければ、1週間ほどです。しかし、不備がある場合、1ヶ月以上かかるケースもあります。

Q2:ビザを申請する際、外国人本人が日本大使館や総領事館へ行く必要はありますか?

A2:原則として、ビザ申請人本人が日本大使館または総領事館へ出向いて申請しますが、他にも次のような方法があります。

  • 日本大使館または総領事館が承認した代理人
  • 日本大使館または総領事館が承認した代理申請機関
  • オンライン申請

※上記の方法は、各国地域によって認められない場合もありますので、お住まいの大使館または総領事館で事前にご確認ください。

Q3:外国人を日本に呼びたいのですが、どのような手続きが必要ですか?

A3:外国人の方の目的が短期滞在の場合、招へい理由書と滞在予定表が必要です。また、目的が長期滞在の場合は、まず出入国在留管理局で「在留資格認定証明書」の交付を申請する手続きを行ってください。

外国人の方の国籍や状況により、その他の必要書類が異なりますので、詳しくは外務省のホームページより「ビザ(査証)」をご覧ください。

Q4:ビザ申請を自分でするのと専門家に依頼するのではどちらが早く発行できますか?

A4:ビザ申請を自分でするのと専門家に依頼するのでは、専門家に任せる方が早く発行できる傾向にあります。その理由は、自分でビザを申請する場合、必要書類を揃えたり資料を作成するなど慣れない作業に時間がかかるからです。

さらに、書類に不備がある場合は外務省の審査にも時間がかかるでしょう。一方、行政書士などの専門家に依頼すれば、申請までの事務処理がスムーズです。
許可が降りやすい書類の書き方も熟知しているため、ビザを取得する時間が短縮される可能性は高まります。

専門家のサポートを上手に利用する方法

行政書士などの専門家のサポートを上手に利用する方法は、主に以下の2つです。

  • ビザ申請の無料相談を活用する
  • 専門家の得意分野とビザを申請する目的が合っている所を選ぶ

以下にそれぞれ詳しく解説します。
専門家のサポートを活用することで、時間や手間を節約でき不許可のリスクも減らせるため、ぜひチェックしてください。

ビザ申請の無料相談を活用する

行政書士などの専門家のサポートを上手に利用するには、無料相談を活用するのがおすすめです。行政書士の中には、無料相談を受け付けているところがあります。まずは、専門家の無料相談を活用し、ご自身の状況や希望を伝え、どのようなサポートが受けられるのかを把握しましょう。

また、行政書士のサポートを上手に利用するためには、オンラインでの無料相談は可能か、土日も相談できるかなどもあらかじめ確認しておきましょう。

専門家の得意分野とビザを申請する目的が合っている所を選ぶ

専門家の得意分野とビザを申請するご自身の目的がピッタリ合っている所を選ぶことも、サポートを上手に活用するポイントです。

ひと口に行政書士といっても、許認可申請、契約書作成など得意分野はそれぞれ違います。そのため、専門家のサポートを上手に利用するためには、ビザ申請が得意な専門家を選ぶことが重要です。

まとめ:自分でするビザ申請は細心の注意をはらいましょう

本記事では、ビザ申請を自分でする際のポイントについて解説しました。

ビザ申請の手続きは自分でできる

自分でビザ申請するメリット
・専門家への委託費用がかからない
・知識・経験がつき次回以降の手続きがスムーズになる

自分でビザ申請するデメリット
・許可の可能性が下がるリスクがある
・手続きに膨大な手間と時間がかかる
・専門用語が難しく理解しづらい

自分でビザ申請する手続き(準備→郵送→申請→審査→ビザ発給)
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ビザ申請は複雑ですが、手続きを慎重に進められれば自分で申請することも可能です。しかし、専門家のサポートを利用すれば、必要な時間や労力が減ることはもちろん、不許可のリスクを大幅に減らせるでしょう。

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技人国ビザとは?取得条件・必要書類・申請方法をプロが徹底解説

「技人国ビザの取得には、どんな条件を満たせばいいの?」「外国人を雇用したいけど、手続きが複雑で大変そう…」こういったお悩みをお持ちではありませんか?

本記事では、技人国ビザについての基本的な知識から、必要書類、申請手順、注意点などを分かりやすく解説します。

ちなみに、技人国ビザとは在留資格の種類の1つで、入国する際に必要なビザ(査証)とは異なります。今回は、在留資格「技人国」についてのご紹介です。

「専門知識を活かして日本で働きたい」「優秀な外国人を獲得し、多様な人材を活用したい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

 技人国ビザとは

技人国(ぎじんこく)ビザとは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の一般的な名称です。以下に、技人国ビザについて、基本的なことと就労できる職種について紹介します。

 技人国ビザの基本概要

技人国ビザとは、在留資格の種類のうち「就労」に分類される資格です。外国人が大学や専門学校で培った専門知識や技術、または母国での職務経験や文化・言語に関する知識を活かして日本で働くことが、技人国ビザの目的です。

技人国ビザの在留期間は5年、3年、1年又は3ヶ月ですが、更新回数に制限はないため、更新を続ければ日本で働き続けることができます。

技人国ビザは、「特定技能」の在留資格と混同されがちですが、2つの違いはそれぞれの目的にあります。特定技能ビザは、主に人手不足の解消が目的ですが、技人国ビザは、専門知識やスキルの活用が目的です。

 技人国ビザで就ける職種

技人国ビザで就ける職種は、大きく分けると以下の3つに分類されます。

  • 技術
  • 人文知識
  • 国際業務

1)技術
主に理学や工学などの理系分野を専攻した人が就く業務で、専門的・技術的な高度な知識が求められます。

【具体例】
・プログラマー
・CAD、CAEのシステム解析
・自動車メーカーで技術開発
・土木及び建築の研究開発、設計
・情報セキュリティ関連業務

2)人文知識
主に法学や経済学、社会学などの文系分野を専攻した人向けの業務で、学問的・体系的な知識が必要です。

【具体例】
・弁護士候補
・マーケティング、広報
・経営コンサルタント
・営業、管理部門の幹部候補
・海外事業部での会計業務

3)国際業務
外国に特有な文化に根差した、一般の日本人が有しない思考方法や感受性が求められます。外国人ならではの強みや感性を活かした業務です。

【具体例】
・語学教師
・通訳、翻訳
・ファッションコーディネーター
・カーデザイナー
・空港旅客業務

技人国ビザの取得条件

技人国ビザの主な取得条件は以下の6つです。

1.技人国ビザ取得に必要な学歴・職歴があること

技人国ビザを取得する条件の1つ目は、必要な学歴や職歴があることです。以下、表にまとめましたのでご覧ください。

【技人国ビザに必要な学歴・職歴】

職種学歴職歴
技術・人文知識・本国又は日本の大学院、大学、短期大学卒業・日本の専門学校卒業・関連分野で10年以上の職務経験
国際業務不問・関連分野で3年以上の職務経験・翻訳、通訳、語学教育の場合、実務経験不(大卒者)

技術・人文知識は、上記の学歴がなくても、関連する分野で10年以上の職務経験を積んでいれば、技人国ビザを取得できます。一方、国際業務の場合、学歴は不問です。高校卒業や日本語学校卒業でも、上記で紹介した職歴の要件を満たすことで技人国ビザの取得は可能です。

なお特例として、IT技術者については、法務大臣が定める「情報処理技術」に関する試験又は資格に合格していれば、学歴・職歴は問われません。

技人国ビザと学んだ内容・職務内容の関連性があること

技人国ビザを取得する2つ目の条件は、技人国ビザと学んだ内容・職務内容に関連性があることです。技人国ビザを取得するためには、専攻した学科や卒業後の実務経験と、日本で従事しようとする業務内容が関連していることが求められます。

実務経験の場合、従事しようとする業務と全く同じ実務経験である必要はありませんが、関連する業務であることは必須の条件です。

勤務先企業の経営状況が安定していること

技人国ビザを取得する3つ目の条件は、外国人労働者が勤務する企業の経営状況が安定していることです。報酬や環境などの面で、外国人が安定して継続的に働ける基盤がその会社に整っていることが求められます。

雇用の必要性・業務内容が十分であること

技人国ビザを取得する条件の4つ目は、雇用の必要性・業務内容が十分にあることです。技人国ビザは、外国人がこれまでに身につけた専門知識や経験を活かした業務に就くことが求められます。

技人国ビザは、単純労働や専門知識が不要な業務には適用されません。日本人ではなく外国人を雇用する必要性と業務内容の十分な確保が、取得するための条件です。

日本人と同等以上の給与が支払われていること

技人国ビザを取得する条件の5つ目は、日本人と同等以上の給与が支払われていることです。業務内容が同じにもかかわらず、日本人が受ける報酬よりも少ない場合、技人国ビザを取得することはできません。

参考:出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

上記「在留資格の明確化等について」に明記されている通り、技人国ビザを取得するには、外国人労働者が日本人と同等以上の給与で雇用されることが求められます。

素行や法令順守に問題がないこと

素行や法令順守に問題がないことも、技人国ビザを取得するための重要な条件です。
例えば、以下の点について慎重に審査されます。

  • 退去強制や逮捕歴・犯罪歴がない
  • 住民税、国民健康保険料などの滞納や未納がない
  • 在留資格の範囲内で活動している
  • 届出等の義務を果たしている(在留カードの有効期限更新、所属機関の変更など)
  • アルバイトをする際は国で許可された勤務時間を守っている

技人国ビザを取得するには、素行に問題がないことと法令を順守していることが求められます。

技人国ビザ申請に必要な書類

本章では、技人国ビザの申請に必要な書類について説明します。海外から外国人を新たに呼び寄せる(招へい)場合と、日本に滞在中の留学生を雇用したい場合、必要書類がそれぞれ違うためご確認ください。

海外から外国人を呼び寄せる場合(認定)の必要書類

【認定|共通】
・在留資格認定証明書交付申請書
・写真(縦4㎝×横3㎝|申請前6ヶ月以内に撮影した写真) 1葉
・返信用封筒(定型、宛先記載、簡易書留用の切手貼付)
・専門士又は高度専門士の称号を付与された証明書(取得要件が専門士又は高度専門士の場合)
・会社の規模(カテゴリー1~4)に対応した必要書類(※)

日本滞在中の留学生を雇用する場合(変更)の必要書類

【変更|共通】
・在留資格変更許可申請書
・写真(縦4㎝×横3㎝|申請前6ヶ月以内に撮影した写真) 1葉
・パスポート及び在留カード(提示)
・専門士又は高度専門士の称号を付与された証明書(取得要件が専門士又は高度専門士の場合)
・会社の規模(カテゴリー1~4)に対応した必要書類(※)

(※)会社の規模によって、必要書類はカテゴリー1〜4に分類されています。

提出に必要な書類は各カテゴリーで大きく異なります。詳しくは、出入国在留管理庁のホームページより在留資格「技術・人文知識・国際業務」をご確認ください。

企業の各カテゴリーについては、後述する「技人国ビザ申請時の注意点」で詳しく解説しています。書類に不備があると、一度で許可が降りないケースもあります。このようなリスクをなくしたいとお考えの方は、行政書士に相談してみるのもおすすめです。

 技人国ビザの申請手順

技人国ビザ申請の手順について、申請の流れや取得までにかかる期間を解説します。新たに外国人を呼び寄せる場合と日本に滞在中の留学生を雇用したい場合の2パターンを説明しますので、ご覧ください。

 技人国ビザ申請の流れ

技人国ビザ申請手順①海外から外国人を呼び寄せる

STEP1.「在留資格認定証明書」の交付申請をする
申請は、本人に代わって受入れ機関の職員や行政書士などが行います。
STEP2. 「在留資格認定証明書」を外国人本人へ送付する
「在留資格認定証明書」は代理で申請した方の住所へ届くため、海外の本人のもとへ郵送します。
STEP3. 外国人本人がビザ申請をする
外国人本人は、届いた「在留資格認定証明書」を持って在外公館(日本の大使館または領事館)へ行き、ビザ(査証)を申請します。
STEP4. 外国人本人が来日し就労する
外国人本人は交付されたビザ(査証)を持って来日し仕事を始めます。

技人国ビザ申請手順②滞在中の留学生を雇用する

STEP1. 企業が外国人と雇用契約を結ぶ
STEP2.「在留資格変更許可申請書」の交付申請をする
申請は、本人又は企業の担当者、行政書士などの取次者が行います。
STEP3.技人国ビザの在留カードを受け取る
本人が、 申請結果の通知ハガキと卒業証書を持って出入国在留管理局へ出向き、在留カードを受け取ります。
STEP4.仕事を始める

雇用契約は、在留資格の変更手続きよりも先に行います。

理由は、在留資格の変更手続きをする際、必要書類として、企業の労働条件を明示する文書や決算書の写しなどを提出する必要があるためです。

技人国ビザ申請から取得までにかかる期間

技人国ビザの申請から取得までの期間は、以下の通りです。

  • 在留資格認定証明書交付 1~3ヶ月
  • 在留資格変更 1~2ヶ月

参考:出入国在留管理庁「在留手続」

技人国ビザは、申請してすぐに許可が下りるものではありません。申請手続きをする際は、日数に十分な余裕を持ちましょう。

技人国ビザ申請時の注意点

技人国ビザを申請する際の主な注意点は、以下の2つです。

  • 企業のカテゴリーに対応した書類を提出すること
  • 技人国ビザで単純作業はできない

以下に詳しく説明します。

企業のカテゴリーに対応した書類を提出すること

技人国ビザを申請する際の1つ目の注意点は、企業のカテゴリーに対応した書類を提出することです。技人国ビザの申請については、企業の規模によってカテゴリー1~4に分類されており、必要書類はそれぞれ違います。企業の規模によるカテゴリーは以下の通りです。

【カテゴリー1~4の区分】

区分企業の規模
カテゴリー1上場企業、保険業を営む相互会社等
カテゴリー2前年分の源泉徴収額1,500万円以上の団体・個人
カテゴリー3前年分の源泉徴収票の法定調書合計が提出された団体・個人
カテゴリー4カテゴリー1~3に該当しない団体・個人

上記のカテゴリーによって提出する書類は全く異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

技人国ビザで単純作業はできない

技人国ビザは習得した専門知識を活かして働くことを目的としているため、単純作業での就労はできません。業務の内容が、電話受付やタイヤの付け替え、パソコン等のデータ保存などの単純作業の場合、技人国ビザの対象外となります。。

審査で単純作業と判断された場合、不許可になる確率は高まります。申請時には、技人国ビザに該当する業務内容かどうかを、しっかり確認することが大切です。

まとめ

本記事では、在留資格の1つである技人国ビザについて以下の内容をお伝えしました。

・技人国ビザとは
 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の一般的な名称
 働ける職種は3つ(技術・人文知識・国際業務)

・技人国ビザ取得条件6つ
 必要な学歴・職歴を満たしている
 学んだ学科と業務に関連性がある
 勤務先の経営状況が安定している
 雇用の必要性と十分な業務量がある
 日本人と同等以上の給与の支払いがある
 素行や法令順守に問題がない

・技人国ビザ申請に必要な書類
 海外から外国人を呼び寄せる(在留資格認定証明書他)
 滞在中の留学生を雇用する(在留資格変更許可申請書他)

・技人国ビザの申請手順
 海外から外国人を呼び寄せる
(在留資格認定証明書の交付を申請する)
 滞在中の留学生を雇用する
(まず、企業と外国人との間で雇用契約を結ぶ)

・技人国ビザ申請~取得にかかる期間(1~3ヶ月)

・技人国ビザ申請時の注意点
 企業のカテゴリーに対応した書類を提出する
 単純作業はできない

本記事が技人国ビザについて詳しく知りたい方や、外国人を採用して企業の事業拡大を図りたい担当者の方のお役に立てれば幸いです。

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【2025年最新版】外国人雇用助成金完全ガイド|種類・申請~注意点

外国人雇用でもらえる助成金を検討されている企業経営者や担当者の方の中には、
「人手不足を解消したい」「外国人労働者が職場に定着してくれるよう助成金を利用したい」
このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

助成金を活用すれば、コストを抑えながら円滑に外国人の雇用を進めることができます。しかし、助成金の申請条件や手続き方法などが煩雑で分かりにくいと感じる方も少なくありません。

本記事では、外国人雇用でもらえる助成金についての基本的な知識から申請方法、注意すべきポイントまでを分かりやすく解説します。外国人雇用に関する助成金の手続きを、滞りなく進めたいとお考えの方はぜひ最後までご覧ください。

※厚生労働省が管轄する助成金の申請代行は社会保険労務士、その他の省庁や自治体が管轄するものは行政書士の業務と定められています。

外国人労働者の雇用で活用できる助成金とは

外国人の雇用で活用できる助成金とは、外国人労働者を雇用する企業が活用できる、返済の必要がない公的な給付金です。主に、厚生労働省、経済産業省、各地方自治体で取り組まれています。

助成金にはいくつかの種類があり、それらを上手く活用することで、企業側の負担を減らしながら、人材を育成することが可能です。

 助成金と補助金の違い

助成金と補助金は、どちらも返済不要の公的な支援金ですが、管轄や目的など、様々な違いがあります。以下に、助成金と補助金の違いを表にしてまとめました。

【助成金と補助金の違い】

助成金補助金
管轄主に厚生労働省各省庁(主に経済産業省、農林水産省等)・地方自治体
目的雇用、労働環境の安定・改善新規事業の支援・地域振興
給付額約数十万~数百万円約数百万円~数十億円
受給の難易度
公募期間通年一定期間

一般的に、助成金は要件を満たせば受給できますが、補助金には審査があるため、助成金より受け取るのが難しいと言われています。上記の表では助成金と補助金のおおまかな違いを紹介しました。

しかし、実際には、助成金という名目で補助金と似た内容のものもあります。詳細は、各省庁や自治体のホームページよりご確認ください。

外国人雇用に助成金が活用される背景

外国人の雇用に助成金が活用される背景には、少子高齢化による人手不足が挙げられます。そのため、外国人労働者の雇用を検討する企業が増えています。しかし、日本の雇用ルールや習慣に不慣れな外国人労働者の場合、労働条件や解雇などに関するトラブルが起こりがちです。

このようなトラブルを回避するため、国や自治体は外国人雇用に取り組む事業主に対して、経費の一部を支援しています。助成金を活用することで、外国人労働者の職場定着と育成を図ることができます。

 外国人雇用に関する主な助成金制度

本章では、外国人を雇用する際に活用できる主な助成金制度についてご紹介します。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは  

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは、外国人の方が働きやすいよう、職場環境の整備を行う事業主に対して給付される助成金です。

【受給要件】
外国人労働者(特別永住者および在留資格「外交」「公用」を除く)を雇用していること以下に挙げる外国人労働者に対する就労環境整備措置を導入し、実施すること 

【必須要件】   
(1)雇用労務責任者の選任   (2)就業規則の多言語化 

【いずれか一つ】  
(1)苦情・相談体制の整備   (2)一時帰国のための休暇制度の整備   (3)社内マニュアル・標識類の多言語化就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後に、外国人労働者の離職率が15%以下であること

【受給額】
1制度導入につき20万円(上限80万円)

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは、職業経験、技能、知識の不足により安定的な就業が難しい求職者を、一定の期間(原則3ヶ月間)試行雇用する事業主に対して給付される助成金です。

【受給要件】
ハローワークまたは、職業紹介事業者等の紹介で雇用すること原則3ヶ月のトライアル雇用をすること1週間の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間と同じであること(30時間以上)
【受給額】
月額4万円(最長3ヶ月)

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の労働者を正社員として雇ったり処遇の改善などに取り組んだ事業主に対して給付される助成金です。

キャリアアップ助成金には、以下の5つのコースが用意されています。

  • 正社員コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規程等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 社会保険適用時処遇改善コース
【受給要件】
雇用保険に加入していること事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いていることキャリアアップ計画を作成、管轄労働局長に提出していること労働条件、勤務状況、賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出法を明らかにできること
【受給額】
キャリアアップ助成金の受給額は、コースによって異なります。

キャリアアップ助成金の受給額等、詳しくは厚生労働省の「キャリアアップ助成金のご案内」(PDF)をご覧ください。

助成金には、ほかにも受給要件が細かく設定されています。詳しくは下記へお問い合わせください。
労働局 ハローワーク 申請窓口

助成金を受けるための基本要件と申請手続き

本章では、外国人雇用で助成金を受給する際の基本について、以下の3つの項目別にお伝えします。

  • 基本要件
  • 共通条件
  • 申請方法

基本要件

助成金を受け取るためには、まず、適切な在留資格を取得している必要があります。外国人の在留資格によっては雇用できないケースもあるため、採用する前に、外国人が取得している在留資格の種類や有効期間などをきちんと確かめましょう。

さらに、在留資格によっては助成金の対象外となるケースもあります。例えば、キャリアアップ助成金では、在留資格「技能実習」、また「EPA看護師・介護士」の試験合格前の場合は受給の対象外です。

このように、適切な在留資格を持っていることは助成金を受ける基本となる要件です。

共通条件

雇用に関する助成金には、以下のような共通の条件があります。

【雇用関係の助成金共通の要件】

  • 雇用保険適用事業主であること
  • 支給の審査に協力すること
    (1)審査に必要な書類を保管している
    (2)管轄労働局から必要書類等の提出を求められた際に応じる
    (3)管轄労働今日の実地調査に応じる
  • 申請期間内に申請を行うこと

参照:厚生労働省「各雇用関係助成金に共通の要件等

外国人の雇用に活用できる助成金のそれぞれの要件については「外国人雇用に関する主な助成金制度」を参考にしてください。 

外国人雇用の助成金|申請方法

外国人の雇用に使える助成金の申請方法を、簡単に紹介します。

【外国人雇用の助成金申請方法】
STEP1. 指定の書類を作成し、ハローワークへ提出するSTEP2. 指定の要項を外国人労働者へ実施するSTEP3. 実施期間の終了後に、ハローワークへ助成金の支給を申請する

助成金の詳しい申請方法等は、それぞれ下記のページよりご確認ください。

厚生労働省「人材確保支援助成金外国人労働者就労環境整備助成コースのご案内
厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のご案内
厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度)

外国人雇用の助成金|申請に必要な書類

外国人雇用の助成金を申請する際に必要な書類は、助成金ごとに異なります。詳細は下記のページを参考にしてください。

・人材確保支援助成金
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック(令和7年4月1日現在)|P16
・トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|【申請様式ダウンロード】
・キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)|P25

外国人雇用の助成金|手続きの流れ

外国人の雇用で受け取れる以下の助成金について、手続きの流れをご紹介します。

  • 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
  • トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
  • キャリアアップ助成金

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

【人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)】
就労環境整備計画を作成し、ハローワークに提出する↓就労環境整備措置を導入する↓就労環境整備措置を実施する↓実施後、ハローワークに助成金の支給を申請する

助成金の支給を申請できるのは、算定期間(実施日の翌日から6ヶ月間)が終了した後、2ヶ月以内です。詳しくは、厚生労働省「人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コースのご案内」をご覧ください。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

【トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)】
ハローワークにトライアル求人を申し込む↓雇入れから2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」をハローワークに提出する↓終了後、ハローワークに助成金の支給を申請する

助成金の支給を申請できるのは、トライアル雇用終了後2ヶ月以内です。詳しくは、厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のご案内」をご覧ください。

キャリアアップ助成金

【キャリアアップ助成金】
各コースを実施する前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、ハローワークへ提出する↓キャリアアップ計画書に基づいて実施↓6ヶ月間賃金を支払う↓終了後、ハローワークに助成金の支給を申請する

キャリアアップ助成金を申請するには、提出した「キャリアアップ計画」を労働局長に認可してもらう必要があります。また、助成金の支給を申請できるのは、6ヶ月の賃金を支払った日の翌日から2ヶ月以内です。

詳しくは、厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」をご覧ください。ちなみに、助成金の種類によっては併せて受給できるものもあります。事前に確認することで、助成金を最大限に受け取れるでしょう。

 なお、助成金の申請には郵送と電子申請の二つの方法があります。郵送の場合は、申請期間内にハローワークに届ける必要があります。簡易書留など、記録が残る方法での郵送が安心です。

助成金を活用するメリット

外国人の雇用に助成金を活用するメリットは、おもに以下の3つです。

以下より詳しくみていきましょう。

コスト削減につながる

助成金を活用することは、コスト削減につながります。
例えば、外国人を雇用する際の通訳費、翻訳料、専門家への委託料、社内設備の設置・改修費など、経費の一部を助成金で補うことができます。そのため、初期投資や運営費用を抑えることが可能です。

優秀な人材を確保しやすい

助成金を活用し雇用条件を改善することで、優秀な人材を確保しやすくなります。例えば、助成金を福利厚生の充実や研修体制の向上などに投資できるため、より優れた外国人労働者を雇用する機会が増えるでしょう。

従業員の育成・定着を図れる

助成金を活用することで、従業員の育成・定着を図ることが可能です。例えば、外国人労働者へのスキル研修や日本語研修を実施したり、キャリアアップを支援することもできます。

これにより、外国人労働者の能力向上と長期的な定着につながるでしょう。

助成金申請で注意すべきポイント

外国人を雇用する際、助成金の申請で注意すべきポイントを3つ紹介します。

以下より詳しくみていきましょう。

事前に受給要件を確認する

助成金を受け取るには、事前に受給要件を確認しておくことが重要なポイントです。助成金には受給要件が設定されており、要件は助成金ごとに異なります。

要件を満たしていないと支給されない可能性もあるため、外国人労働者はもちろんのこと、自社が受給要件を満たしているかを事前に確認しましょう。

助成金は後払いである

助成金は原則として後払いです。先に定められた取組みを実施し、その後申請書を提出、認定された後に支払われます。助成金の支給までに1年ほどかかる場合もあるため、計画的な活用が大切です。

実態と異なる書類等を提出しない

助成金を申請する際、実態と異なる書類を提出しないよう細心の注意を払いましょう。事実に反する書類を提出し助成金を申請すると、不正受給とみなされます。

悪質と判断された場合は、雇用関係の助成金がすべて3年間支給停止となってしまうため、故意ではなくとも虚偽の書類を提出しないよう十分に注意してください。

外国人雇用を支援するその他の制度

国の助成金や補助金以外にも、地方自治体では外国人の雇用を支援する様々な制度が設けられています。本章では、自治体独自の支援策や外国人労働者の生活支援制度をご紹介します。

自治体の独自支援策

全国の地方自治体では、それぞれの地域の実情に応じ、外国人向けに独自の支援策を展開中です。以下に一例をご紹介しましょう。

・東京都
名称:中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金(一般コース)
目的:日本語教育
参考URL:https://financeinjapan.com/finance/5756bEoX42ivHJ9IAWR8SP

・大阪府
名称:外国人介護人材受入促進事業
目的:就労支援
参考URL:https://www.pref.osaka.lg.jp/o090040/houjin/jinzai/ukeiresokusin.html

・沖縄県浦添市
名称:浦添市外国人人材受け入れ支援事業補助金【市内介護事業所向け】
目的:就労支援
参考URL:https://www.city.urasoe.lg.jp/doc/2025032800143/

自治体独自の制度の活用を検討する際は、お住まいの自治体の情報をご確認ください。

外国人労働者向けの生活支援制度

慣れない日本での生活を支援するため、外国人向けの生活支援制度が全国で取り組まれています。

例えば、北海道の「北海道外国人住居サポーター制度」(住居支援)、岐阜県下呂市の「外国人による料理教室」(コミュニケーション)などの実施です。これらの取り組みは、外国人労働者が職場や地域で安心して定着できることを目的として行われています。

参考:厚生労働省|外国人定着のための自治体の取組事例

 まとめ:助成金を活用して外国人雇用を成功させましょう

本記事では、外国人を雇用する際にもらえる助成金について、以下の内容をお伝えしました。

外国人労働者の雇用で活用できる助成金とは
外国人労働者を雇用する企業が活用可能な返済の必要がない公的給付金
外国人雇用に関する主な助成金制度
・人材確保等支援助成金
・トライアル雇用助成金
・キャリアアップ助成金
助成金を受けるための基本要件と申請手続き
・基本要件(適切な在留資格)
・共通条件(雇用保険適用事業主であること他 )
・助成金申請方法 (書類の提出・実施・申請)
・必要な書類や手続きの流れは、助成金の種類ごとに異なる
助成金を活用するメリット
コスト削減・優秀な人材の確保・従業員の育成・定着
助成金申請で注意すべきポイント
要件の確認する必要がある・助成金は後払い・虚偽のない書類提出)
外国人雇用を支援するその他の制度
・自治体の独自支援策(全国の地方自治体で実施) 
・外国人労働者向けの生活支援制度(全国の地方自治体で実施)

助成金を申請するには様々な要件をクリアすることが必要です。

一つでも不備があると、不支給になる可能性は高まります。自身で判断が難しい場合は、専門家へ相談しましょう。

ちなみに、厚生労働省が管轄する助成金の申請代行は社会保険労務士、その他の省庁や自治体が管轄するものは行政書士の業務と定められています。各助成金・補助金のご相談は、申請代行を依頼できる専門家に連絡されるとスムーズです。

本記事が、外国人の雇用に際して助成金を最大限に活用したいとお考えの方に少しでもお役に立てたら幸いです。

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